「ロートラーの手稿」 第12回~PICK UP ARTIST~(5)
「Richard Bona」-A Spiritual Bassist of The Artists-
PRESENTED by ZAKK
更新日09.02.24 コメント:0件 トラックバック:0件
||||| PICK UP ARTIST! |||||
- Jaco Touched Me Deeply. -
ここから比類なきBASSIST伝説が始まった!
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Richard Bona
-A Spiritual Bassist of The Artists-
自然体でさりげなく・・・、しかも本当に楽しそうに
もの凄いことをいとも簡単にやってのけてしまう
アーシーでホットでクレバーな天才ベーシスト!
▼恐ろしいほど凄くて楽しいベースソロ!
※ギタリスト時代、ジョージ・ベンソンを敬愛していただけあって、スキャットを絡めたインプロヴィゼーションは実に素晴らしい!
■Richard Bona(リチャード・ボナ)というベーシストをご存知でしょうか?
まさに知る人ぞ知る天才ミュージシャンの1人なのです。今回はそのRichard Bonaに迫ってみたいと思います。彼をよくご存知の方もそうでない方も是非、最後までお付き合い下さい。
||||| RICHARD BONAってどんなアーティスト?! |||||
※YouTubeからの映像を織り交ぜながら、BIOGRAPHYをちょっとまとめてみました。
■Richard Bona(リチャード・ボナ:本名)は1967年10月28日、東カメルーン(西アフリカ)の「ミンタ」という小さな村で生まれる。祖父がシンガー&パーカッショニスト、母親もシンガーという家庭環境で育ったボナは、当然のようにもの心がつく前から音楽に慣れ親しんでいた。とにかくボナは訳もなく泣くことがしばしばあったのだが、3歳のある日、誰かが「balafon」(バラフォン:木琴のようなアフリカの楽器)を弾いているのを見てピタリと泣き止み、何時間もその前に座り、その音楽に聴き入り演奏者をジッと見ていた。そして不思議なことに、その後は自分のやるべき事を悟ったかのように落ち着き、意味もなく泣かなくなった。
母親はわが子の変化に対しある予感を抱く。-この子の音楽への執着には何か特別なものがある!- 祖父もボナの埋もれた音楽的素質を感じ、彼のためにbalafonを作ってあげた。ボナはその楽器で1日8~12時間もの練習を始めた。この時点でボナの音楽活動はスタートしたのだった。
5歳になると、村の教会で母親や姉たちと歌などを披露するようになる。そして、卓越した彼の才能は評判になりフェスティバルやセレモニーなどに呼ばれては演奏することが多くなった。この頃になると、楽器の演奏方法を見ただけで覚えてしまうという驚異的なボナの天才ぶりが歴然としてくる。さらに村ではなかなか欲しい楽器が手に入らなかったので、木製のフルート、パーカッションなどの演奏したい楽器も見よう見まねで自分で作ってしまうのだ。
▼Richard Bona - Jazz Solo
■何年かミンタ村で演奏活動をした後、11歳の時にカメルーンで一番大きな町「Douala」(ドゥアラ)に行く。そこでもっと近代的な楽器をやらなくては!ということでギターを弾き始めるのだが、最初のギターもまた自分のハンドメイドによるものだった(ギターの弦は自転車屋さんから拝借したブレイキケーブルを弦の代わりにしたようだ)。Doualaでギグを重ねるうちに「凄い天才ミュージシャンがいるぞ!」とばかり若いボナの名人芸が評判となり、あるフランス人オーナーからうちのクラブでジャズバンドをやらないか?との誘いがあった。ボナはギャラも良かったこともありそれを承諾する。このオーナーとの出会いが13歳のボナにとって運命の転機となった。手作りのギターから本物のギターに替わりギグと練習に明け暮れた。ボナは言う「俺のギターヒーローはジョージ・ベンソンなんだ。彼のアルバム『Breezin'』の全て、一音も余すことなくコピーして学んだ。そして意味は判んなかったけど、耳で聴いて歌も歌ったよ。」・・・と。そのクラブのオーナーは友人としても彼に力をさしのべ、ジャズについてもいろいろ教えてあげるのだった。
そして、レパートリーの勉強にと自分の500枚あまりのジャズアルバムをボナに差し出す。そして偶然にもその中から最初に取り出したレコードが、1976年発表のセルフ・タイトル・デビュー・アルバム「Jaco Pastorius(邦題:ジャコ・パストリアスの肖像)」だった。
「ジャコのアルバムを聴くまではベースを弾こうだなんて考えもしなかった。」「しかしその音楽を聴いたとき、とりわけ『トレイシーの肖像』を聴いたとき、僕の人生は変わった。」とボナは回想する。ジャコを知り、感動したボナは、即座にギタリストからベーシストへ転向した。
1989年、父親が亡くなりボナはアフリカを離れフランスへ赴く。7年余りパリで音楽を勉強し(特にマイルス・デイヴィス、チェット・ベイカーなどのジャズが中心)、演奏、作曲能力に磨きをかけ洗練させていった。定期的にいろんなジャズ・クラブで演奏をし、時にはManu Dibango, Salif Keita, Jacques Higelin and Didier Lockwoodなどのプレイヤーとも一緒にパフォーマンスをした。しかし、当時のフランスの保護的な音楽事情もあり、移民のボナにとってはフランスでのプレイがままならなくなる。ギタリストのマイク・スターン(マイルス・デイヴィスやSTEPS AHEADのギタリスト)のアドバイスもあり、1995年、現在でも仕事の本拠地となっているニューヨークへ渡るのであった。
▼Zawinul Syndicate - Zansa
■アメリカに行ってからは破竹の活躍が始まる。パリでボナの資質の高さを評価していたJoe Zawinul(ジョー・ザヴィヌル)のグループ「ザヴィヌル・シンジケート」のメンバーになりアルバム「マイ・ピープル」のレコーディングに参加し、ワールド・ツアーではまさに「Great Bassist」旋風を巻き起こした。また、ラリー・コリエル、ブレッカー兄弟、マイク・スターン、スティーヴ・ガッドのような一流アーティストとのコラボやハリー・ベラフォンテのヨーロッパツアーの音楽ディレクターも務め、さらに、1999年は彼の最初のソロ・アルバム「Scenes of my life」をリリース。渡辺貞夫とも共演。2000年にはデイヴィッド・サンボーンやジョー・サンプルらと「S.S.B.B.バンド」を組みワールド・ツアー。2001年にはNHKテレビ「みんなのうた」用にギタリストの中村善郎と共作、「風がくれたメロディ」を発表(この作品でボナは日本語の歌詞に挑戦)。同年にセカンド・アルバム「Reverence」を発表。2002年パット・メセニー・グループに加わり、アルバム「Speaking Of Now」の世界ツアーにも同行。2003年に「Munia: The Tale」をリリース、同年に渡辺香津美、オラシオ・エルナンデスとトリオを組み「Mo'Bop」を発表(翌年にはMo'Bop IIも発表)。マイク・スターンや渡辺貞夫のツアーでも度々来日も果たしている。2005年、4枚目のアルバム「Tiki」をリリース。また、生地のミンタ村の様子や私生活を追ったドキュメンタリーDVD「African Tail」も同時にリリースされた。2008年にはライブアルバム「Bona Makes You Sweat」もリリース。同年の10月には「BLUE NOTE TOKYO」でライブを行う。今年もSTEVE GADD、SYLVAIN LUC(フランス人のジャズ・ギタリスト)らとトリオで元気一杯にツアーなどを行っている。
▼Richard Bona - Lugano with Steps Ahead - Solo (2005)
実は、私がリチャード・ボナを最初に知ったのはパット・メセニー・グループのメンバー(前掲しました2002年のアルバム『Speaking of Now』の参加)の時でした。しかもそこではベーシスト・ボナというよりはヴォーカル&パーカッショニスト、+何でも演奏できるマルチプレイヤー的なスタンスでした。現に、ライブでパット・メセニーがメンバーを紹介する際、普通は「ライル・メイズ、オン・キーボード!」という具合にと名前と担当楽器を呼ぶのですが、確かボナに限っては「Richard Bona on Everything!」と言ってました。それがきっかけでリチャード・ボナに興味を抱きいろいろ聴き始めたのですが、彼の事を知れば知るほど天才アーティストの一人であること!リスペクトできる人物であることが分かってきました。
アフリカの大自然を思われるアーシーで大らかな人柄がプレイに溢れています。母国の文化、音楽をベースとしたアフリカン・テイストとジャズ、ラテン、ブラジル、カリプソ等を取り入れたスケールの大きいグローバルな音作りは唯一無比のもの。
また、ベースソロを演奏する時、声に出すか出さないかは別としてボナは歌いながらプレイしていると言います。心の底からグルーヴを出したいからなのだと。スケールや転調などは考えずにその場の張りつめた感覚でソロを奏でるのだそうです。また、ボナ特有の澄み切ったファルセットも意識することなく自然と出てくるとのこと。そんなボナのスピリチュアかつハイレベルな音楽性を見込まれ、ニューヨーク大学の音楽教授(jazz科)の職にも就いています。
▼Richard Bona - englinglaye
天才がゆえにできることなのでしょうが、破天荒で桁違いのテクニック、エモーショナルでクールなソウル、アーシーかつ寛容なマインド、そしてオーディエンスに感動を与えるメロディを自然体で渾然一体となって難なくパフォーマンスしてしまうポテンシャルにはただただ驚嘆あるのみです。そこには驕り、偏見、独善など悪しきベクトルは一切なく、ピュアな優しさを感じます。
あるインタビューで、「あなたの夢は何か?」と訊かれボナは、「私は今夢の中にいる。音楽を創り、子供を育て、神に祝福された生活を送る。そしていろんなミュージシャンと一緒に演奏できる。こんな夢のような状態が何年も続いているんだ。」と答えていたのが印象的でした。ふと、京都の石庭で有名な龍安寺にある「吾唯足知(われ、ただ、たるを、しる)」のつくばいを思い出しました。「満足することを知っている者は貧しくても幸せであり、満足することを知らない者はたとえ金持ちでも不幸である。」という禅の教えをアフリカの天才ミュージシャンに再認識しろと諌められたような気分です。
最後に・・・、以前どこかの本で読んだのですがボナは少しでも環境保護に役立つのであれば!と自動車の免許がないそうな。楽器と重たい機材を持ってクタクタになりながら電車やバスでよく移動したそうです。人間だけではなく地球にもさりげなく優しいBASSISTなのでしょう。
年齢に関係なく、人間にとって何が大切なのか?そのヒントをリチャード・ボナから少しもらった気がします。
Richard Bonaの今後の活躍を楽しみにしております。
|||| 最後に滅茶苦茶かっこいいエンディング・シーンを!|||||
▼Zawinul Syndicate - Concert End
▼Richard Bona Official Website
http://www.bonatology.com/
▼Joe Zawinul Official Website
http://www.zawinulmusic.com/
ジョー・ザビヌル - goo 音楽
▼Pat Metheny Official Website
http://www.patmetheny.com/
パット・メセニー - goo 音楽
▼Mike Stern Official Website
http://www.mikestern.org/
||||| Discography & Works |||||
▼「Scenes From My Life」

▼「Reverence」

▼「Munia 」(The Tale)

※HMV レビュー
カメルーンが生んだ21世紀初頭最高の音楽家の一人。リチャード・ボナの多彩な才能を発揮した作品。ジョー・ザヴィヌルの慧眼に適っただけのことはある、幅広い音楽性と先天的な天才的なリズム感は、「都市黒人」が失い始めていたモノを感じさせる。日本盤はリバティ・シティ (ボーナス・ライヴ・トラック)が追加収録された。
▼「Tiki」

※HMV レビュー
ジャズ/フュージョン・シーンで注目度No.1のアフリカ・カメルーン出身の天才ベーシスト/ヴォーカリスト、2年ぶりのニュー・アルバム。今作は、ニューヨーク,パリ,リオデジャネイロの3ヶ所で録音され、ジャヴァン、スシーラ・ラーマン、マイク・スターンら、多様なジャンルからのゲスト・ミュージシャンも参加、ジャズ・アフリカ・ブラジル・カリプソなど、世界各地の音楽要素が、"リチャード・ボナ"というフィルターを通して、見事にワン・アンド・オンリーのサウンドとして結実したボナの魅力あふれる作品。ジャコパスの作品も1曲アリ。
▼「Bona Makes You Sweat -Live」

※HMV レビュー
リチャード・ボナの初ライヴ・アルバム。驚異のベース・プレイ、そして天使のような歌声がジャンルを超えた圧倒的サウンドで表現。2年前にリリースされた最新作『Tiki』までのボナの代表曲を中心に収録。途中でスティーヴィー・ワンダーの曲を入れるなどライヴでしか聴く事の出来ないグルーヴ満点の1枚。2007年7月11日、12日ハンガリーでの模様を収録。
▼「African Tale」(DVD)

※HMV レビュー
ジョ-・ザヴヌルが強引に自分のバンドに引き抜き、パット・メセニーは期間限定をのんで、PMGに参加させたジャコ以降のベースの世界を変えつつある、カメルーンが生んだ天才ベーシスト、リチャード・ボナ。まだまだ、その底力は未解明。本DVDはそのボナの音楽ルーツを解明するドキュメンタリータッチの作品。作品は生まれ故郷のカメルーン共和国のン・ベイに始まり、活動拠点だったニューヨークを目指す、ここでの様々なミュージシャンとの出会い、エピソードを交えた物語が展開。
さらにボナの音楽的な面からはアフリカン・テイスト溢れるオリジナル・ナンバー、彼にとって音楽的な原点でもある「歌」という点をピックアップ。透明感溢れるボナの歌も堪能できる、ボナ・ファン満足の初映像作品。収録曲の表記が輸入盤と国内盤とで異なっておりますが、ドキュメンタリー映画のため「挿入曲」扱いとなっています。
▼Pat Metheny 「Speaking Of Now」

※HMV レビュー
4年半ぶりに2002年2月に発表された"パット・メセニー・グループ"としての作品。長年の盟友、ライル・メイズ(kb)スティーブ・ロドビー(b)はそのままだが、近作からポール・ワーティコに替わってアントニオ・サンチェス(ds)が参加。
サンチェスは、1971年のメキシコ・シティー生まれの新鋭ドラマー。バークリー音楽院を出ており、デヴィッド・サンチェス、ダニロ・ペレス、アビシャイ・コーエン、さらにマーカス・ロバーツ・トリオでも演奏している、いまひっぱりダコの新鋭。
その他、カメルーンが生んだ最高のミュージシャン、リチャード・ボナ(b)、ベトナム出身のマンハッタンでミュージシャンの評価がうなぎのぼりのトランペッター、クオン・ヴーを加えた、メセニー自身が言うところの"史上最強のメンバー"で録音された。あらゆる可能性を含むメセニー・ワールドがさらに大きく展開し始めた。
2003年2月、「第45回グラミー賞-ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバム」を受賞した。ある意味でのPMGの新しい展開を予測させた新世代のミュージシャン達の参加が注目だった。この時期から映像作品も含めて、メセニーの世界はジャズがかつて抱えた最も広範なクリエイティビティを獲得するに至った。
▼Joe Zawinul / Zawinul Syndicate

||||| 「ロートラーの手稿」BACK NUMBER |||||
第11回~PICK UP ARTIST(4)~「BeautifulでFUNKYなCANDY DULFER」
第10回~PICK UP ARTIST(3)~「全てが驚きだった!Return To Forever」
第09回~AOR特集(1)~「MICHAEL FRANKS」
第08回~ドラムにメロディーがある!?~「ANTONIO SANCHEZ」
第07回~Jeff Healey,Forever!~「魂のギタリスト」
第06回~音速のギタリスト達~「PRAT 3」
第05回~音速のギタリスト達~「PRAT 2」
第04回~音速のギタリスト達~「PRAT 1」
第03回~PICK UP ARTIST(2)~「はっぴいえんど」
第02回~PRECIOUS GUITAR~「JAYDEE CUSTOM SG」
第01回~PICK UP ARTIST(1)~「JACO PASTORIUS」
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