「パフォーマンスの壺」
第16回「自分を下げてお客さんを上げるステージング術」
PRESENTED BY HIROO SATO
更新日09.01.10 コメント:0件 トラックバック:0件
「パフォーマンスの壷」 第16回
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「自分を下げてお客さんを上げるステージング術」
一生懸命に演奏する姿は人に感動を与えるものであります。
・・・と、書いてみたものの常にそううまくいくとは限りません。
■ものすごく熱唱しているのにお客さんはあまり拍手してくれない、
ものすごい会心のギターソロを弾いたのにほとんど誰も反応して
くれない...。どんなに熱演してもこういう反応のほうが実は多いかも
しれません。ましてライブを聴いているお客さんがあなたのバンドの
ファンではなかった場合などはなおさらです。
皆様にはせっかくこの「パフォーマンスの壺」を読んでいただいている
のですから、今回はちょいとこざかしいテクニックをご紹介したいと
思います。
■さて、こんな場面は皆さんも経験があるでしょう。
けっこう面白いトークをしているのにお客さんが笑ってくれない...。
たとえば「いやー、今夜も空席以外は満席ですねー」と言ったら、
いつもはクスクスと笑ってもらえるのに今夜はまったくシーンとして
しまった。ここで「うわ、やばい」とか思ってはいけません。
この場合は心の中で「なるほど今の客席の空気はこうなのね」と
確認できたと思ってください。
それがわかれば次の手があるからです。
こういう場面ではお客さんは無視しているわけではありません。
面白いトークならばうけると思っていてもそうではない空気のときが
あるのです。ならば一度そういう空気をリセットして逆に我々の
ライブは笑ってもいいんですよという雰囲気を作ればいいのです。
ではこのシーンとした空気をどうやって
楽しい空気に変えるのか?
実は思いがけない方法があるのです。
シーンとした後にこう切り出します。「さて、今夜も笑いひとつ
取れずにライブが始まってしまいました」。するとどうでしょう。
さっきはピクリともしなかったお客さんが急に笑い出すのです。
そんなことで空気がリセットできるのかと思われるかもしれま
せん。嘘だと思ったらぜひやってみてください。
さて、なぜそうなるのかには実は深い訳があります。
■これはお客さんを一瞬にして優位な立場にさせたからなので
あります。誰しも上から目線でしゃべられるのは好みませんが、
ステージからのトークというものはたとえ控えめなそれであったと
してもある種の上からのトークと感じてしまったりするものなのです。
これを「今夜もうけませんでした」と言った事で客席の方を優位な
立場に回せたのです。つまり、出演者はうけなかったことを笑われ
たという下の立場に成り下がるのです。ところが、これによって
お客さんの方が上の立場になったように思いますが、実はこれを
演出したのは出演者であるわけで、本当はお客さんがコントロー
ルされているのです。
また、拍手などもそうですが、「自分がしなくても誰かするだろう」と
いう気持ちの方が多かった場合でもこのステージング術はとても
効果的。緊張した空気を和やかにすることで「自分がしなくても...」と
思っているお客さんの心を開けるのです。
皆さんにお伝えしたいのは本当に自分を下げているということでは
ないということです。なぜなら客席の気持ちをコントロールするのは
お客さんではなく、出演者のほうだからでであります。このコントロー
ルのパターンさえつかめばライブは楽勝です。かっこよくもできるし、
かっこ悪くも演出が可能になります。
では最初に書いた会心のギターソロを
弾いた後に反応が無かった場合は
どのようにすればよいのでしょうか?
■これはギターソロでお客さんが盛り上がっているのなら何もしなくても盛り上がっているわけでそれでも良いのです。しかし、盛り上がってないのならば、ギターソロを弾き終わったときに盛り上げれば良いのです。
その方法は簡単です。
ギターソロを終えたら客席に向かって大きくガッツポーズを出すのです。すると客席からは拍手が来たり、「いえーい!」などと声が掛かります。ギタリストがそういうことをするタイプでなければボーカリストがこう言ってもいいでしょう。
「いえーい!最高なソロだったのにお客さんの反応はありませんでしたー。オンギター山田たろー!」これで盛り上がります。もしもすでに盛り上がっている状態であれば「オンギター、山田たろー!」だけでいいのです。
ボーカリストが熱唱しまくったのに曲が終わっても拍手が
少なめだった場合も客席コントロールでお客さんを優位にしてみせます。
■曲が終わって拍手が少なかったら残念そうに「すっごい熱唱したのに拍手が少なめでした」と言ってみます。するとここで笑いや拍手が来ます。これはボーカリストが言わずにさっきのお返しでギタリストが言うともっと効果的です。と、いうように自分たちを下げていくことでお客さんが優位な立場でライブを聴いていられる状態をわざと作り上げていくのです。これは何も盛り上がっていないライブに限らず、盛り上がっていても使えるステージング術なのですが、もしも、盛り上がっていないような状況であった場合、対処無しではそのままライブを続行していてもその日はもう盛り上がれません。
せっかくのライブですので
楽しく盛り上がれればいいですよね。
■今日はあまりうけてないなと思ったら作戦を変更して、楽しい空間に持っていってしまうというのも大ありなのです。こういうライブの方法がうまくなると客席コントロールが自由自在になります。するとわざと自分たちを下げていることをお客さんに気がつかれながらもお客さんが優位のままでいられるという素敵なバランスが生まれます。こうなると今度は懐に余裕のあるバンドに見えてくるのです。
どうせバンドをやっているのなら
お客さんを楽しませてみたいと思いませんか?
「あのバンドは当たりハズレがあるんだよね」
と言われるよりも
「あのバンドのライブはいつも楽しいよ」
と言われるほうがいいですものね。
||| 「パーフォーマンスの壷」BACK NUMBER ||||||
第01回「ライブステージング術」
第02回「ブルースセッションの楽しみ方」
第03回「うまい拍手の取り方」
第04回「見知らぬお客さんへの配慮を忘れずに」
第05回「してはならない身内ノリ」
第06回「客席との会話が最終的な盛り上がりへ導く」
第07回「ライブ中に困った場合の対処法」
第08回「バンドメンバーをものせてしまうテクニック」
第09回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART1-
第10回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART2-
第11回「ライブ成功の鍵はライブの前の挨拶から」
第12回「ライブ前の知り合いへの挨拶は控えめに」
第13回「お客さんに一緒に振り付けをしてもらうテクニック」
第14回「ライブパフォーマンスはバンド全員でこそ。」
第15回「選曲方法をもう一度考えてみる。」
■PROFILE 佐藤ヒロオ
1962年9月18日生まれ。ライブハウス、「荻窪ルースター」、「Rooster NorthSide」オーナー。音楽雑誌などの執筆他、著書に『荻窪ルースター物語』(ポット出版)がある。
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▼「地階から胃薬」
このコーナーはルースター総支配人による不定期更新のコラムです。ルースターの事、総支配人の事、出演者の事、お客様の事をはじめ、ルースターにまつわるいろんな事柄をご紹介しております。お茶でも飲みながらゆっくりとご覧くださいませ。
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□■「荻窪ルースター物語」インタビュー by YouTube■□
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