そんなところにいたんかい?!
映画作曲家の巨匠!Hans Zimmer
PRESENTED BY TETSUZIRO
更新日07.10.28 コメント:1件 トラックバック:0件
■唐突だが、音楽とは少し違う話を。
みなさんは歴史小説を読んだことがあるだろうか?
私は親父が読書家だった影響で本をよく読んだ。中学にあがるまでに父の本棚にならんでいた「司馬遼太郎」なる作家の文庫本を(当時は「なる」だった)廊下にぺしゃんと座ってほとんどを読み切り、ははぁ~ん、男は侍でなければならんな、と11歳で思っていた“こましゃくれた”ガキだった。
日本史で初めて幕末を習ったときなどは、先生に「そこ、ちがうと思うんですけど…」と意見して嫌な顔をされ「やかましい、だまっとれ!」と一蹴されたこともあった。
さて歴史小説。司馬の小説にはたくさんの登場人物が出てくる。おのおのの作品に名脇役がいるのだが、ある時前に読んだ小説の脇役が、別の本に出てきたことがあった。確か三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎だったと思う。彼が物語を超えてぴょんと登場してきたのだ。
おぉー!この前出てきた人ではないか!僕は君をしってるよ!
友達のような感覚。
自分が物語の中に入っていく感覚。
嬉しかった。
右から左へページをめくり、横によこにと読み進めていた物語に、縦の糸が通ったのだ!
この感動を覚えた少年は、また本棚の本達をすべて取り出し、ぺしゃんと廊下にすわり、物語を越えた人物相関図的なものを小さな頭の中に描いては一人ニヤニヤしたのである。
後に司馬遼太郎本人が「竜馬がゆく」の中で同じようなことを書いているのに気づき、「司馬遼と同じ感覚を体験できた」と少年は誇らしげに思ったらしい。
■そこで音楽の話。
そんな風にして育ってきた僕もめでたく中学に入り楽器を弾くようになり、どっぷりと音楽漬けの毎日を過ごすようになったのだが、いち早く洋楽に目覚めた僕はレコードを買いあさり、聞きまくり、弾きまくり、そしてライナーノーツを読みあさった。
そこでまた発見するのである。
いた!こいつどっかで見たぞ!
クレジットやライナーノーツに出てくる人物が岩崎弥太郎と同じように作品を飛び越えて出てきたのである!
当時はまだインターネットも普及してない時代だから、誰がどのレコードでプロデューサーをやって、次の作品はこっちのレコード…だなんて情報はそう簡単には手に入らなかった。見つけた僕は「学年の中で絶対俺しか知らないだろう、へへんっ、どうだ!」ってな感じである。もはやクリストーマスは友達、ブルースフェアバーンはまぶダチである。
Chris Thomas (ex.サディスティックミカバンド、Beatles)
Bruce Fairbairn (ex. AeroSmith、BonJovi)
そうしてようやく本題。
こんな少年期を過ごし、仕掛人や裏側の結びつきに興味を持った僕は、なぜか現在テレビ番組等に流れる音楽を選曲したり、作曲したりする仕事をしている。映画音楽から洋楽、インストまで様々な音楽を聴く毎日なのだが、このページではそんなジャンルを超えた僕の友人達を紹介していこうと思っている。
では、先日偶然出会った僕の友達を紹介しよう。
■彼の名はハンス・ジマー(Hans Zimmer)。
映画音楽を聴く方ならば必ず知っているであろう、今やこの人なくしてハリウッドの映画音楽は語れないくらいの映画作曲家の巨匠だ。
代表作にアカデミー作曲賞を受賞した『Lion King』、『The Rock』、『Gladiator』や『MIⅡ』、『ラストサムライ』、最近ではブームにもなった『ダ・ヴィンチ・コード』や『Pirates Of The caribbean』などがある。彼のスコアは画と音のリンクが際立って優秀なのが特徴である。
蛇足だが「料理の鉄人」のテーマ曲で使用されていたのは彼の『バックドラフト』のスコアで、「鉄人」の緊迫感あるピアノソロの曲は『ピアノレッスン』で有名なマイケル・ナイマンの作曲である。テレビでもおなじみ。僕の同業者の仕事である。お見事!
■そんな彼に先日ひょんな所で出会ってしまった。
場所は東京を回る某電車の中。仕事を終えて帰宅途中の僕の目に彼が飛び込んできた。
もちろん、ジマーが電車に乗っていた訳ではない。隣の人の雑誌である。
おそらく映画関連の雑誌のインタビューなのだろう。ジマーが出ているその記事を盗み見していた時、「トレヴァー・ホーン」という言葉が目に入った。「ん? トレヴァー・ホーン??」
気になって調べてみた。ご存知かと思うがトレヴァー・ホーンというのは「ラジオ・スターの悲劇」のヒットで知られるバグルス(The Buggles)のメンバーで、プロデューサーとしてフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(「Relax」で有名)や最近ではt.A.T.u.をプロデュースした大物である。去年のPetShopBoysもよかった。
検索。
いた! 発見! Buggles!
なんとハンス・ジマーはBugglesのメンバーだったのだ。
ほほう。色々調べていくとどんどん出てきた。どうやら彼はロンドンでキーボードとシンセサイザーの演奏者として活動しトレヴァー・ホーンのスタジオで助手として働いていたらしい。なんと、あの「ラジオ・スターの悲劇」のPVにも登場している。黒の革っぽい服装でキーボードを弾いているのが若かりし頃のジマーだ。
今やハリウッド音楽の巨匠中の巨匠がPOPS界の重鎮の弟子だったとは、いやはやなんとも豪華な組み合わせ。ジマーの映画音楽にポップセンスたっぷりのトレヴァー・ホーンのメロディー、夢の競演をぜひ再現してもらいたいものである。
■ところで、重鎮トレヴァー・ホーンはBugglesの数年後にYESに加入し「Lonely Hearts」の大ヒットを放った。そのイントロで聴ける「ギャン、ギャン」というオーケストラヒットの音を覚えているだろうか?
この音はフェアライトCMIというサンプラーで作られていて、一世を風靡したのだが、今僕が毎日使っている放送用機材もフェアライト (ずっと後継機種だが)。こんなところにも 小さなつながりがあったりする。
少し嬉しい。
■PROFILE
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哲慈郎
1977年、兵庫県宝塚市生まれ。
音楽演出、選曲家。現在、某80年代の伝説的音楽番組の選曲を担当。最近のお気に入りは、友人と開く
DJパーティとバスタブに乗せて使うブックスタンド。
1100ccの愛馬にまたがり今日も行く。・・って、どこにいくんや?
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ZAKK
さん 07.11.02
哲慈郎さん、今後とも宜しくお願い致します!