LIVEを楽しもう!
「パフォーマンスの壺」
第1回「ライブステージング術」
更新日07.10.30 コメント:0件 トラックバック:0件
PRESENTED BY HIROO SATO
■始めに・・・
最近、「おやじバンド」という言葉がもてはやされています。私はこの言葉が「うーむ、何か違うなあ…」と感じているのです。おそらく中高年がバンドをやっていることが珍しいと判断してしまう方々が使っているのでしょう。ヒットチャートには若者向けの音楽ばかりが顔を出すのである意味仕方の無いことかもしれませんね。しかし、私のお店に出演しているミュージシャンに若者はほとんど皆無ですし、世の中で流行っているCDでも実際に演奏しているのは若者ではない場合が多いはず。「でも、それはプロミュージシャンの話でしょ?」と思われるかもしれませんが、当店の2号店のセッションにやってくるのは会社勤めなどをしている中高年が半数以上。つまり年齢は関係ないのです。私はバンドもゴルフも一緒だと思います。だって誰も「おやじゴルファー」なんて呼びませんものね。ゆえになぜバンドだけ「おやじバンド」なのか不思議なのです。私は「もっと自然に大人が生演奏を楽しめる、そんな世の中にしてみたい…」。そう思っています。このサイトが大人のみなさんの何らかのお役に立てたら幸いです。
~はじめのメンバー紹介が肝心!~
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■さあ、「ライブステージング術」第1回目のはじまりです。このコーナーでは今まで誰も教えてくれなかったライブでのうまいステージングの方法をご紹介していこうと思います。
武道館など大きなホールでライブをしているプロミュージシャンからも多くのライブ方法は盗めますが、それを無名なバンドがまねたところで多くの場合、身内にしかうけないことになってしまいます。「みんな元気だったかーい? 会いたかったぜー」なんて知らないお客さんの前で言ってみたところでしらけてしまいます。それに返事をするのはファンだけなのです。
よくロック系のライブハウスなどでは対バンと呼ばれる方式で一晩にいくつかのバンドが出演していますが、なぜかバンドがひとつ終るごとにお客さんが入れ替わってしまうという、そんな場面に出くわしたりします。本来、見知らぬお客さんにも聴いてもらえるはずの対バン制でありながら、結局自分たちを見に来たお客さんだけを相手にライブするというのではもったいないと思うのです。もしも、その晩の全ての出演バンドが見知らぬお客さんを楽しませるステージングをとっていたらきっとお客さんが入れ替わるなんていう現象も減っていくはずです。まして、そういう素晴らしいステージングをするバンドだけが毎晩出演していたのならば、いつしかそのライブハウスの評価も変わり、知らないバンドも見て行こうという空気に変わるのではと思うのです。
ロックに限らず、あらゆるジャンルであらゆるバンドが見知らぬお客さんを楽しませるステージングをとれば、きっと日本も欧米と肩を並べる生演奏を楽しめる国になれると思います。
■では、身内のお客さんはもちろん、見知らぬお客さんに喜んでいただくにはいったいどうしたら良いのでしょう?
私がやっているのはロックのライブハウスではありませんが、バンドを知らずに来られるお客さんにも多数ご来店いただいております。私は毎晩プロミュージシャンから見知らぬお客さんの楽しんでいただく方法をたくさん学んで参りました。これを自分だけの宝物にしておくのはもったいないと思うのです。ぜひ、せっかくこのページを開いていただいた皆様にも知っていただければと切望するのであります。
■さて、星の数ほどあるその方法ですがまず第1回目はメンバー紹介について書いてみましょう。
ひとつたとえをあげます。小学校に新しい担任の先生がやってきたという場面を思い浮かべてください。教室に入ると先生は「わたしのなまえはー」と言いながら黒板に山田太郎なり、名前を書いて自己紹介をしますよね。もしも、新任の先生が自己紹介無しにいきなり「はい、32ページを開いて」なんて言ったら生徒たちはどう思うでしょう?そうです。引いてしまいます。
でもこんな先生はまずいないですよね。ところが、多くのバンドはメンバー紹介もなしにいきなり1曲目を演奏するのです。それで曲が終わったら見知らぬお客さんは大拍手するでしょうか?そうです。よっぽどすごい演奏か、もしくは超有名バンドでもない限り、拍手するのは身内ととても良い人だけかもしません。
披露宴のスピーチにしても「ただ今ご紹介に預かりました山田太郎でございます。私と新郎とは…」なり、かならず自己紹介からスタートしていますよね。ライブだけ挨拶はいらないということはありません。もしも貴方が知らない身内だらけのライブにうっかり行ってしまい身内ノリのライブを見せられたらどうでしょう?「来るんじゃなかった」と思うはずです。ところがそんなライブをしているバンドが世の中には星の数ほどいるのです。
ではどういう挨拶が望ましいのか。当店の出演者のほとんどは頼みもしないのにこう切り出しています。
「今夜は荻窪ルースターにお越しいただきましてありがとうございました。今夜のお相手は山田太郎バンドです。まずはメンバーを紹介させていただきましょう。オンギター、鈴木一郎、オンベース…」とこんな具合です。実に自然なはじまり方ですよね。
これがそんなに重要なことなのかと思われるかもしれませんが、これが実はその晩のライブを成功へと導く最初のステップ。効果は絶大なのです。
まずここで重要なのが、最初に店の名前を出しているという点です。
世の多くの方々は店の名前など出しません。何も疑わず、「今夜は私たちのバンドを見に来てくれてありがとう」という切り出し方をしてしまうのではないのでしょうか?この違いは大変大きいのです。「私たちのバンドを見に来てくれてありがとう」と言ってしまうとそのバンドを知らない方にとっては「別にあなたのバンドを見に来たわけではない」という風に思われてしまいかねないからです。ところがお店の名前を言うと、ファンの方も初めての方も両方に挨拶していることになるのです。ジャズ系のお店などはほとんどそういう挨拶から始まります。
■対バン制をとっているロック系のライブハウスでもこの方式を徹底すれば良いと思うのですがいかがなものでしょう?それはともかくといたしまして、まずは貴方のバンドからぜひ取り入れていただければと思います。この方式の良いところはただメンバーを紹介しているだけでは留まっていないところです。と言いますのも、まだ一曲も演奏していないにも関わらず、メンバーの数だけお客さんから拍手をいただけてしまっているからです。まだ演奏していないのに拍手がとれればもうその晩のライブは成功したようなもの。つまり最初が肝心なのです。
ライブも学校の授業もスピーチもある意味、共通した部分があります。学校で苦手な科目を思い出してみてください。先生が面白くない授業をしてはいませんでしたか?逆に得意な科目は先生の教え方がうまかったり、楽しい先生だったりしていなかったでしょうか?披露宴のスピーチでおもいっきりうけている人とご歓談されてしまう人とがいますよね。この差はいったいどこにあるのでしょう?別に笑わせる必要などはありませんが、ライブの空気を自分たちのペースにできるのか、これが重要であるというわけです。
というわけで第1回目ははじめのメンバー紹介からでした。
ぜひ次回をお楽しみに。
■PROFILE 佐藤ヒロオ
荻窪ルースター・オーナー
1962年9月18日生まれ。ライブハウス、「荻窪ルースター」、「Rooster North
Side」オーナー。音楽雑誌などの執筆他、著書に『荻窪ルースター物語』(ポット出版)がある
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