オンガクの正体♯17
「音源にまつわるビートルズの楽しみ方 パート2」
~ある音楽チャンネル編成マンのひとりごと~
PRESENTED by JOHJI HARIMURA
更新日09.09.10 コメント:0件 トラックバック:0件
暑くなったり、寒くなったりしながら、秋、9月になりました。
皆さん、いかがお過ごしですか?針村丈二です。
そして、いよいよその日になりました!新たにデジタル・リマスターされた
ザ・ビートルズの全オリジナル・アルバムが全世界同時発売される、その09年9月9日のことです。
■1988年に213曲の全公式音源のCD化が完了して以来、それらのCDアルバムこそ一般的なビートルズ・サウンドでしたが、今回、「21世紀に最高の音質でよみがえるザ・ビートルズ!」というEMIの広報通り、新たにデジタル・リマスターされての新音源です。言い換えれば、これまで我々ファンが慣れ親しんできた「ビートルズ・サウンド」が、誰も聞いたことがないサウンドへ再び一新されたのです。「再び」とは、ビートルズ現役時代にレコードを買い求め、「モノラル盤」や「オリジナル・アルバム」をリアルタイムで親しんできた諸先輩方にとっては、CD化された音源は「最初の更新」であり、今回は、約20年ぶりの「再更新」ともいえるバージョン・アップです。なかでも注目は、現在はモノラル・ミックスのみとなる「Please Please Me」から「Beatles For Sale」までの初期4作品が初めてステレオCD化されたこと。そしてもうひとつ、ビートル・マニアたちのお楽しみが、オリジナル・リリース時に、モノラル・ミックスで発表していた全作品を収めたボックス・セット「The Beatles In Mono」。ここには、88年のCD化に際してリミックスされる前の「Help!」「Rubber Soul」のオリジナル・ステレオ・バージョンも同時収録されるとあって、自分のようなファンにとってはうれしいおまけです。
今回の「オンガクの正体」は、以前の続編として、
「音源にまつわるビートルズの楽しみ方 パート2」をお送りします。
「前回までのあらすじ」が長くなりますが、「モノラル」とか「ステレオ」、「CD」とか「レコード」で、ビートルズを聴き分ける楽しみが、そのポイントです。ビートルズ解散後に発表された音源を除くと、コア・カタログである全15組のCDアルバムに収められた公式録音曲は、213曲となりますが、これら公式曲の「音源の違い」が、これまでに発売されたレコード・CD、また、レコードのみ公式に発売されたコンピレーション・アルバムからでも、たくさん見つけることができるのです。ビートルズに関する、この種類の研究は非常に進んでおりますので、ここでは代表的なものを、個人的にピックアップしてみます。情報は、既発のレコードとCDのライナー・ノーツ、「ビートルズ&アップル・マテリアルズ」(和久井光司著 株式会社ビー・エヌ・エヌ)、「改訂版 ビートルズ大百科」(ネヴィル・スタナード著 株式会社ソニー・マガジンズ)、「レコード・コレクターズ」及び、増刊号である「ザ・ビートルズ・コンプリート・ワークス」より、引用させていただき、紹介します。
まずは、「モノラル」と「ステレオ」による「ミックス違い」。
■モノラル・ミックスが主流であり、ステレオ化への過渡期だったビートルズの現役時代。このため、「Abbey Road」、「Let It Be」以外のオリジナル・アルバムには、モノラルとステレオの2つのミックスが存在し、曲によっては、同じ曲でも、異なるテイクやミックスが使われていることがあります。例えば、リンゴ・スターがヴォーカルの誰もが知っているあの「Yellow Submarine」も、「モノラル」と「ステレオ」では、曲アタマからミックスが異なります。「ザ・ビートルズ コンプリート・ワークス②」に収録の森山直明さんの記事「テイク/バージョン違いを徹底調査」によると、「オープニングのギターが入るタイミングは、モノの方がステレオより1拍早い」。また、同じくアルバム「Revolver」に収録の「Eleanor Rigby」。CDをヘッドフォンで聞くとすぐにわかりますが、「主題部のポールのリード・ヴォーカルが右チャンネルに入っているが、最初の"Eleanor Rigby"の"Ele-"の部分だけが左チャンネルにも入っている」。これは、ミキシンングのミスという説が有力だそうですが、モノは、当然、1チャンネルにミックスされているので、そのような不自然な部分はありません。このような「ミックス違い」をはじめ、中には、表にして表さなければならないほど、多くのポイントでミックスが異なる曲も数多くあります。あの有名な「I Am The Walrus」に至っては、計8バージョン存在することを、前出の「ザ・ビートルズ コンプリート・ワークス②」にて、同じく、森山直明さんが報告しています。この「テイク/バージョン違い」は、まだまだたくさんありますので、興味のある方は、ぜひチェックしてみて下さい。
次に、さらにマニアックな
「レコードのマトリクス番号によるミックス違い」。
■マトリクスとは正確にはレコードの原盤番号のことですが、ここに例として上げるレコードにおいては、溝の内側にあるその原盤番号を含む刻印のことが話のポイントになります。「レコード・コレクターズ」2000年12月号の和久井浩司さんの記事によると「マトリクスが明らかな内容違いを示しているのは、『ラバー・ソウル』『リヴォルヴァー』だ。」とあります。続けて、"ラウド・ミックス"(または"ラウド・カット")と呼ばれる「Rubber Soul」のモノラル・レコードの初回盤についてのマトリクス番号"XEX579-1"(A面) "XEX580-1"(B面)について、「"1"はレベルが異常にデカく、リミッターの掛け方が"2"以降とは明らかに違う。普通に聴いて音圧があるのはもちろん、「ザ・ワード」のオルガンや、「ラン・フォー・ユア・ライフ」のタンバリンはリミッターで押さえた感じがしない生々しい音で、歪む寸前だ。(中略)この盤で聞くと全体の印象は、一気に『リヴォルヴァー』の方に近くなるぐらいである」とあります。
また、「ザ・ビートルズ コンプリート・ワークス②」森山直明さんの記事によると、『Revolver』のモノラル初回盤"XEX606-1"(B面)について、アルバムの最後を飾る革新的な名曲「Tomorrow Never Knows」が通常のモノ盤ともミックスが異なるという。同じモノ・ミックスでも、初回盤の方は、例えば、イントロのタンバリンが入っていなかったり、演奏時間も3秒ほど長いのでエンディングのピアノを「余計に楽しめる」とあります。先日、この2枚のレア・レコードを友人宅で聴かせてもらいましたが、ビートル・マニアだからこそ、ありがたいレコードであり、一般の人に、その差はあまり感じられないのではないかという印象でした。しかし、このマトリクスを持つレコードは、中古レコード店でも、屈指の高値レコードとして、店頭に飾られております。
■次回は、公式なアルバムとして発売されながら、カタログから消えてしまった「レコードのオリジナル・アルバムとコンピレーション・アルバム」から、音源の違いを紹介してみます。9月9日には、いよいよ新音源が発売です。それにしても、ステレオとモノの両方のボックス・セットの日本盤を定価で買うと、しめて合計75.600円!ビートルズを追いかけるのは、いくつになっても、たいへんですよね。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
■PROFILE
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■針村丈二<ハリムラ・ジョウジ>
大学卒業後6年間、TV制作会社に勤務した後、97年フランスW杯アジア最終予選の最中、某CS音楽チャンネルに移籍。番組ディレクター、プロデューサーを経て、現在、編成部所属。趣味は、読書、音楽鑑賞、スポーツ観戦と、いたって普通。この5月で40歳。前厄。一児の父。
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||||| THE BEATLES★RELATED WORKS |||||
▼「Beatles In Mono」

※HMV レビュー
オリジナル・モノ・ミックスのアルバム10タイトルと2枚組『モノ・マスターズ』の11タイトル、13枚入りのボックス・セット。『Help!』、『Rubber Soul』、『Revolver』、『Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band』、『Magical Mystery Tour』、『The Beatles (White Album)』はモノ・ヴァージョン初CD化!さらに『Help!』、『Rubber Soul』は1965年当時のオリジナル・ステレオ・ミックスも収録。
▼「Beatles (Long Card Box With Bonus Dvd)」

※HMV レビュー
ビートルズの全オリジナル・アルバムがCD化以来初のデジタル・リマスター化!
こちらはステレオ盤12タイトルと『MAGICAL MYSTERY TOUR』、『PAST MASTERS』の14タイトル、トータル16枚に、それぞれのCDにボーナス映像として収録されたミニ・ドキュメンタリー映像を1枚にまとめたDVD(NTSC/REGION=ALL 日本国内向け再生機器でも再生可能です)がセットとなったボックス・セットです。
▼コンプリート・ビートルズ
(リマスターCD発売記念公式ガイド)

※HMV レビュー
2009年9月9日に長く待たれていたリマスターCD(全15タイトル)が全世界でリリースされるビートルズ。これを機に、ザ・ビートルズ・クラブ(オフィシャル・ファンクラブ)の監修により、ビートルズ作品の公式ガイドブックを発売。40年間ビートルズとともに歩んできたクラブが制作する「公式」ガイド。
▼EMIミュージック・ジャパン公式サイト
http://www.emimusic.jp/beatles/
■ザ・ビートルズ、秘蔵写真でつづる
完全ヒストリー・ブック「ザ・ビートルズ フォトクロニクル」発売
▼ザ・ビートルズ「ザ・ビートルズ スタッフが語るリマスタリング」
※ザ・ビートルズ「ザ・ビートルズ スタッフが語るリマスタリング」
「ザ・ビートルズ・リマスター」を手がけたエンジニアで あるガイ・マッセイと、コーディネーターのアラン・ロー ズが2009年7月に来日、インタビューに答えました。
||||| 「オンガクの正体」BACK NUMBER |||||
♯16 「清志郎、本当に本当にありがとう!」
♯15 「音源にまつわるビートルズの楽しみ方」-Part1-
♯14 「恋する気持ちと音楽の関係」 -Part2-
♯13 「恋する気持ちと音楽の関係」 -Part1-
♯12 「MTV ロック検定のお話」
♯11 「ap bank fes'08」のミニ・レポート
♯10 「ロックTシャツのユーティリティ!?
♯09 「お気に入りの音楽、心に響く歌詞」
♯08 「あの頃の音楽体験」について
♯07 「70年代を駆け抜けた2冊の本から思うこと!」
♯06 「お気に入りのライブ・アルバム」
♯05 「ライブという音楽体験」
♯04 「ALL ABOUT FUJI ROCK!」
♯03 「心の音楽マスター」
♯02 「音楽をキャッチできる場所」
♯01 「天から降りてくる旋律をキャッチしていくこと」
||| BEATLES★OTHER WORKS |||
▼「OASIS RECORDS」のBeatles Collection
http://www.oasis-records.com/disc/b/beatles/beatles_01.html
▼ビートルズ&アップル・マテリアル
withブリティッシュ・ビートニクス 増補新装版
※バッドフィンガーからモンティ・パイソンまで、ビートルズを中心とする全ての人脈を網羅した、ビートルズ&アップル・レーベル徹底カタログ。著者本人も及第点をつけられたという02年版に新たな情報を加えて改定。
||||| PRODUCTS |||||
▼「Gibson ギブソン / ES-335 Satin Cherry」
【特製ポスター・プレゼント】《チューナー&ギグケースプレゼント/SET80900》

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※1958年に生まれたES-335は、伝統あるホロウ・ボディとソリッドのパフォーマンスが結晶したモデルであり、いつの時代にも伝統のデザインのひとつとして支持され続けています。カスタム・ショップは、コンセプトはそのままにサテン・ラッカー・フィニッシュで仕上げたプレーン・トップを採用するなど、コストパフォーマンスに優れたモデルを作り上げました。
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