オペラ座の夜ACT12 「夏はオペラ」
PRESENTED BY TSUTOMU SHIMOGUCHI
更新日08.05.06 コメント:0件 トラックバック:0件
「夏はオペラ」
昨年、夏に廻ったヨーロッパのオペラ音楽祭について書かせていただいたが今回はその続編。国はオーストリアだ。夏休みを計画している人に参考していただきたい。夏の音楽祭というと本来の劇場公演と違いバカンスを兼ね参加する方が多いようで華やいだ雰囲気になる。音楽祭の名門、オーストリア、ザルツブルグ音楽祭もお洒落した方が多そうだ。でも今回紹介するのはスイスとドイツの国境に近いボーデン湖畔で開催されるブレゲンツ音楽祭。そしてウィーンから車で1時間。世界遺産にも指定されているノイジードラー湖で開催されるメルビッシュ音楽祭だ。
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■まずはブレゲンツ音楽祭。風光明媚なアルプスの山々に囲まれた広大な湖ボーデン湖に浮かぶ巨大ステージで上演されるオペラを中心にコンサートや演劇などを組み合わせたのがこの音楽祭。昨年体感させていただいたのは湖に突き出たフローティング・ステージで上演されたプッチーニの名作「トスカ」と音響設備もしっかり整った室内の祝祭劇場で上演されたトーマス・マンの原作にブリテンが曲をつけた「ベニスに死す」の2本。
「トスカ」の方は約6800人収容できる巨大野外劇場で上演された。ここの売りはそのスケール感にあわせた大スペクタクル。通常舞台前にあるオーケストラ・ピットを設置せずまったく別の場所に置くことにより視界に広がるのは舞台と湖。ここで最新鋭のPA設備を利用して上演される。PAは良い映画館のサウンドにも負けないくらいの迫力かつクリアーなことに驚く。舞台は数十メートルにそびえ立つ壁をキャンバスと見立て観客を圧倒する。鋭くストーリーを読み込んだ演出で作品に新しい側面を浮かび上がらせる上演にはオペラ通の人間も納得させる。今回上演された「トスカ」は
休憩時間無しで一気に2時間ほどで上演される。よって開演は21時だが23時には終演となる。この時間に終わるのはありがたい。劇場、目の前にあるブレゲンツ駅の終電に間に合い近隣の街まで移動可能となるのだ。もちろん湖に浮かぶ劇場横にある桟橋から船で各地へ帰還することもできる。こうした交通の便のありがたさは流石アルプスの北といったところか。イタリアではこうは行きません。
ちなみに上演前には劇場入口前の広場で巨大なホワイエやお食事処があり一夏の想い出作りに協力してくれる。ちなみに祝祭劇場で上演された「ベニスに死す」はマチネ、つまり昼間の公演となり1日で2本違う作品を楽しむことができる。こちらの劇場はオペラにうるさい輩が満足しそうな珍しいオペラを一流のスタッフで練り上げて舞台に上げている。この音楽祭、昼間は山へのハイキング、湖での水遊びなどをして夜はオペラという楽しみ方ができるのは魅力だ。
▼BREGENZ FESTIVAL WEB SITE
http://www.bregenzerfestspiele.com
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■続いてはオーストリアといってもブレゲンツとは反対側。東側、ハンガリーと国境のノイジードラー湖を舞台とするメルビッシュ音楽祭。ここの特徴は何と言ってもオペレッタを安心した上演で見せるということ。何度かお話しているが昨今のオペラ上演というのは原作を現代風に読み替え刺激的な舞台にしているのは珍しくない。その世間の流行と逆行するようだがとにかく伝統的にしっかり見せるという概念のおかげで高齢者を中心に人気とな
った。ウィーンから日帰り観劇バスも出ていてそれを利用したのだが車中はほとんどがシニア層で締められ驚かされた。私が観た作品は「ウィーン気質」。
広い舞台を自転車で駆け回り2頭建て馬車も登場。またメリーゴーランドも現れ、ステージ後方の湖上に浮かぶ船(?)にセットを組みネオンが綺麗に浮かび上がる。日本の水芸を巨大化させたような消防車によるショー等を繰り広げ観客をあの手この手で楽しませようとする。
終演後は最大のお楽しみ。湖畔に輝く大花火大会。最高の夏の想い出になることは間違いない。
またこの地方はワインの産地として有名で休憩時間などに地ワインを楽しむこともできる。その際ワイングラスはデポジットとして飲み終わり売店に返すと預かり金が返却されるシステム。つまりこのワイングラスはお土産として持ち帰ることもできるシステムになっているというわけ。
▼Mörbisch 2008 WEB SITE
http://www.seefestspiele-moerbisch.at/
今回紹介させていただいた音楽祭は
DVDでも楽しむことができる。
日本でも簡単に手に入れられる物を
紹介しておこう。
自宅でスペクタクルを体験するもよし。
またもし行く機会があればその雰囲気を存分に楽しみ映像だけでは選られない雰囲気を体感していただきたい。
||| ブレゲンツ音楽祭 |||||||

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▲ヴェルディ: 歌劇 《イル・トロヴァトーレ》
湖上ということもあり火を使うスペクタクルで観客の度肝を抜きます。
そうした面もさることながらカーセンの描く心理描写も見逃せない。

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▲プッチーニ: 歌劇 《ラ・ボエーム》
巨大なセットをいくつか組み同時進行で物語が進んでいく。
また演出家ジョーンズによる「ロドルフォは情けない男」という解釈は新鮮。
||| メルビッシュ音楽祭 |||||||

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▲ヨハン・シュトラウス: 喜歌劇「こうもり」
オペレッタのナンバー1指揮者の一人、ルドルフ・ビーブルの名人芸も楽しめます。超有名曲をスペクタクルで楽しんで下さい。

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▲レハール: 「メリー・ウィドウ」
銀の時代と呼ばれる第二次オペレッタブームの時代に制作された名作。
男女の恋愛の駆け引きを見事に描いた作品。
■P R O F I L E __________________________________
■下口 努(しもぐち つとむ)
1966年 東京生まれ
映像プロデューサー、音楽愛好家。FM横浜、J-WAVEなどラジオ・ディレクターを経てCS放送の音楽専門チャンネルに転職。テレビ・ディレクター/プロデューサーとして夏のフェスティバルやアンプラグドなど数多くの音楽番組を手がける。現在は様々なエンターテインメント専門チャンネルを運営するCS局でプロデューサーとして活躍している。共著に「ワーグナーの力」(青弓社)がある。
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ACT10 「オペラと映画」
ACT09 「オペラの御作法 拍手篇」
ACT08 「オペラのシーズン」
ACT07 「オペラとスキャンダル」
ACT06 「夏もオペラ②」
ACT05 「夏もオペラ①」
ACT04 「伝統か?革新か?」
ACT03 「芸術?!入門」
ACT02 「税金はどこへ行く?!」
ACT01 「オペラは敷居が高い?!」
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「オペラのある風景」 PHOTO by TSUTOMU SHIMOGUCHI
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