オペラ座の夜ACT6 「夏もオペラ②」
PRESENTED BY TSUTOMU SHIMOGUCHI
更新日07.11.22 コメント:0件 トラックバック:0件
すっかり季節は移り変わってしまったが今回も「夏のオペラ」について書かせていただきたい。前回ドイツ、バイエルン州で行われているバイロイト音楽祭についてだったが今回はイタリアの野外オペラ。
■マニアらが集うバイロイトとはうってかわり観光のついででも立ちよることができる素敵なオペラフェスティバルに今夏足を運ぶことができた。最初に訪れたのはローマ・カラカラ浴場。
ローマ遺跡の中で上演されるオペラはきっと日常とは違う何かがあると思い期待に胸を膨らませた。このカラカラ浴場、1990年ワールド・カップ、イタリア大会を記念してルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、後に3大テノールと呼ばれる面々が初めて揃ってコンサートが行った会場となったことでも知られている。
※ 暖色のライトで神秘的な表情を魅せるカラカラ浴場
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また上演自体はローマ中心地で公演を行うローマ歌劇場が受け持つ。会場となるカラカラ浴場へは地下鉄「チルコマッシモ」駅を利用することなる。ただ開演は夜9時頃。ここからオペラをはじめると終演はだいたい夜の12時。地下鉄は23時30分頃には終わってしまう。よって帰りの足はマイカー族以外バス、もしくはタクシーとなるだろう。シャトル・バスを運行するようなこともあるが私が訪れた日はなかったようだ。地下鉄の駅を出てローマ名物でもある松の並木道を散歩しながら10分ほどでカラカラ浴場に到着。暖色のライトにあてられた遺跡群は神秘的な表情を見せながら迎えてくれる。会場は遺跡を使うというよりは背景に見せるといったところか。確かに昔のように実際に使用したらかなり痛んでしまうから仕方ないだろう。それでも過去の遺産と共にオペラを楽しむのは格別。
■野外オペラということもありPA、つまりマイクを使った上演となる。これでは本物ではないといえるかもしれないがそのおかげで大観衆を動員できさほど気張らず気軽に楽しむことができるのもまた事実であろう。しかも上演された演目は日本でも知名度の高い「トゥーランドット」。中国の冷たい王妃が愛に目覚めるまでをえがいた作品だが大スペクタクルにできるオペラともいえる。野外ならではの大きいステージを使用するので通常の劇場では体験できない感動もあるのです。他にも「ナブッコ」や「アイーダ」もカラカラ浴場にあった演目。
終演後、入り口のタクシー予約カウンターへ急いだ。どのくらい待つかわからないからだ。しかし並んで待っていると突然配車できないから会場の外で勝手に捕まえろ、とお達しがでる。この辺は流石イタリアである。面をくらっているとすぐにタクシー争奪戦がはじまるのだ。見事に敗れさった私はホテルまで歩く決心をして深夜のローマの街を歩くのであった。もしまた足を運ぶことがあったらタクシーを事前に予約しておこう。ホテルでお願いすればきっとできるはず。みなさまももし行かれるようなことがあったら事前のタクシー予約をおすすめする。
■ローマのカラカラ浴場に続いて足を運んだのはフィレンツェから1時間半、トスカーナ地方の海岸沿いの街、トーレ・デル・ラーゴ・プッチーニ。ここで毎年プッチーニ(「蝶々夫人」「トスカ」「ラ・ボエーム」などの作曲家)のオペラ作品を数本取り上げて上演している。もともと作曲家が愛した街(村?)で風光明媚なマッサチュッコリ湖でハンティングなどを楽しみながら暮らしていたとか。彼が住んでいた家も博物館として公開されている(Museo Villa Puccini www.giacomopuccini.it)。
没後プッチーニのオペラを上演するためにスタートしたのがこの音楽祭。私は近郊の街、ヴィアレッジョにホテルをとりベースとした。トーレ・デル・ラーゴ・プッチーニでは宿泊施設の数に限りがあるからだ。トスカーナ地方にあるこの街、イタリアのリビエラ海岸を目の前にしたこの立地の評判はすこぶるよい。海水浴や日焼けを楽しんだ後、夜のお楽しみとしてオペラに出かけることができるという立地になっている。
ここから往復タクシーをしっかり予約して15分くらい距離にして8キロほど行くと会場に到着となる。早めについて湖畔を散策。また隣接されているリストランテ シャレー・デル・ラーゴ(Ristorante Chalet del lago 電話 国番号+0584 359830 www.chaletdellago.it)で 地元の魚料理を堪能する。開演夜9時までゆっくり過ごしてみたわけだ。もともとイタリア人も長期休暇に訪れるような場所柄ということあり観客みんながゆったり過ごしているのは素晴らしい。
■日が暮れる頃開場。
湖にあるヨットハーバーの横がメインエントランスとなる。夕陽と水面の素敵なコントラストを堪能しながらの入場。劇場はローマ同様野外ということもありPA、マイクとスピーカーを利用したものになる。背景は湖、そして山。闇が深くなるのを楽しみながらオペラを鑑賞となる。ここの終演もやはり12時頃。今回はしっかりタクシーを予約してあるので待ち合わせポイントまでのんびりと歩く。大型バスも止まっている。どうやらツアーの一環としてここが組み込まれているケースもあるようだ。私が宿泊先でもあるヴィアレッジョの街に戻ったのは夜中の12時半頃。ここはイタリアでも人気のヴァカンス地。深夜だというのに街のメイン通りは人で大にぎわい。お店もカフェやレストランだけでなく土産物屋も開いている。その賑わい方は今回の旅行で最大のカルチャーショックだった。
■イタリアでの音楽祭は音楽だけを楽しむというものでなく素敵な休暇を満喫するためのアクセントとなる。いろいろな地方でもこうした「夏のオペラ」は上演されているので旅のついでに立ち寄るのも一考かもしれない。
■P R O F I L E __________________________________
■下口 努(しもぐち つとむ)
1966年 東京生まれ
映像プロデューサー、音楽愛好家。FM横浜、J-WAVEなどラジオ・ディレクターを経てCS放送の音楽専門チャンネルに転職。テレビ・ディレクター/プロデューサーとして夏のフェスティバルやアンプラグドなど数多くの音楽番組を手がける。現在は様々なエンターテインメント専門チャンネルを運営するCS局でプロデューサーとして活躍している。共著に「ワーグナーの力」(青弓社)がある。
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