「ロートラーの手稿」 第10回~PICK UP ARTIST~(3)
「全てが驚きだった!Return To Forever」
PRESENTED BY ZAKK
更新日08.09.01 コメント:0件 トラックバック:0件
||||| PICK UP ARTIST! |||||
■久しぶりとなってしまいましたが、今回は「PICK UP ARTIST」(3)をお送りします。2008年にリユニオンされた驚異の天才・技巧派集団「Return To Forever」(リターン・トゥ・フォーエヴァー)にスポットを当てました。
■ご存知の方も多いと思いますがReturn To Foreverは1972年、ジャズ・ピアニストのChick Corea(チック・コリア)が中心となって作られたジャズ/フュージョン系(実際はもっと別の表現がされるできだが取りあえずこの呼び名でご勘弁を!)のグループです。Return To Foreverは時代ごとにメンバー
がいろいろ代わっていったのですが、唯一、Stanley Clarkeだけはベーシストとしてどの時代でも常に在籍しておりました。グループの大まかな変遷としては、ラテン・オリエンティッドなテイスト漂う第1期(1972~1973年)、ギタリストを入れジャズ・ロック的な志向の第2期(1973~1976年。3人のギタリストがいた)、そして大編成のホーン・セクションを加えたややラテンっぽいファンキー路線の第3期(1977年)に分けられます。
1977年に一旦解散しますが、1983年に再結成。その後1984~2007年の長い間、グループとしての活動は停止していたのですが前述しましたように2008年、1983年の再結成メンバーで復活。25年振りにReturn To Foreverが帰ってきました。現在、欧米を中心にツアーに出ています。日本にやって来る可能性もゼロではないと思いますのでちょっと楽しみですが...。
■1970年代に入って、ジャズは大きな転換期を迎えます。それまでのフリージャズ的な方向はやや手詰まり状態と言う中で、マイルス・ディヴィスはエレクトリックジャズの可能性を追求していきます。『イン・ア・サイレント・ウェイ』(1969年)、『ビッチェズ・ブリュー』(1970年)は今で言うところのフュージョンの先駆けとなり、マイルスのバンドでキーボードを演奏していたチック・コリアがReturn To Foreverで更なる「新しい音楽の融合」を目指したのは自然な流れだったのかもしれません。
※注釈
・しかし厳密にはReturn To Foreverの前にベーシストのデイブ・ホランドらとアバンギャルド・ジャズのバンドを結成していました。しかし、1972年チック・コリアは「Scientology」(サイエントロジー)の信奉者になった影響で、より多くのオーディエンスとコミュニケーションを取れるような音楽をやりたい。それにはもっとコマーシャリズムは音楽を模索しなければいけないと思うようになったと言われています。従来のジャズ・ファンや評論家からこの部分に関して戸惑いやいろいろ批判めいたものがあっとも聞いています。
・「Scientology」(サイエントロジー)とは、L・ロン・ハバードなる人物が創始者であり能力開発を目指す一種の新興宗教団体のようなものとの説明がされていますが、内容的にはむしろ自己啓発セミナーに近い感じだそうです。因みに俳優のトム・クルーズ、あの超絶ベーシストのビリー・シーンやBeckもサイエントロジーの門弟だそうです。
サイエントロジーの話はさておき、結果的にReturn To Foreverが誕生する経緯の中で、チック・コリアはオーディセンスと一緒に楽しめる音楽を強く望んでいたのは事実のようです。
■どの時代のReturn To Foreverもそれぞれ聴き応えのあるものばかりなのですが、私はとりわけジャズ・ロック的な音楽性を追及した第2期のサウンドが好きですね。さらに言うならば、ギタリストがBill Connors(ビル・コナーズ)、Earl Klugh(アール・クルー)、そしてAl Di Meola(アル・ディ・メオラ)と代わっていったのですが、アル・ディ・メオラが在籍したいた頃のReturn To Foreverのパフォーマンスはまさに秀逸ものです。当時、アル・ディ・メオラは若干19歳ながら、既にチック・コリアを唸らせるスキルと有していたとは驚きもんです。中でもスパニッシュテイスト漂うフレージングは実に流麗で美しい。
余談ですが...、チック・コリアがギタリストを選ぶ際にアル・ディ・メオラのテープを1小節聴いただけで決めたと言う話を聞いたことがあります。また、アル・ディ・メオラは如何に速く弾けるようになるためにその頃、ギター科の教壇に立っていたパット・メセニーの講義を受けたことがあったとか・・・。
■Return To Forever最強の布陣と目されるチック・コリア(キーボード)、スタンリー・クラーク(ベース)、レニー・ホワイト(ドラムス)、アル・ディ・メオラ(ギター)の奇跡のクィンテットは、ウェザー・リポート、マハビシュヌ・オーケストラとは違ったバランスの取れたハイテンションでスリリングなインプロヴァイゼーションを随所に聴かせてくれます。そして統一された多様性と透明感のある力強い全体的なトーンも唯一無比のものです。チック・コリアは勿論のこと、4人ともそれぞれの分野において超がトップクラスの存在であることに間違いはなく、全てが非凡な才能、高度なテクニックと卓越したセンスの持ち主なのですから、音を聴かずとも「もの凄い!」と実感できてしまうほどです。ジャズとワールドミュージック的な要素、ラテンフレイヴァー、ファンクなどが渾然一体となり、ロックにアプローチしたようなフュージョンは他に例がないように思います。とにかく「ミラクルクウィンテット」と呼ぶに相応しい演奏です。オリンピックで金メダルを獲った北島康介選手ではありませんが「もう、何も言えない!」そんな圧巻なプレイの連続です。
■Chick Corea、Stanley Clrake、Al Di Meola、Lenny Whiteのラインアップで...、
「Where Have I Known You Before」 (1974年:邦題「銀河の輝映」)、「No Mystery」 (1975年:グラミー賞のベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・パフォーマンス(グループ)部門を受賞)、「Romantic Warrior」 (1976年:邦題「浪漫の騎士」。グループ最大のヒット作)の3枚のアルバムをリリース。
▼「Where Have I Known You Before」 (銀河の輝映)

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※「カモメのチック」「スペイン」で人気を確立したリターン・トゥ・フォーエヴァーが更なる飛躍を図ってメンバー交代を完了した。盟友スタンリー・クラークを含む四人編成の新星ユニットが繰り広げる音の万華鏡。一糸乱れぬサウンドは、ジャズを超えて聴くものの耳を捉えて離さない。録音:1973年
▼「Romantic Warrior」 (浪漫の騎士)

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||||| 「Romantic Warrior」Track listing |||||
1. Medieval Overture 「中世序曲」 by Chick Corea
2. Sorceress 「女魔術師」 by Lenny White
3. The Romantic Warrior 「浪漫の騎士」 by Chick Corea
4. Majestic Dance 「荘厳な舞踏」 by Al Di Meola
5. The Magician 「手品師」 by Stanley Clarke
6. Duel Of The Jester And The Tyrant(Part I&II) by Chick Corea
「道化と暴君の決闘(パートI&II)」
■中でも「Romantic Warrior」は名盤中の名盤と言える作品で、プログレっぽいサウンド構成に加え、ジャズやロックという枠を超えた4人の卓越した演奏バトルは、互いの信頼関係から派生する高い次元での安定した緊張を生み、固定概念を突き破るような新しい楽器の使い方、不協和音を新鮮な感覚で見事な和音として昇華してしまうスキルとテクニックなどいろいろな斬新な試みも施されているようです。もの凄いことをやりながら、それでいて楽曲自体はポップ調で、誰が聴いても分かりやすく親しみやすい。難解なパラダイムをいとも簡単に楽しく魅せてしまうところにこのアルバムの本当のスゴさがあるだと思います。
▼Return To Forever Official Site
http://www.return2forever.com/
▼Chick Corea Official Site
http://www.chickcorea.com/
▼Stanley Clarke Official Site
http://www.stanleyclarke.com/
▼Al Di Meola Official Site
http://www.aldimeola.com/new-site/index.php
▼Lenny White Official Site
http://www.lennywhite.com/
■それぞれの簡単なプロフィールなどはこちらをご参照下さい。
チック・コリア - goo 音楽
スタンリー・クラーク - goo 音楽
アル・ディ・メオラ - goo 音楽
レニー・ホワイト - goo 音楽
※注:レニー・ホワイトはアメリカ・ニューヨーク市(クイーンズ出身)生まれのジャズ(フュージョン)ドラマーでプロデューサー、コンポーザー、アレンジャー。1969年にマイルス・デイヴィスの「Bitches Brew」のレコーディングに参加。1976年にリターン・トゥ・フォーエヴァーが分裂した後、2枚のリーダー作を出す。マーカス・ミラーやバーナード・ライトらとジャマイカ・ボーイズを結成(2枚のアルバムをリリース)。フレディー・ハバードやジョー・ヘンダーソンなど多くのミュージシャンとセッションをする。テクニックは勿論だが、卓越したグルーヴセンスは特に素晴らしい。
YouTubeに投稿されている映像から、「Romantic Warrior」に収録されている曲のクリップをいくつかピックアップ致しましたのでご覧下さい。
※Personnelは全てChick Corea,Stanley Clarke,Al Di Meola,Lenny Whiteです。
▼「Sorceress 1976」
▼「The Romantic Warrior 1976」
▼「The Magician 1976」
▼「Duel of the Jester and The Tyrant Part1」
▼「Duel of the Jester and The Tyrant Part2」
そして...、この演奏も是非ご覧下さい!
▼「SPAIN」(2008)
■アルバム「Light As a Feather」に収録されていたチック・コリアの名曲中の名曲「SPAIN」。多くのアーティストがカヴァーしています。また、2007年3月にオンエアされた、キリンビバレッジ「生茶」のCMでは、この曲のストリングスアレンジバージョンがBGMとして使用されていましたね。このマスターピースが書かれたのが36年前ですから驚きです。こう言う素晴らしい曲は、いつ聴いても色褪せるどころか新鮮で輝いて見えます。上の映像はその「SPAIN」を最強の4人が実に楽しそうに演奏している様子が伺えます。そして、チック・コリアのオーディエンスと一緒に音楽(敢えてジャズと言わせてもらいます)を楽しむ姿が!Return To foreverを結成した時の熱い想いもまた、36年以上経過した今でも決して色褪せることがないようです。
今回も、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
それにしても...、チック・コリアは今年で67歳になりました。スタンリーは57歳、若干19歳でリターン・トゥ・フォーエヴァーのメンバーになったディ・メオラも54歳でレニーも59歳と皆さんそれぞれ年齢は取りましたが、そんなことを全く感じさせないパフォーマンスです。
||||| Return To Forever Related Albums |||||
||||| ANNEX |||||
■Return To Foreve「時代別Band Members」
「1972~1973年」
Chick Corea - keyboards、Flora Purim - vocals、Joe Farrell - saxophone、Stanley Clarke - bass、Airto Moreira - percussion
「1973年」
・Chick Corea - keyboards、Bill Connors - guitar、Stanley Clarke - bass、Steve Gadd - drums、Mingo Lewis - percussion
・Chick Corea - keyboards、Bill Connors - guitar、Stanley Clarke - bass、Lenny White - drums
「1974年」
Chick Corea - keyboards、Earl Klugh - guitar、Stanley Clarke - bass、Lenny White - drums
「1974~1976年」
Chick Corea - keyboards、Al Di Meola - guitar、Stanley Clarke - bass、Lenny White - drums
「1977年」
・Chick Corea - keyboards、Gayle Moran - vocals, keyboards、Joe Farrell - saxophone、John Thomas - trumpet、James Tinsley - trumpet、Jim Pugh - trombone、Harold Garrett - trombone、Stanley Clarke - bass、Gerry Brown - drums
・Chick Corea - keyboards、Gayle Moran - vocals, keyboards、Joe Farrell - saxophone、John Thomas - trumpet、James Tinsley - trumpet、Jim Pugh - trombone、Harold Garrett - trombone、Ron Moss - trombone、Stanley Clarke - bass、Gerry Brown - drums
「1983年」
Chick Corea - keyboards、Al Di Meola - guitar、Stanley Clarke - bass、Lenny White - drums
「2008年」
Chick Corea - keyboards、Al Di Meola - guitar、Stanley Clarke - bass、Lenny White - drums
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