VISUAL-MUSIC♯12 「Saam Farahmand」
~今、イギリスで最も注目される映像作家「サーム・ファラマンド」~
PRESENTED BY M.KAWA
更新日08.11.10 コメント:0件 トラックバック:0件
以前ご紹介したミシェル・ゴンドリー監督の新作「僕らの未来へ逆回転」はご覧になりましたか?「TOKYO!」での一編「インテリア・デザイン」はミシェルのシュールな世界が爆発していて見応えあったのですが、今回は今までのミシェル・ワールドを突き詰めた出来。電磁波によってビデオの中身が全て消えてしまったレンタル店で、店員のモス・デフとその友人のジャック・ブラックが苦し紛れに全て手作りで映画をリメイクして店頭に並べたところ、面白いと大評判になり・・・という奇想天外なストーリー。ゴーストバスターズやラッシュアワー2などのへなちょこリメイクっぷりも最高にミシェルなんですが、「自主映画製作って実はこういうことだよなあ~」と映画を愛する人なら、少しほろりとさせられる内容。
とはいえ、一見バカバカしいストーリーを最後まで引っ張りつつも暖かみを与えるジャック・ブラックのキャラクターは貴重。意外にもミシェルのハリボテ感溢れる映像世界にマッチしていました。ジャック演じるジェリーのがむしゃらな創作意欲は、傍目にはくだらないものに映ろうとも、信じたものをあきらめずにクリエイトする事の大事さを教えてくれます。―実はそのくだらないものの集積がアートなのだと言わんばかりに。と―前置きが吐きそうに長くなりましたが、そんなミシェルの「恋愛睡眠のすすめ」等をプロデュースするパルチザンの映画部門から新作を発表する、今、イギリスで最も注目される映像作家を今回はご紹介します。
「サーム・ファラマンド」
フィルモグラフィーは以下の通り。
■Simian Mobile Disco "Hustler"
女性が輪になって伝言ゲーム。次第にその耳打ちは濃厚なキスになってゆく。何か伝染する得体の知れないもの、過剰になってゆくエモーションみたいなものを感じる。フロアで伝わるvibesってこういうものかもしれません。
▼Simian Mobile Disco "Hustler"の参考映像!
http://jp.youtube.com/watch?v=wB2LpOnD5XY&feature=related
▼Simian Mobile Disco - Hustler (original mix)
▼Simian Mobile Disco Official Website
http://www.simianmobiledisco.co.uk/
■DEAD DISCO "Automatic"
少々レイドバックしたテクノ感、近未来感。一歩間違えるとヤバい合成ですが、懐かしさと新しさが同居するエフェクト使いで彼のセンスの良さを感じさせます。
▼DEAD DISCO - AUTOMATIC
▼DEAD DISCO WEBSITE
http://www.deaddisco.co.uk/www/
■Sagem:X-RAY(MOBILE SPOT)
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CMですがこれはMUSIC VIDEO超えてます。意外と彼の作品の中で一番好きだったりします。MOBILEの中に入り込む、映画「トロン」的ビジュアルにやられます。
▼Sagem:X-RAY(MOBILE SPOT)
■Klaxons(4曲のMVを監督)
"Golden Skans"
なんかリボンのようなものが巻き付いたメンバーたちがギラギラの仮面を付けてCGの中を暴れるだけ。レイヴ仮面みたいなヒーローものなんでしょうか。なのに何でこんなにかっこいいんでしょう。バンドと完全にシンクロしてますねサーム。
▼Klaxons - Golden Skans - Official Music Video
"Magick"
これいっちゃってます。あたかもクラバーの血は蛍光なんだ!と絶叫してるようで最高。ニューレイヴというジャンル自体を壮絶に表現するクラブスプラッター。
▼Klaxons - Magick
"Gravity's Rainbow"
これ2バーションあります。テレビの中と現実の部屋の中がごっちゃになるパターンとテレビの中にバンドの世界が繰り広げられているもの。僕は後者が好きですね。テレビのカラーバーの奥にはKlaxsonsワールドが!サームの80年代志向炸裂。バンドのスーツ姿はクラフトワークみたいなクールさ見え隠れ。
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⇒Klaxons - Gravity's Rainbow
▼Klaxons - Gravity's Rainbow -(ジュールズでのライブ)
"It's not over yet"
めずらしく背景はちゃんとした近未来なんですが、なぜかまたメンバーが鎧みたいの着てCGと闘う!こういうのほんと好きですね彼は。Feedbackに繋がるイメージもある。
▼Klaxons - It's Not Over Yet - Official Music Video
▼Klaxons Official Website
http://www.klaxons.net/
■JANET "Feedback"
これは皆さん死ぬほどご覧になってるかと思いますが。億単位の制作費がかかっているとか。でもそこはサーム。そんなこと微塵も感じさせない忍者SF。惑星抱きかかえるJANET、現代とは思えない表現ですね。本人いわく最悪に収録時間が短かかったのでポスプロで最高に時間をかけたと。昔クリス・カニンガムがマドンナ撮ったときにもそんなこと言ってたような気がします。
▼Janet Jackson - Feedback [OFFICIAL VIDEO] with lyrics
▼Janet Jackson Official Website
http://www.janetjackson.com/
では僕が考える、
サーム・ファラマンドの
作家性3つのポイント。
①徹底して1アイディア。
テーマをものすごくひねって最終的にシニカルな視線を刷り込むのがミシェル・ゴンドリーなら、サーム・ファラマンドは1アイディアを血反吐でるまで突き詰めて見るものを降参させるタイプか。
②今スタイリッシュなのはこんなダサイやつでしょ、っていうものを提示できる鋭い時代感覚。圧倒的に80'Sテイストに傾倒しつつもそれをさりげなくモダンにしてしまう才能。
③監督自身の趣味性みなぎるフロア感
これは意図せずともにじみでてますね。バッキバキな映像表現。
■さて、最後にこれからリリースされる
彼のDVD作品が相当ヤバいようなんでご紹介しておきます。
Soulwax"Part of the weekend Never Dies"
ベルギー出身4人のバンド、Soulwaxのツアドキュメンタリー。
▼Part of the Weekend Never Dies - TEASER
アーティスト自ら構成したステージで「Radio Soulwax」と看板を掲げた過去三年間のツアーの軌跡を追う。日本を含む世界各国120カ所でのDJとライブセットの模様が詰まっています。全て1カメで記録。パーティーのもたらす絶頂感と彼らの友情が描かれているようです。
▼Soulwax Official Websaite
http://www.soulwax.com/potwnd/loop/
さあ、次の劇場作品が楽しみになってきたでしょう?(既にトレーラー有り)
サーム・ファラマンドの皮膚感覚というか、
にじみ出るフロア感のようなもの。
それは今後のミュージックシーンにおいて
切れ味の良い飛び道具として機能しそうだ。
■さて、今回は特別に先ほど「ニューレイヴ」という言葉が出てきたので、関連アーティストをご紹介しておきましょう。
そもそもニューレイヴとは昨今加熱してきたロックとレイヴを融合させたような音楽性のバンド達のムーヴメント。言葉としてはニューウェーブとレイヴの融合なんでしょうかね。エレクトロな音色とビートをロックとミックスしたサウンド―JOY DIVISIONのようなバンドが元祖といえるかもしれません。
ニューレイヴに属するバンドとしては先述のKlaxsonsを筆頭にHADOUKEN!、LATE OF THE PIER、THESE NEW PURITANS,CSS,CRYSTAL CASTLES,SUNSHINE UNDERGROUND等々でしょうか。またもうちょっとファンキーというか激しめなビートを持つバンドたちをディスコパンクと呼んでいたりしますね。この辺の境目は微妙ですが。THE RAPTURE,!!!(チック、チック、チック),Battles,Arcade Fire等
■では最後に・・・、
今ニューレイヴの新星と言われるバンドの新作をご紹介して終わりたい。
「FRIENDLY FIRES」
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MVも3本程制作されている。個人的にはこれはニューレイヴでは無いと思うがーとにかく良いバンドです。
では、以下-CROSS BEAT風にレビューを掲載しておきたい。
これは事件だ。ロンドン北部セント・アルバンス出身の3人組のファーストアルバム。
最新型・高性能シューゲイザーサウンドとも言える、クラブ・ミュージックとロックの幸福な融合。最近ファション化してきた感すらあるニューレイヴ勢の新星、クラクソンズ・フォロワーとも騒がれる彼らだが、そのオリジナリティはそんな枠を完全に凌駕している。フランキー・ナックルズのカバー「ユア・ラヴ」でその80'sダンス・ミュージックへの傾倒を感じさせつつも、大ヒットチューン「パリス」のアウトロのアンダーワールドさながらの多幸感、「ラブ・シック」でみせるザ・ラプチャーばりのファンクネス、「エックス・ラバー」のマイブラッディ・バレンタイン的ギターノイズの陶酔感--これらを全く違和感無く同居させる事が出来た新人バンドがいただろうか。
3分のポップミュージックにどれだけのものを詰め込むか、というどんなバンドもぶつかる壁を軽々と飛び越し、「3コードだけを奏でるバンドなんて退屈」と豪語するところなどは、自分たちの特性や才能を冷静に捉てもいるし、新人バンドらしい気概すら感じさせる。ロックという形を一旦解体して再び肉体性を取り戻したレディオヘッドの苦悩の道程を考えると、ロックは夢見る為にあるんだと言わんばかりのロマンをまき散らしながら、ロックをリサイクルしまくる彼らの無邪気な貪欲さは、逞しい。「君と一緒にパリに住みたいな」という激単純で、ピュアすぎるラヴ・リリックがギターノイズに乗った時の絵も言えぬ開放感--これは確信犯だ。高度に実験的で、且つ輝くようにポップ。それでいて全く深刻にならず、現実の閉塞感をぶっ飛ばすような肉体性を獲得している奇跡的とすら思えるアルバム。NMEの「ありえないくらい趣味がよいバンド」というちょっと笑える賞賛も納得。そのパワーと才能は今年のサマソニに続き、12月の単独公演で証明されるはずだ。
▼Friendly Fires 「Paris」
▼Friendly Fires 「Jump In The Pool」
▼Friendly Fires 「On Board」
さて、次回は個人的に
絶対にやりたかった、
「ショーン・エリス!」
■PROFILE
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M.KAWA
1971年1月20日福岡県北九州市小倉生まれ。
最初に買ったアルバムはYMO「増殖」。レコードメーカーを経て某音楽専門チャンネルへ。現在フリーでMUSIC, VIDEO、LIVE VIDEO、音楽・映画番組のプロデューサー兼ディレクター。
猫と温泉と森とノイズと白い部屋が好きな37歳。
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VISUAL-MUSIC♯11 「ターセム・シン」
VISUAL-MUSIC♯10 「グラント・ジー」
VISUAL-MUSIC♯9 「ジョナス・アカーランド」
VISUAL-MUSIC♯8 「アントン・コービン」
VISUAL-MUSIC♯7 「ミシェル・ゴンドリー」
VISUAL-MUSIC♯6 「ジョナサン・グレイザーの世界」
VISUAL-MUSIC♯5 「御大の登場!デビッド・フィンチャー」
VISUAL-MUSIC♯4 「フロリア・シジスモンディの世界」
VISUAL-MUSIC♯3 「ABOUT CHRIS CUNNINGHAM」
VISUAL-MUSIC♯2 「about MUSIC VIDEO」
VISUAL-MUSIC#1 「映像と音楽の関係」
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