「パフォーマンスの壺」
第14回「ライブパフォーマンスはバンド全員でこそ。」
PRESENTED BY HIROO SATO
更新日08.11.08 コメント:0件 トラックバック:0件
これまでライブパフォーマンスの壺はマイクも持っているフロントマンの役割の大きさについて書いてきましたが、今回はバンドメンバーについても触れてみましょう。
■さて、最初にわかりやすいところでアイドルのコンサートの例を挙げてみます。
「え、なんでアイドルなの?」という疑問も持たれると思いますが、こういうところにもヒントが隠されているのです。アイドルのコンサートの場合、お客さんは全員、アイドルだけを見ています。まったくもって当然ですね。ところが、バックバンドであるバンドメンバーも一緒に踊ったり、振り付けをしたり、ソロでは前に出てきたりしてアイドルと背中を合わせてみたりしているではありませんか。これはなぜでしょうか?
「それのほうが盛り上がるからでしょ」。
はい。そのとおりであります。
ではなぜ普段よく行くライブハウスで見るライブはそうしていないバンドの方が多いのでしょう?
ましてライブハウスで出演しているバンドはバックバンドなんかではなく、全員がバンドメンバーなのです。それにも関わらず、ただ下を向いて弾いているだけみたいなメンバーがいるバンドが目立ちます。ではアイドルのバックバンドのみなさんは心底そのアイドルに「ついていきます」と思って振り付けまでやっているのでしょうか?答えそうではなく、多くの場合は「仕事だから」です。全員がそうではないと思いますが、バックバンドの方々も実は自分のやりたい音楽は別にあったりします。仮にですが、やりたくない音楽の種類であったとしてもバックバンドのみなさんはコンサートで一緒に盛り上げようとしているわけです。
これを考えてみると、やりたくてやっているバンドをなさっているみなさんは下を向いて弾いているだけでは本当に楽しくてやっているのか見ていてちょっと不安になります。
無論、これは音楽のジャンルによっても大きく違います。たとえばジャズのバンドなどでは演奏を聴いて欲しいという気持ちのほうが大きくなるのは当然ですし、その意味では当てはまらないケースも多々あります。ジャズに近いところではフュージョンもありますが、これも確かに演奏を聴かせたいと思っているわけです。ところが、有名なフュージョンバンドの多くはトークが面白いという伝統のようなものがあったりもします。
これはなぜだかおわかりでしょうか?
■つまり、演奏だけではいかにバリバリうまくても「お客さんが飽きてしまうのではないか」という気持ちの裏返しであるのです。アメリカなどでは演説やスピーチでもジョークを織り交ぜてきますよね。これは人間が難しい話に集中できる時間は長くないという研究結果があるように、ときより笑いを混ぜて一度、お客さんの脳をリラックスさせ、また本題へつなげていくひとつのトーク戦略であるのです。少し脱線してしまいましたが、せっかくのバンドですので、演奏の練習ばかりでなく、客観的にお客様にはどう見えているのかということを想定した練習を取り入れてみる必要があると思われます。
客観的にどう見えているのか?
最近はダンスのパフォーマンスチームなども流行していますよね。彼らは鏡張りのスタジオで全員のダンスを自分たちでチェックしながら練習しています。これはひとりではなく何人かでひとつのダンスを作り上げているわけで、みんなのダンスがピタリと合っていることでかっこいいと思わせてくれますし、4人中、ひとりだけがセンターでソロダンスを取ればそれはそれで目立つわけです。もちろんみなさんはバンドですからダンスではありません。
しかし、曲の一部でもメンバーの動きが合っていると見ていて
「お、すごい!」と思ってしまうのが人間の心理というものなのです。
面白い例を挙げてみます。
■吉本新喜劇などでよくあるのが「全員のずっこけ」です。食堂の入口から「ごめんくさーい」と入ってくると、そこにいた全員が椅子からずっこけるのです。全員がですよ。これ、誰もずっこけなければさほど笑いにはつながりません。
逆に考えれば、これは出演者全員で笑いを取ろうとしてきているのです。みなさんはコミックバンドではないでしょうから全員でずっこけろというのではありません。参考にすべき点は出演者が全員で場面を面白くしているというところなのです。こうしたことを考えていくと、いかにバンドメンバーは「全員でライブをするのだ」ということをしっかり肝に銘じておくべきかがおわかりいただけると思います。
フロントであるボーカリスト、もしくはリーダーがしっかり舵を取り、「俺たちのバンドはこう行くぞ」という方向性をメンバーに伝え、メンバー全員がそれに従うことによってバンドがひとつに見えてくるのです。これまでは演奏するだけで満足していたはずだったのに、まだまだやらなきゃならないことがあったのです。でもこれに気がついた時点、それはまだライブパフォーマンスの入口にすぎません。
これまで14回ほどパフォーマンスの壺を書いてきましたが、これらは必ずしも全てのバンドに当てはまるとは限りません。
しかし、友人、知人しかライブに来てくれないバンドとは違う世界に足を踏み入れるためのヒントが山ほど詰まっています。
ぜひ、今一度読み返してみることをオススメいたします。
そこで・・・、
||| 「パーフォーマンスの壷」BACK NUMBER ||||||
第01回「ライブステージング術」
第02回「ブルースセッションの楽しみ方」
第03回「うまい拍手の取り方」
第04回「見知らぬお客さんへの配慮を忘れずに」
第05回「してはならない身内ノリ」
第06回「客席との会話が最終的な盛り上がりへ導く」
第07回「ライブ中に困った場合の対処法」
第08回「バンドメンバーをものせてしまうテクニック」
第09回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART1-
第10回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART2-
第11回「ライブ成功の鍵はライブの前の挨拶から」
第12回「ライブ前の知り合いへの挨拶は控えめに」
第13回「お客さんに一緒に振り付けをしてもらうテクニック」
■PROFILE 佐藤ヒロオ
1962年9月18日生まれ。ライブハウス、「荻窪ルースター」、「Rooster NorthSide」オーナー。音楽雑誌などの執筆他、著書に『荻窪ルースター物語』(ポット出版)がある。
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▼「地階から胃薬」
このコーナーはルースター総支配人による不定期更新のコラムです。ルースターの事、総支配人の事、出演者の事、お客様の事をはじめ、ルースターにまつわるいろんな事柄をご紹介しております。お茶でも飲みながらゆっくりとご覧くださいませ。
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■毎週(月曜日)、「ルースター・ノースサイド」で行われております「BLUES SESSION」の模様を一部VTRにしましたので、お時間のある方は是非ともご覧下さいませ。セッションに参加された皆さん、楽しそうに演奏しておりました。
▼PART-1
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