「パフォーマンスの壺」
第17回「おやじバンドの初ステージ!」
PRESENTED BY HIROO SATO

更新日09.02.11 コメント:0件 トラックバック:0件


performance1ps.jpg「パフォーマンスの壷」 第17回
「おやじバンドの初ステージ!」

今回は「YOU- NEXT」の理念である生涯青春という部分に立ち返りをする意味も含め、若干いつもとは趣向を変え、私が実際にやっているおやじバンドの初ライブについて書いてみたいと思います。一口におやじバンドと言ってもセミプロみたいな活動をしているバンドから初心者バンドまで様々でしょう。私がやっているおやじバンドは本当に初心者が集合していました。

9年程前のこと。

McCartney&Harrison1.jpg■ある晩、当店にライブを聴きに来ていたやきとり屋さんのご主人が「いいなあ、俺もバンドやりたいなあ」と発言したのです。私が「じゃあ、やりますか」と言うと「無理だよー。もう歳だし、一緒にやってくれるメンバーだってどうやって見つけたらいいかわからないし」とご主人。当店にはそういうおじさまたちがいっぱい聴きに来てくれているので彼らに声を掛けたらみんなが「ホント!? 俺もやりたい」と言い出したのです。そこで私がリーダーとなり、いざおやじバンドが結成されました。
当店は毎晩プロミュージシャンの演奏ですし、私はずっとバンドばかりやってきました。いわゆる素晴らしい生演奏に慣れていた私でしたが、このおやじバンドの結成がすっかり忘れていた「バンドをやるというワクワク感」を思い出させてくれることになるのです。

L4CESi.jpgさっそく全員でどんな曲をやりたいかという飲み会をしました。「あれやりたい、これやりたい」と言いながら飲む。おやじバンドの楽しさはやっぱりここから始まりました。そしていざ初練習をしにスタジオへ。演奏は信じられないくらいにバラバラで、先が思いやられました。しかし、彼らはまるで高校生のように輝いおり、その姿は私にとってとても新鮮だったのです。目標に掲げた半年後の初ライブに向けてのスタジオ練習は毎週3時間。メンバーのおじさんたちはまさか自分がライブをするなんて夢にも思っていなかった方々。毎週の練習は苦になるどころか、ますます生き生きとされていき、それぞれが「いやー、青春時代が戻ってきちゃったねー」と口々に言うようになっていきました。

そして、いよいよ初めてのライブの日がやってきます

演奏はとても人にお聴かせする様なレベルにはありません。しかし、私はぜひ彼らの輝きを見ていただきたいと思うようになっていたのです。ライブは当店を貸切にし、無料で行いました。店内は彼らの家族や同級生などで超満員です。ところが、ふとメンバーを見ると全員がガチガチに緊張しているではありませんか。それもそのはず、人前で初めてライブをするのですから。

私はとある作戦でライブを
    幕開けさせることにいたしました。

northsidepos1.jpg■まずは私ひとりでステージに上がり、自己紹介をし、御来店のお礼とバンド結成のいきさつなどを話しました。次にひとりずつメンバーをステージに呼び込みます。そして自己紹介と今日のライブへの意気込みを語ってもらいました。ある者は「本当にこれから自分がライブをするなんて夢のようです」と語り、ある者は「ずっと仕事ばかりの人生でしたが、今が一番幸せです」と語りました。メンバーもいざステージの上での発言となりますと、いっそう緊張し、私のしゃべり口調に影響され、丁寧な言葉を選んで話すようになるのです。まずこういう登場の仕方をしたのは、演奏だけでは持たない。ならば、たとえ下手な演奏であっても、いやむしろ下手な演奏のほうが盛り上げやすい空気を作っておくことが大事だと思ったからです。しかし、先程の言葉はまぎれもない彼らの本心。
いい大人がまるで子供のように緊張しながら語る姿は客席をひとつにまとめました。私はこの連載「パフォーマンスの壺」で書いてきたような定石を使いつつ、客席だけでなく、メンバーまでをうまく操りながらいよいよ初ライブをスタートさせました。

記念すべき1曲目は、
    ドラムのカウントからスタートします。

muzguy6ps.jpg■しかし、そのテンポよりも数段早いスピードで曲が始まってしまい、まずはひと笑いいただき。なんとか1曲目が終了し、私は「見事完奏できましたー!」とMC。割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こりました。「どうでしょう? 曲に聴こえましたか?」という私の問い掛けに客席はやんややんや。このように客席を味方に付けておけばどんな演奏でも大丈夫なのです。そして2曲目に入るMCはこうでした。「それでは最後の曲となってしまいましたー」。これにより会場は爆笑と「えー!」という声に包まれます。「あはは。冗談です。次の曲はめちゃめちゃ難しい曲です。完奏しましたら盛大な拍手をお願いします」。
このようにライブの序盤戦のポイントはお客さんの心を開いた上で、応援しちゃいたくなる空気を作り上げていきました。この作戦は見事に成功したのです。

客席は盛り上がっていますが、メンバーと来たら2曲目が終ってもまだガチガチに緊張しています。私としてはその姿までをも面白く見ていただくようなMCなどを繰り出していきます。しかし、最終的にはせっかく時間を作ってお越しいただいたお客さんに応援ではなく、感動していただくまでに持っていかねばなりません。それこそがリーダーである私の務めだからです。
そしてライブは進んでいき、いよいよ残すところあと1曲となりますが、ここでメンバーに「初めてのライブはどうでしたか?」と質問していきます。するとみんな「本当に夢のような時間でした」、「僕らは幸せ者です」などのMC。

最後の1曲はみんな楽器を置いてのアカペラでした。

performance81ps.jpgそこには白髪の混じったおじさんたちが全員で一生懸命に歌っている姿。しかし、ようやく最後の曲となった安堵感から笑顔で歌っています。曲は奥さんや同級生もみんな青春時代に聴いていたビートルズのナンバーでした。そのおやじ達の輝く姿と曲はお客さんをもはるか昔の青春時代に返らせてしまったようです。客席を見渡すと多くの方が涙して聴いていたからです。初めてのライブにしてアンコールの拍手はずっと鳴り止みませんでした。

あれから9年。

今ではメンバーは各自、他にもバンドを結成するまでに至りました。そしてそれらはおやじバンドでありながらも内輪ウケトークは一切せず、お客さん全員を楽しませるべく選曲をし、お客さんに楽しんでいただくようなステージングをするようになっています。初めてバンドを結成した頃、彼らは「バンドをやれるなんて夢のようだ」という気持ちでした。ところが今や「ライブをするならお客さんが楽しめなければだめだ」という心構えにすっかり変わっているのです。おかげさまで私の周りではどんどんおやじバンドが誕生しています。

どうやらみんな2度目の青春時代がやってきたようです。

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||| 「パーフォーマンスの壷」BACK NUMBER ||||||
第01回「ライブステージング術」
第02回「ブルースセッションの楽しみ方」
第03回「うまい拍手の取り方」
第04回「見知らぬお客さんへの配慮を忘れずに」
第05回「してはならない身内ノリ」
第06回「客席との会話が最終的な盛り上がりへ導く」
第07回「ライブ中に困った場合の対処法」
第08回「バンドメンバーをものせてしまうテクニック」

第09回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART1-
第10回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART2-
第11回「ライブ成功の鍵はライブの前の挨拶から」
第12回「ライブ前の知り合いへの挨拶は控えめに」
第13回「お客さんに一緒に振り付けをしてもらうテクニック」
第14回「ライブパフォーマンスはバンド全員でこそ。」
第15回「選曲方法をもう一度考えてみる。」
第16回「自分を下げてお客さんを上げるステージング術」

▼さて・・・、せっかくですからここでいぶし銀のような大人のパフォーマンスを!

※今年、84歳になりますがまだまだ元気一杯のB.B.KING(先日のアカデミー賞でもバディ・ガイ、ジョン・メイヤーたちとライブパフォーマンスを見せてくれましたね!)、今は亡きソウル・パフォーマーのBILLY PRESTON!そして俳優BRUCE WILLISの楽しいセッション。この味は年齢を重ねて初めて出せるんでしょうね。そう言えば・・・、BRUCE WILLISは自分でブルース・バンドも持っていて、彼のハープは既にプロの領域なのです。

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mrsato.jpg■PROFILE 佐藤ヒロオ 

1962年9月18日生まれ。ライブハウス、「荻窪ルースター」、「Rooster NorthSide」オーナー。音楽雑誌などの執筆他、著書に『荻窪ルースター物語』(ポット出版)がある。
ROOSTER本店はこちらから
ROOSTER NORTHSIDEはここでチェック

「地階から胃薬」
このコーナーはルースター総支配人による不定期更新のコラムです。ルースターの事、総支配人の事、出演者の事、お客様の事をはじめ、ルースターにまつわるいろんな事柄をご紹介しております。お茶でも飲みながらゆっくりとご覧くださいませ。
        http://www.ogikubo-rooster.com/main/column/index.html

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      □■「荻窪ルースター物語」インタビュー by YouTube■□
      

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★ここでちょっと注目!「YOU-NEXT編集長ZAKK」より★

DuaneAllmans1.jpg荻窪ルースターノースサイドでは、「毎週月曜日にブルース・セッション」、そして「水曜日はジャズ・セッション」を行っています。
プロのセッション・リーダーがセッション全体をバックアップして頂けるので、適度な緊張感もあってかなりいい感じのステージになっています。月1回でも2ヶ月に1回でも主役になれる時があるっていうのもなかなかオツなモンです。日常をちょっと抜け出してみると新鮮でリフレッシュできて明日からまた元気に行こうという気分になれるのでは...!?

■セッションの詳しい情報はコチラをご覧下さい!
      http://www.ogikubo-rooster.com/north/session.html
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▼▽▼ ANNEX CORNER ▼▽▼

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||||| ROOSTER NORTHSIDE BLUES SESSION |||||

■毎週(月曜日)、「ルースター・ノースサイド」で行われております「BLUES SESSION」の模様を一部VTRにしましたので、お時間のある方は是非ともご覧下さいませ。セッションに参加された皆さん、楽しそうに演奏しておりました。

▼PART-1

▼PART-2

▼PART-3

ギター・コード早見表サイト




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※ブルースの源流を求めて、マーティン・スコセッシがミシシッピ・デルタからアフリカ大陸のマリまで飛んでいく。現役ブルースマン、コリー・ハリスがガイド役として安酒場や綿花畑、ニジェール河畔までを歩き、タジ・マハールやケヴ・モ、サリフ・ケイタらとジャムを繰り広げる。
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