オンガクの正体♯7
「70年代を駆け抜けた2冊の本から思うこと!」
PRESENTED BYJOHJI HARIMURA

更新日08.02.06 コメント:0件 トラックバック:0件

     ~ある音楽チャンネル編成マンのひとりごと~

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■新しい年もすでに1月が終わってしまいました。のんびりと年の瀬を過ごしたのも束の間、年が明けて職場に戻ると、上司の突然の異動話など、激動の2008年が始まりました。個人的には本厄の年で、そんな不吉な年の幕開けにふさわしいスタートでした…。遅くなりましたが、本年も「オンガクの正体」をよろしくお願いいたします。針村丈二です。

前回は、ごく個人的なお気に入りの「ライヴ・アルバム」について書いてみましたが、
今回は、最近読んだ、知人の関わる2冊の本を軸にお話をさせていただこうと思います。

yaccobook.jpg■まず1冊は、2006年にアスペクト出版から出版された「表参道のヤッコさん」(株式会社アスペクト 高橋靖子 著)。著者である高橋靖子さんといえば、1960年代に、日本で初めて「スタイリスト」となった伝説的な人物。そんな高橋ヤッコさんが、60年代から現在に至るまでの40年を超えるキャリアの中から、70年代の刺激的な仕事と日常を切り取った「リアル青春ストーリー」です。知人がこの作品の編集を務めました。



そして、もう1冊は、自分の映像ディレクターの先輩にあたるオオクボ キイチさんが2002年に発表した小説、「スbruces3.jpgトレンジ・ブルー」(河出書房新社 オオクボ キイチ 著)。こちらは、舘ひろしさんなどが在籍した「クールス」で75年から81年まで、ベースを担当していた、オオクボさんの書き下ろし小説です。フィクションという形をとった小説ではありますが、クールスのメンバーやレコード会社などが、実名で登場する臨場感たっぷりの作品です。

■全く異なる2作品ですが、「70年代」という同じ時代背景という共通項があり、偶然のことではありますが、読んだ後、2冊をセットにすることにより、妙な面白みを感じたので、今回取り上げてみようと思いました。

両作品は、まだ自分が小学生だった頃の70年代の時代の最先端で過ごす日常の魅力を伝え、原宿・青山・赤坂・六本木といった限定したエリアが頻繁に登場し、そして、当然のことながら、その頃の「オンガク」が、それぞれのストーリーの重要な役割を果たしています。

9649887[1].jpg「表参道のヤッコさん」を開くと、巻頭のグラビアページには高橋さんと今は亡きマーク・ボラン率いるT・REXとの記念写真があり、ページをめくると、ジギー時代のデヴィッド・ボウイとのツーショットが出てきます。いずれも当時よく仕事を伴にしていたという鋤田正義氏の撮影。ボウイの方は山本寛斎氏が衣装を合わせている風景などの貴重なカットもあり、そんなボウイの73年のNY公演のステージで、黒子となって衣装替えを担当したエピソードも紹介されています。

オオクボさんの「ストレンジ・ブルー」には、文体の中に、サウンドトラックのようにBGMが仕込まれていて、最初に登場するのが、奇しくも先述の「T・REX 『ゲット・イット・オン』<エレクトリック・ウォーリアー>1971年」なのです。また2冊とも、当時の「原宿・表参道・青山」あたりの地図が付いていて、中でも、原宿の現GAPの場所にあった「原宿セントラルアパート」が話の始まりになっています。高橋さんは、このアパートに入っていた「レマン」というデザイン事務所で働くこととなり、オオクボさんの小説の「キイチ」は大学へも行かず、セントラルアパートの1階にあった伝説の喫茶店「レオン」に入り浸るうちに「クールス」に出会い、バンドに参加することとなります。

■お互いに1箇所だけ、この2冊がリンクする箇所がありました。高橋さんは「レオンには、革のライダーズジャケットとパンツ、ブーツ姿のクールスのメンバーもよく現れた。(中略)あるときから、彼らの姿がレオンから消えた。」それが、さびしかったと記し、「ストレンジ・ブルー」には、舘ひろしさんがクールスを脱退するというシーンの言葉で「オレらってデビューする前はどこに行っても白い目で見られ、あげくの果てにレオンまで出入り禁止にされて嫌な思いばかりしてきただろ。オレは悔しかった。だから世の中にオレらを認めさせようとしたのさ」。ちなみに、高橋さんによると、出禁の理由は「店の前に停められたバイクが邪魔だとか、そんな理由だったかもしれない。」とのこと。

逆に、この2冊の本の決定的な違い。「表参道のヤッコさん」はいわゆる、ファッション・マスコミ業界のきらめくようなショービジネスの世界を伝えているのに対し、「ストレンジ・ブルー」は70年代を駆け抜けた、若きロック・ミュージシャンの「セックス、ドラッグ、ロックンロール」というダークな世界。そんな世界に実際に身を置いていたオオクボさんの青春ストーリーは、「カゲの世界」と言っては語弊がありますが、アンダーグラウンドのヤバイ話が満載です。

bruces.1.jpg小説は、やがて80年代を迎え、来日したポール・マッカートニーは大麻で逮捕、公演中止。そんな事件を象徴的な出来事としつつ、物語はエンディングに…。サウンドトラックの最後は、個人的にもたくさんの思い出が詰まった「ブルース・スプリングスティーン『ハングリー・ハート』<ザ・リバー>1980年」。

自分にとって70年代とは、「巨人」と「歌謡曲」が好きなただの小学生として生きた時代で、高橋さんやオオクボさんの生きた、刺激的な70年代とは全く異なる日常にいたわけです。しかしながら、彼らがリアルタイムで耳にしていた「70年代のオンガク」に耳を傾けながら、そんな世界に思いを馳せると、不思議にも、より共感できる気がするのです。なぜだか理由はわかりませんが…。

今回も、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!


■PROFILE
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fujisakiprofileimage.jpg針村丈二<ハリムラ・ジョウジ>
大学卒業後6年間、TV制作会社に勤務した後、 97年フランスW杯アジア最終予選の最中、某CS音楽チャンネルに移籍。番組ディレクター、プロデューサーを経て、現在、編成部所属。趣味は、読書、音楽鑑賞、スポーツ観戦と、いたって普通。この5月で40歳。前厄。一児の父。
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|||||||||| ANNEX ||||||||||
「原宿セントラルパークとは?」
昔、原宿の表参道と明治通りの交差点にあった。1958年に建てられ1996年に解体された。とりわけ1960~70年代にかけて原宿の中心的建物で、クリエイター、デザイナー、コピーライター、フォトグラファー、編集者など多くのマスコミ関係者が事務所を構え活気に溢れていた。単なる新進気鋭のマンションということではなく、当時の文化の一部を間違いなく担っていた情報発信基地みたいなところだった。

▼興味のある方は是非とも読んでみて下さいませ。
■「表参道のヤッコさん」
(株式会社アスペクト 高橋靖子 著)
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■「ストレンジ・ブルー」
(河出書房新社 オオクボ キイチ 著)
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▼こんなアルバムも懐かしいですね。
★T. Rex (Tyrannosaurus Rex)
電気の武者+8 30THアニヴァーサリー・エディション



★クールス・ヒストリーVOL.1


★Bruce Springsteen
ザ・リバー:紙ジャケット完全生産限定盤



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