VISUAL-MUSIC♯6「見るものに想像することを強いる映像」
~ジョナサン・グレイザーの世界~PRESENTED BY M.KAWA
更新日07.12.14 コメント:0件 トラックバック:0件
■見るものに想像することを強いる映像ーそんな絵を頑に撮り続ける映像作家がいる。ジョナサン・グレイザー。
ニコール・キッドマン主演映画「記憶の棘(原題:Birth)の監督と言えばご存知だろうか。
アワードも受賞したJAMIROQUAI"Virtual Insanity"のミュージックビデオの監督として記憶されている方も多いだろう。
★left:「記憶の棘」、right:JAMIROQUAI "Live in Verona"
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■僕が彼の映像と出会ったのはRADIOHEADのMV”Street Spirit”でした。トレーラーハウスの前に佇むトム・ヨークの目の前に現れる様々な現象。踊る尼僧、吠える犬、頭から血を流す男、逆回転の世界・・・モノクロームで描かれる、全てが繋がらない夢の断片。絵自体が非常に詩的な魅力に溢れていて、見るものの想像を喚起します。また、ジョナサンが創作したもう一つのRADIOHEADの世界”Karma Police"では、運転者もいない車に一人乗るトムと、その車に追われる一人の男の物語が描かれます。こちらもストーリーの意味は完全に見る側に託される、超感覚的な作品。この二作で僕はジョナサンに完全にやられてしまいました。
■作品数はあまり多くないものの、彼の映像に込められたセンス、頑固な視線、トーンなどは確立されていて、見る者を虜にします。そんなジョナサンのフィルモグラフィーの中で、彼の映画的な趣味が垣間見れるのが、初期作品であるMASSIVE ATTACK”Karmacoma"とBLUR”The Universal”。本人は否定するかもしれませんがこの二作は完全にスタンリー・キューブリック作品へのオマージュ。前者はシャイニング、後者は時計仕掛けのオレンジ。ま、見れば一目でわかります。ジョナサンの人間の内側を映像に刷り込もうとする姿勢はスタンリーの影響大なんでしょうね。
■さて、彼は映画を二本撮っています。
初監督作品はベン・キングスレーの怪演が見物の一風変わったギャングもの「Sexy Beast」。ジョナサン流「ザ・ソプラノズ」といった感じの作品。そして二本目が冒頭にも記述した「記憶の棘」。NYの上流階級の女性アナが、10年前に心臓発作で死んだ夫の生まれ変わりだという10歳の少年に出会い、
最初は冗談だと思っていた彼女も、生まれ変わりの証拠に二人しか
知らないことや家族のことをすらすらと話す少年に、いつしか翻弄され、やがては進んでいた再婚の話まで考え始めるように・・・というのが粗筋だが、今作は本当に彼の映像美学・哲学が詰まった作品だと思う。
雪のセントラルパークをひたすら走る一人の男の長回しで始まるオープニングは、この映画のミステリアスな印象を決定づけると共に、もの凄い緊張感を観客に与えます。そして走り終わった後訪れる男の死と、その後に繋がる一つの生命の誕生は、この映画を貫く映画の主題を見事に象徴している。また、クラシックの演奏会で音楽に聴き入るアナのシーンでは、彼女の表情をじっとりと撮り続け、演奏シーンは一切無い。そのクローズアップは、演奏ではなく別のものを見ている彼女の頭の中を映し出しているようで、映像/映画とはこういうものだ、という彼の主張が強く感じられるのである。映画自体は賛否両論だが、僕としては映像作家ジョナサン・グレイザーの頭の中をのぞけたようで、大満足の一作でした。
■最後にジョナサンのミュージックビデオUNKLEの“Rabbit in Your Headlights"は必見です。高速のトンネルの中をひたすらブツブツとつぶやきながら彷徨う男(ドニ・ラヴァン)。車に引かれようとも、立ち上がり、歩き続ける彼は、ラストには何か悟ったように車の前に立ちはだかり、彼を跳ね飛ばし続けた車は、彼の体に跳ね返されクラッシュする・・・。この解釈は人様々でしょう。僕としては、ドライバーたちに頭がおかしいと思われていた男は、彼のラストの覚醒により、実はおかしかったのは周囲のドライバーの方なのだ、と気付かせているような・・・そんな感覚的な理解をしています。これはジョナサンの世界観が最もダイレクトに出た作品と言えるでしょう。
★UNKLEの“Rabbit in Your Headlights"
■なんとかTHE MOVIEや焼き直しのハリウッド映画ばかりで、説明だらけの映画たちが大ヒットする昨今、徹底してその解釈を観客に委ねる、映像派の中の映像派、ジョナサン・グレイザー。彼のモノトーンの世界がもっと世の中に受け入れられてほしい、というのは僕の小さな願いだったりします。是非一度彼の世界に浸ってみてください。中毒性ありです。
さて来週はミシェル・ゴンドリーについてお話しします。
■PROFILE
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M.KAWA
1971年1月20日福岡県北九州市小倉生まれ。
最初に買ったアルバムはYMO「増殖」。レコードメーカーを経て某音楽専門チャンネルへ。現在フリーでMUSIC, VIDEO、LIVE VIDEO、音楽・映画番組のプロデューサー兼ディレクター。猫と温泉と森とノイズと白い部屋が好きな36歳。
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■Jamiroquai:ライヴ・イン・ヴェローナ
曲目
1.Intro 2.Twenty Zero One3.Canned Heat4.Bad Girls5.Corne of The Earth6.Virtual Insanity7.Little L8.High Times9.CosmicGirl10.Main Vein (with Berverley Knight)11.Deeper Underground12.Alright13.Love Folosophy

■Massive Attack:Eleven Promos
曲目
1.Daydreaming 2.Unfinished 3.Safe From Harm Sympathy 4.Be Thankful For What You've Got 5.Sly 6.Protection7.Karmacoma 8.Risingson 9.Teardrop 10.Angel 11.Inertia Creeps
※ベン・キングスレーの怪演が見物の一風変わったギャングもの「Sexy Beast」












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