オペラ座の夜ACT11 「オペラと現代」
PRESENTED BY TSUTOMU SHIMOGUCHI
更新日08.04.16 コメント:0件 トラックバック:1件
「オペラと現代」
■前回は映画とオペラの関係について書かせていただいた。以前述べたように歴史あるエンターテインメントとはいえ現代で上演する以上今を生きる私たちと接点を見出すためにオペラハウス側は様々な企画を練っている。
日本のオペラ団体、二期会でも故実相寺昭雄氏が演出したモーツァルトの「魔笛」はウルトラマンシリーズの怪獣が登場して見た目にも楽しませたり様々な工夫が行われている。
さて今回は舞台、演劇関係の
つながりからオペラと現代を探ってみたい。
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■まず紹介したいのが宮本亜門。
演劇、ミュージカルなど数々の舞台を手がけるスター演出家の一人。彼が来年2月東京で「椿姫」こと「ラ・トラヴィアータ」を取り上げる。オペラ演出として既にモーツァルト作で女ったらしで悪のヒーローを描いた「ドン・ジョバンニ」などを手がけている。この時は設定をアメリカ・ニューヨーク、グランド・ゼロに置き換え9・11事件を彷彿させる演出を施して論議をかもし出した。来年上演される「椿姫」はアレクサンドル・デュマ・フィスの小説を原作にもつ作品で19世紀における高級娼婦の悲劇を描いた作品として人気が高い。
ちなみに原題の「ラ・トラヴィアータ」は“道を踏み外した女”という意味で椿などという言葉はまったく使われていない。なぜ椿かというと娼婦が胸に椿を飾っていると「今晩空いています」というサインだったとか。
初演当時の現代劇であったこの作品。上流階級の集まる歌劇場では自分たちの生活の裏側をリアルに舞台で再現されたものだから驚いたのは無理もない。そんな当時の“現代劇”を演出家、宮本亜門がどう舞台化するのか今から楽しみでもある。
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■続いてはちょっと変り種。ロジャー・ディーンが舞台美術を手がけるのだ。この名前を聞いてピンときたあなたはプログレ好きのはず。イエス、ユーライア・ヒープ、エイジアなど多くのバンドのアートワーク=ジャケット
やロゴなどを手がけたのがこの人だ。そんな彼がオペラの世界に登場する。場所はイタリア、トーレ・デル・ラーゴ。ここで行われるプッチーニ・フェスティバルで上演される「エドガール」の舞台美術を手がけるのです。今年はイタリア、オペラ界のマエストロ、ジャコモ・プッチーニの生誕150周年にあたりそれを記念する新制作としてこの作品が上演される。そこでオペラ界以外にも話題が届くようにとロジャー・ディーンに白羽の矢がたったわけだ。
ちなみに新制作とは初日へ向け演出から舞台美術、演奏の仕方までまったく新しいものを構築するものでオペラ上演の中でも“晴れ”を意味する舞台。ここで成功すれればレパートリーとして人々に末永く愛されるというのが通例である。彼は曲線を美しく見せ近未来、そして有機的なデザインをするがどんな舞台を作り上げるのか注目が集まっている。
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■最後に紹介するのは日本ならではの注目公演。来年2009年6月、歌舞伎の演目としても知られる名作「修禅寺物語」がオペラ上演される。この作品の演出を手がけるのは歌舞伎界のスター坂田藤十郎。邦人オペラの名作としても評価の高いこの作品が歌舞伎界の力でどのように舞台化されるのか注目される。歌唱も日本語で行われる、というのも普段オペラを聴かない人には珍しいことかも知れない。藤十郎が歌舞伎を意識した舞台作りをするという予想が当たるか外れるかは幕が開くまでは分からない。ただ各場面場面切り取ったら絵になるようなシーンが続出するような気がする。まさに型を見せてくれるのではないだろうか。
▼宮本亜門オフィシャルサイト
http://www.puerta-ds.com/
▼ロジャー・ディーンパーソナルサイト
http://www.rogerdean.com/
▼ロジャー・ディーンギャラリー
http://sound.jp/rogerdean/
▼二期会に関する情報は下記で!
http://www.nikikai.net/index1.html
▼歌舞伎座ホームページ
http://www.kabuki-za.co.jp/
▼「オペラ座の夜」BACK NUMBER
ACT10「オペラと映画」
ACT9 「オペラの御作法 拍手篇」
ACT8 「オペラのシーズン」
ACT7 「オペラとスキャンダル」
ACT6 「夏もオペラ②」
ACT5 「夏もオペラ①」
ACT4 「伝統か?革新か?」
ACT3 「芸術?!入門」
ACT2 「税金はどこへ行く?!」
ACT1 「オペラは敷居が高い?!」
■□■関連作品ANNEX■□■
▼モーツァルト:歌劇《魔笛》全曲DVD
コリン・デイヴィス、コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団

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▼「ラ・トラヴィアータ」DVD
ヴェルディ ≪椿姫≫

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▼プッチーニ:歌劇「エドガール」(全曲)CD

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■参考資料:「修禅寺物語」のあらまし
源頼家の死と面にまつわる戯曲「修善寺物語」
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「伊豆・修善寺に幽閉されていた頼家は、自分の顔を後世に残すべく面作りの名人夜叉王に自分の顔の面を作るように命じた。しかし、半年も経って出来あがらないので、ある秋の晩、夜叉王のところへ催促に行った。夜叉王は何度作ってもその面に死相が現われるので納得できず作品を渡せなかった旨を頼家に言うと、頼家は怒って夜叉王を斬ろうとした。これを止めに入った夜叉王の娘かつらがその死相の現れている面を頼家に献上した。見事な出来映えに頼家は感銘しこの面を受け取り、そして娘かつらを御殿に出仕させ側女とした。しかし、その夜、北条の暗殺団に襲われた頼家は殺され、面をかぶって頼家の身代わりとなって戦ったかつらは瀕死の身で実家に落ち延びた。父夜叉王は自作の面が将軍の運命を暗示するほどの作であることを知り満足の笑みを浮かべた。そして今まさに死なんとする娘、かつらの断末魔の面を写しとろうと筆を走らせるのだった。」
源頼家の最後を題材とした戯曲で明治41年秋、岡本綺堂が修善寺を訪れた際、作者不明の古いお面をみて創作して、明治44年東京明治座で2世市川左団次の夜叉王にて初演され、大変好評を博しました。歌舞伎作品としては珍しく各国語に翻訳され、昭和2年にはパリでフランス人俳優によって上演されました。数々の名台詞をちりばめた傑作で作者が修善寺に遊んだおり、修善寺の寺宝の頼家の面を見て生まれた一遍で芸術家の孤高と叙情味が豊かに溶け合った作品である。
※参考サイト
http://homepage3.nifty.com/YOTAROSAN/page072.html
▼伊豆市にある修善寺
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■P R O F I L E __________________________________
■下口 努(しもぐち つとむ)
1966年 東京生まれ
映像プロデューサー、音楽愛好家。FM横浜、J-WAVEなどラジオ・ディレクターを経てCS放送の音楽専門チャンネルに転職。テレビ・ディレクター/プロデューサーとして夏のフェスティバルやアンプラグドなど数多くの音楽番組を手がける。現在は様々なエンターテインメント専門チャンネルを運営するCS局でプロデューサーとして活躍している。共著に「ワーグナーの力」(青弓社)がある。
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