オペラ座の夜ACT13 「亜細亜で歌劇」
PRESENTED BY TSUTOMU SHIMOGUCHI
更新日08.06.03 コメント:0件 トラックバック:0件
「亜細亜で歌劇」
■5月、2泊で初めて香港を旅行した。「おいおい、オペラの話なのにいきなりアジアかよ」という声も聞こえそうだがお許し頂きたい。実はこの時期にフランスの作曲家、マスネの作品でゲーテの名著を原作に持つ「ウェルテル」を観劇してきた。まあ今回の旅行のきっかけは全日空が羽田より香港までのフライトを就航したことにより気軽に行けたから。やはり成田だと日本を飛び立つまでも大仕事。仕事終わりに簡単に行ける羽田はやはり便利。
香港行きを決めいろいろ調べてみると
香港歌劇院=香港オペラという団体が
上演するというのがわかった。
■まだ旗揚げをして5年程の団体で1年に2演目ほどしか取り上げていないのでタイミング良くぶつかる今回、見逃してはいけないと思い足を運んだ。香港文化中心=香港カルチャーセンターという総合施設の中にオペラ劇場はあるが現代的で最新鋭の設備を持つようだ。客席も黒を基調に配色され落ち着いて舞台に集中できる。また急な段差をつけることによりどの客席からも舞台までの視点距離が近くなり臨場感を堪能できる。何よりもありがたいのは椅子が大きめなこと。長時間座っていても疲れません。
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さて今回観劇した「ウェルテル」、舞台は本場フランス、サン・エティエンヌから借りてきた物でシンプルながら役者の演技をしっかり見せる作りになっている。少しこの作品のストーリーを紹介しておこう。
■幼い子供達の母親代わりとなっているシャルロットのもとに詩人ウェルテルがあらわれる。献身的なシャルロットの姿に彼はいちころ。どうにか一緒に舞踏会に参加でき素敵な時間を過ごし告白。しかし、あろうことか彼女にはアルベールという婚約者がいたのだ。シャルロットの妹、ソフィーはそんなウェルテルに思いで話をややこしくさせる。ひとまずクリスマスまで旅をして気分を変えることにするウェルテル。旅に出た後もそんな彼が気になって仕方ないシャルロット。クリスマス・イブに再会した二人。遂にシャルロットがウェルテルの愛を認めてしまう。(ここで名アリア「オシアンの歌」が歌われる)しかし直ぐに我に返り毅然とした態度でウェルテルと距離を置いてしまう。絶望したウェルテルは最終的にピストル自殺をしてしまう。絶命寸前、彼を捜しにきたシャルロット。遂に愛の告白をする。その言葉を胸にウェルテルは息を引き取る。という悲劇。余談だが「ウェルテル効果」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。誰かが自殺すると後を追って連鎖的に自殺が増えてしまうことをさす。
※深く作品に触れたい方はゲーテの名著、「若きウェルテルの悩み」をご一読ください。
若きウェルテルの悩み (岩波文庫)
話を戻すとしよう。
この日、主役のウェルテルを歌ったのは
香港出身のテノール、ウォーレン・モック。
香港オペラの芸術監督でもある彼だ。欧州で活躍していて強い声を生かし「トゥーランドット」のカラフなどをレパートリーにしている。
そんな地元のスターが香港でオペラを広めるために頑張っているようだ。
ちなみにチケット代は980香港ドル=約1万5千円から180香港ドル=約2,700円。観客も安い席には高校生くらいの若者も集団でいる。これだけ若い層が押し寄せる歌劇場は世界でもかなり珍しい。しかも服装も非常にラフ。自分の身の丈にあった形でここに歌劇を楽しみに来ているという印象が強く残った。
■毎年2月から3月にかけて行われる香港藝術節=ホンコン・アーツ・フェスティバルでは様々な舞台作品が上演される。ちなみに今年はイタリア、作曲家、ヴェルディのお膝元、パルマから名門テアトロ・レッジョという歌劇場がやってきて「女心の歌」で知られるヴェルディの名作「リゴレット」が上演された。過去にもドイツ、コーミッシュ・オパー・ベルリンシュトゥットガルト州立歌劇場、イギリスからはウェーリッシュ・ナショナル・オペラなど大歌劇場ではないが注目の上演を常に行っているオペラハウスがこのフェスティバルに参加している。今年の例だがチケット代は1,280香港ドル=約1万9,200円から250香港ドル=約3,750円という日本における引越公演価格からは比べ物にならないくらい安価。来年2009年は2月5日から3月9日まで開催予定。没後250年となるヘンデルのオペラ「アルチーナ」やロシアの作曲家ショスタコーヴィチ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」など意欲的かつ注目すべき上演が行われる。どんな舞台か今からわくわくする。
日本から4時間。美味しい食事とショッピング、
そしてエステと共にオペラを加えて
香港を旅行するのもいいと思う。
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▼香港歌劇院=香港オペラ公式サイト
http://www.operahongkong.org/
▼香港藝術節=ホンコン・アーツ・フェスティバル
http://www.hk.artsfestival.org/en/
▼Warren Mok(ウォーレン・モック)
![]()
http://www.warrenmok.com/
▼ウォーレン・モックの参考映像をご覧下さい。
「Warren Mok sings Act III Duet from Turandot」
▼ウォーレン・モックのフォト・ギャラリー
■P R O F I L E __________________________________
■下口 努(しもぐち つとむ)
1966年 東京生まれ
映像プロデューサー、音楽愛好家。FM横浜、J-WAVEなどラジオ・ディレクターを経てCS放送の音楽専門チャンネルに転職。テレビ・ディレクター/プロデューサーとして夏のフェスティバルやアンプラグドなど数多くの音楽番組を手がける。現在は様々なエンターテインメント専門チャンネルを運営するCS局でプロデューサーとして活躍している。共著に「ワーグナーの力」(青弓社)がある。
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ACT08 「オペラのシーズン」
ACT07 「オペラとスキャンダル」
ACT06 「夏もオペラ②」
ACT05 「夏もオペラ①」
ACT04 「伝統か?革新か?」
ACT03 「芸術?!入門」
ACT02 「税金はどこへ行く?!」
ACT01 「オペラは敷居が高い?!」














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