「パフォーマンスの壺」
第10回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART2-
PRESENTED BY HIROO SATO
更新日08.07.11 コメント:0件 トラックバック:0件
「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART2-
自分のMCがお客さんにはどう捉えられているのか、どう思われているのかを考えてしゃべっている方は案外少ないのではないでしょうか?
今回も前回に引き続き、
「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」のその2を
書いてみますね。
■さて、MCで重要なのは「何をしゃべろうかな」ではなく、
「誰に向けてしゃべるのか」ということであります。
多くの方がここを履き違えているので「言ってしまいがちな言ってはいけないMC」を無意識にどさっと繰り出してしまうのであります。
まずはステージに上がる前に客席をよーくチェックです。ここでどんなお客さんが来ているのかをまず見ておく必要があるのです。「そんなことはいつもやっているぞ」という方もいらっしゃるでしょう。
でもそこでこんなMCをしたりしていませんか?「今夜は俺たちのライブに来てくれてありがとう。今夜の客席は俺の知り合いがやけに多いですね。じゃあ、まずは新曲やります。聴いてください」。
さあ、上記のMCはありがちですよね。
でも実はこのすべてがNGワードと
言ったら驚かれるのではないでしょうか?
ではこれのどこがいけないのかを解説してみましょう。まず客席を見渡すと知り合いが多いことがわかりました。しかし、この逆こそが大事なのです。つまり、自分の知らないお客さんがいることもあなたは確認していたわけです。こうなると最初に言った「俺たちのライブに来てくれてありがとう」は不適切。見知らぬお客さんは、もしも対バンだったとしたら違うバンドを見に来ているお客さんかもしれませんし、お店の常連客か、もしくはたまたまその日に来たお客さんかもしれないわけです。ですので「俺たちを見に来てくれて」よりも「今夜はライブハウス○○にお越しいただきありがとうございます」が適切なのです。そう言うとお客さん全員に言っていることになるからです。
さらに「俺の知り合いが多い」と言ってしまったがために「来ているのはファンではなく身内や知り合いです」ということを知らないお客さんに伝えてしまったことになりました。その上、「新曲やります」というMCはよく来ている方にしか通用しないMCです。
つまり、最初のこのMCだけで初めてのお客さんにあなたのバンドが「ああ、身内に向けてのライブをするバンドなのだな」ということを認識されてしまうのです。
なんともったいないことでしょう。
初めて聴いてくれる方に楽しかったと思っていただけないとしたらあなたのバンドは何度ライブを重ねようが永遠に身内しか来ないことになるかもしれないのです。よく対バンでもファン向けのライブをしているバンドがいます。振り付けまでファンはバンドにあわせてやったりしますので、そのバンドは「俺たちのファンはこんなにいるんだぞ」とばかりのライブに見えてきます。振り付け指導を曲中に示してくれないバンドが多いので、それでは初めてのお客さんはついていけません。これって、たまたま居合わせてしまうと「うへー」って感じになりがちですよね。わかりやすくいうとちょっとしたMCでもそれと同じ印象を見知らぬお客さんに与えていることになるのです。
■それからたまに遭遇するのがこういうMCです。
「今日はあそこの席にいる誰々ちゃんの誕生日でーす」。ということでハッピーバースデートゥーユーを歌ったりするわけです。
これ、嬉しいですよね。ステージから突然「おめでとー」と言われるわけですから。ところがこれもどかーんという落とし穴があるのです。あなたは客席全員の誕生日を知っていて「お誕生日おめでとう」と言ったのでしょうか?実はあなたの知らないお客さんの中に今日が誕生日の方もいるかもしれないのです。ではどうしても「誕生日おめでとう」と言いたい場合はどうすればよいのでしょう?
その場合は「実は客席に今日が誕生日の方がいるんです。それはあそこのマリ子さんです。おめでとうございますー。でも、もしかしたら今日がお誕生日のお客様がほかにもいらっしゃるかもしれませんね。はい、では今日が誕生日の方! あ、そちらのお客様も誕生日ですか。おめでとうございます。えーと、お名前は? ひろみさんですか? それじゃ、一番にマリ子さん、2番はひろみさんで歌いますか」。こんな風にすればよいのですが、実はこれを聞いたことによってものすごい効果が生まれます。
どういう効果かと言いますと見知らぬお客さんを自然に相手にしているバンドという風に見えてくるのです。つまり、「俺たちのライブに来てくれてありがとう」という身内にしか通じないバンドとはまったく違って見えるのです。ほかに誕生日の方がいなかった場合は「では今週が誕生日という方は手を挙げてください」と聞きます。でもいなかった場合は「今月がお誕生日の方は?」というと数人手を挙げます。で、追い討ちをかけるように「今年がお誕生日の方はいらっしゃいますかあ」などと言って笑いを取ったりしておきます。なにしろ全員が該当しますからね。その上でやっとそのお客さんの彼女にハッピーバースデーを歌うのです。面倒でもこうした手順を踏むことで客席全員がライブに参加しているという意識が芽生えます。
どうしてもハッピーバースデーを歌わざるを得ない状況でしたらこのように全員が歌ってくれちゃう空気を事前に作ってから歌うとうまくいきます。
もしもそれらがなしでハッピーバースデーを歌うとどうなるか?マリ子さんの友達とあなたしか歌っていない時間になるわけです。これが終るのをほかのお客さんは待つだけ。しかも、半ばしらけムードになる可能性も否めません。それならば客席コントロールの技を使ってから歌うべきというわけです。
■それとライブの最後に言ってしまいがちなMCがこれです。
「今夜はありがとー。気をつけてお帰りください」。
まったく不思議ではないMCですが、これも気を付けないといけません。「気を付けてお帰りください」と言っていいのはライブが全部終わるとすぐに店内の清掃をするというお店での場合のみです。自分たちの後にもバンドが出る場合などはもってのほかですし、ライブ後も飲んでいられるお店の場合は「気を付けてお帰りください」ではなく、むしろ、「まだお店はやっていますのでお時間のある方はぜひ飲んでいってくださいね」と言うべきなのです。
ということで最初に書いた「誰に向けてしゃべるのか」はもうおわかりいただけたと思います。
あなたのライブを聴いているお客さんはあなたのバンドのファンや知り合いだけではないということを常に頭におけばもうそれだけでMCは変わります。無理やりではなく自然なステージングで見知らぬお客さんをライブに引き込むことができるようになるとライブをすることがこれまで以上に楽しくなると思います。
ぜひ次回のライブから実践してみてくださいませ。
■PROFILE 佐藤ヒロオ
1962年9月18日生まれ。ライブハウス、「荻窪ルースター」、「Rooster NorthSide」オーナー。音楽雑誌などの執筆他、著書に『荻窪ルースター物語』(ポット出版)がある。
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▼「地階から胃薬」
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★ここでちょっと注目!「YOU-NEXT編集長ZAKK」より★
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荻窪ルースターノースサイドでは、「毎週月曜日にブルース・セッション」、そして「水曜日はジャズ・セッション」を行っています。
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■毎週(月曜日)、「ルースター・ノースサイド」で行われております「BLUES SESSION」の取材に行ってきました。その時の映像を編集してYouTubeにUPしました。是非この機会に覗いて見て下さい(もうすでにご覧になっている方は、誠にありがとうございます!)。
▼PART-1
▼PART-2
▼PART-3
||| 「パーフォーマンスの壷」BACK NUMBER ||||||
第1回「ライブステージング術」
第2回「ブルースセッションの楽しみ方」
第3回「うまい拍手の取り方」
第4回「見知らぬお客さんへの配慮を忘れずに」
第5回「してはならない身内ノリ」
第6回「客席との会話が最終的な盛り上がりへ導く」
第7回「ライブ中に困った場合の対処法」
第8回「バンドメンバーをものせてしまうテクニック」
第9回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART1-
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