「パフォーマンスの壺」
第27 回「聴いていないお客さんをライブに集中させるテクニック。」
PRESENTED by HIROO SATO
更新日09.12.14 コメント:0件 トラックバック:0件
ライブというものはわかる人にだけわかればいいというものではないということをこれまで何度か書いてきました。特にMCがまったく見知らぬお客さんを無視したようなものであったのならば、そのお客さんはほとんど面白くありません。そういうMCをしてしまう人は見知らぬお客さんにとってはなんだか感じの悪い出演者に見えてしまうかもしれません。ですので、お客さん全員にわかる感じの良いMCができるようにしたいものです。
ところが感じの悪いのはミュージシャンだけではない
場合がまれにあるのです。それはお客さんであります。
■たとえば静かな曲をやっているのに大声でしゃべっているというお客さんはそのいい例です。こうしたお客さんに困っているのはミュージシャンだけではありません。実は、あるところが行った「ジャズクラブの困ったお客さん」というアンケートで「大声でしゃべるお客さん」というのが1位になったことがあります。そりゃそうです。みんな音楽を聴きに来ているのに、大声で会話されたら周りのお客さんに迷惑です。これはジャズクラブに限りません。
電車の中の携帯電話や、喫茶店での大声の会話なんていうのも同じようなものでしょう。もしも電車の中で大声で電話をしている人がいたらあなたはどうしますか?下手に注意をしたなら返って逆に「なんだと?」なんて言われかねませんよね。さらに喧嘩にでもなったら当事者だけでなくきっとまわりも不愉快になるはずです。
そうなんです。ですので、ライブ会場において、もしもうるさいお客さんがいても「静かにしてください」と言ったら逆効果なのです。ではずっと我慢してライブをしなければならないかというとそうではありません。
この「パフォーマンスの壺」の連載を読んで来られた読者の皆様ならば、そんなお客さんをも一緒に楽しんでいただくテクニックを思いついていただけるかもしれませんね。
まずは状況を把握することです。
■ほとんどのお客さんが静かに曲を聴いているときに、あるテーブルのお客さんだけが大声で話をしているという状況です。
ここで、そのお客さんは何について話をしているのかを演奏しながら確認します。もしも、その会話が「ライブはやっぱり楽しいねー」みたいなものだったらある意味でお客さんであります。しかし、「お昼のかつ丼がまずくってさあ、あんな店はもう行かないよ」みたいに全然関係ない話であった場合は?
じゃーん! この場合もお客さんなのであります。「なんで?全然聴いてないのにお客さんじゃないでしょー?」こう思ってはいけません。
そもそもライブが面白くなくて会話を始めてしまったかもしれませんし、実はそのライブハウスの常連さんであるかもしれません。もしも、ライブがわかりにくくて楽しめないのであれば、それはライブの仕方にどこか問題があったのかもしれません。さらにお店の常連であったとしたのならライブが好きなのはほぼ間違えないわけで、だとするのならば他の日にはちゃんと聴いている可能性だってあります。
ですので、「静かに聴いてください」と言う前に、まずはなんとか楽しませる方法を考えねばならないのです。電車の中で大声で電話するような人はライブハウスでもきっと同じでしょう。しかし、そういう人は絶対にライブを聴かないでしょうか?そうとは限りません。ですので、まずは実践です。
ここでよく使われるのがボリュームダウン技です。曲の途中でしゃべっているお客さんが気になった場合、演奏途中でもわざと音を小さくしていくのです。これによって、大声でしゃべっていたお客さんは急に静かになったので自分の大声がめちゃくちゃ目立つため、声のボリュームを下げてくれるのです。一度はこれを試してみることをお勧めしますが、そもそもそんなことを気にせず大声でしゃべっているようならこれはちょいとやっかいです。次の曲を大きい音の曲に変更し、そのお客さんの会話がかき消されるようにしてしまうという方法がひとつ。ただし、これはそのお客さんの声をさらに大きくさせてしまう可能性もあります。もしも、そのようなことになった場合は、次なる手段を講じます。
それはダンスナンバーです。
■簡単に言うと、そのお客さん以外が踊り始めれば、状況が変化したことによってそのお客さんもライブを聴き始めざるを得ないという戦略です。これは自分以外全員がライブで盛り上がり踊っているとなると、逆に自分だけが踊っていないのもなんだか変だし、「あれ、このライブ面白いのか、全然聴いてなかったぞ」と反省させてしまうことが可能なのです。そうなればしめたもの。そのお客さんも急にライブに参加しはじめ、踊りだすかもしれないのです。ただし、そのお客さん以外の大多数を踊らせねばなりません。これはライブパフォーマンスの壺を熟知したうえで、初めて踊らせることが可能なわけです。その意味ではお客さんをコントロールできるテクニックを身につけている人は可能ですが、そこまで至っていない人にとっては至難の業となってしまいます。
そこで案外、簡単にしゃべっているお客さんを
ライブに集中させる技を書いてみようと思います。
■それは質問攻撃です。
いえいえ、そのお客さんに直接質問するのではありません。質問包囲網を作るのです。その質問の内容は大したことでなくてOKです。たとえば、「そちらのお客さんは東京生まれですか?」といった程度です。これならば、誰しも答えられます。しかし、いきなりなぜそんな質問をしてくるのかとお客さんは感じるでしょう。そこで、まずは答えてくれそうな人を探して、それが知り合いでも知り合いと周りには悟られぬように「そちらの赤い服のお客さんは、東京生まれですか?」と聞くのです。すると知り合いですし、質問されたことを他のお客さんにも聞かれている手前、「北海道です」なり答えてくれるわけです。
ここで、大事な場面がやってきます。しゃべっているお客さんのすぐ近くのお客さんに同じ質問を投げかけるのです。すると2番目に質問をされたそのお客さんは最初に答えていた人がいるだけにとても答えやすくなっています。それゆえ「大阪ですー」とか返事をしてくれるのです。ここで重要なのが、その状況を大声で話をしている相手がそれに気が付いたかどうかです。すぐ隣の席の人が「大阪ですー」と答えたわけで、「あれ、何が起こっているのだろう?」と気になったかどうかです。気が付いているようでしたらその大声の主の連れに同じ質問をしてみます。
すると大声で話しかけていた相手がステージに反応しているとなると大声の主も「え? 何?」ってなるわけです。するとその話し相手が「私は山梨です」とか答えたら、すぐさま、その次のテーブルへと同じ質問をしてみるのです。これによって大声の主は自分だけがライブを聴いていなかったことに気が付きます。
「みなさんにお伺いしてわかりましたが、やはり東京出身の人って案外少ないんですね。私は新潟なんですけど、地方から来た人にとって東京ってやはり特別な場所だと思います。これはおそらく新潟だからとかでなく、全国どこでもかもしれません。もしかしたら次の曲の歌詞と同じ気持ちの方もいるかもしれませんね。ではそんな思いがこもった東京という曲をお届けしましょう」。という具合につなげると大声の主は前述した自分以外全員がダンスしている状況に近い空気を感じて、「ちょっと聴いてみるか」となるのです。これならさほど難しくないですよね。無論、質問内容は曲につながるのであれば何でもかまいません。曲でなくとも面白い話にでもつなげればOKです。
■さて、大声でうるさい人を静かにさせるには大声の張本人に注意するよりも他の大勢を利用してライブに参加させてしまうほうがライブをより盛り上げていくコツだと言えましょう。周りのお客さんも大声の主をうまく静かにさせたものだと感心してくれること請け合いです。学校の先生みたいに直接注意をしたり、ましてやチョークなんか投げつけられたらその生徒はむっとしてしまったり、あるいはその先生を嫌いになってしまうでしょう。ですので周りを使ってうまくライブをできるようになればお客さん全員が楽しめる。難しくはありません。パフォーマンスの壺に書いたことをしっかり繰り出していれば可能です。
ぜひそんな場面が来たらやってみてくださいませ。
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■PROFILE 佐藤ヒロオ
1962年9月18日生まれ。ライブハウス、「荻窪ルースター」、「Rooster NorthSide」オーナー。音楽雑誌などの執筆他、著書に『荻窪ルースター物語』(ポット出版)がある。
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▼「地階から胃薬」
このコーナーはルースター総支配人による不定期更新のコラムです。ルースターの事、総支配人の事、出演者の事、お客様の事をはじめ、ルースターにまつわるいろんな事柄をご紹介しております。お茶でも飲みながらゆっくりとご覧くださいませ。
http://www.ogikubo-rooster.com/main/column/index.html
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||||| ROOSTER NORTHSIDE BLUES SESSION |||||
■毎週(月曜日)、「ルースター・ノースサイド」で行われております「BLUES SESSION」の模様を一部VTRにしましたので、お時間のある方は是非ともご覧下さいませ。セッションに参加された皆さん、楽しそうに演奏しておりました。
▼PART-1
▼PART-2
▼PART-3
||| 「パーフォーマンスの壷」BACK NUMBER ||||||
第01回「ライブステージング術」
第02回「ブルースセッションの楽しみ方」
第03回「うまい拍手の取り方」
第04回「見知らぬお客さんへの配慮を忘れずに」
第05回「してはならない身内ノリ」
第06回「客席との会話が最終的な盛り上がりへ導く」
第07回「ライブ中に困った場合の対処法」
第08回「バンドメンバーをものせてしまうテクニック」
第09回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART1-
第10回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART2-
第11回「ライブ成功の鍵はライブの前の挨拶から」
第12回「ライブ前の知り合いへの挨拶は控えめに」
第13回「お客さんに一緒に振り付けをしてもらうテクニック」
第14回「ライブパフォーマンスはバンド全員でこそ。」
第15回「選曲方法をもう一度考えてみる。」
第16回「自分を下げてお客さんを上げるステージング術」
第17回「おやじバンドの初ステージ!」
第18回「ライブハウスでのリハーサルの仕方。」
第19回「人に見られることを鍛えてみる」
第20回「人の技みて我が技増やせの巻」
第21回「ライブの流れを決めるキーワードの巻」
第22回「ステージと客席の壁はなぜできるのかの巻」
第23回「お客さんが少ない時のライブ方法」
第24回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」
第25回「MCが苦手な人のほうが正しいMCが上手になる?」
第26回「その道のプロに学ぶライブに対する考え方。」
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今日はあの「FREE」時代の名曲「Be My Fried」を!
この曲は、「FREE」オリジナル・メンバーによる最終作で通算4枚目のアルバム「Highway」(1970年発表)の中の1曲。ポール・ロジャースのブルージーでソウルフルなバラード・ナンバー。この「渋さ」とグルーヴを20歳そこそこで醸し出していたとはやはりPaulのパフォーマンスは驚きです。
▼Be My Friend - Free - Paul Rodgers
※ポール・ロジャースのブルージーで渋いボーカル、ポール・コゾフの誰にも真似のできない名人芸とも言えるチョーキングとビブラートから生まれる泣きのギター、贅肉をそぎ落とし、ビート本来の魅力をドラムに叩き込むサイモン・カーク、そしてフレーズ、リズム感、オリジナリティなどどれを取ってみても完成された領域に達していたアンディ・フレイザーのベース!この4人が渾然一体となって生み出すサウンドは、今聴いても鮮度を失うことはありません。
中でもアンディとポール・ロジャースは時代を超越した「REAL」があります。ポールの歌声は音楽関連のメディアから「The Voice」と呼ばれるほど類稀なるものであり、歌の旨さは多くの一流ミュージシャンがリスペクトするほど。そして縦横無尽に走るアンディのベースは特筆もので、曲、バンド全体の大きなアクセントになっています。音数が少なくシンプルながら、個性的でパワフルでクールな演奏も良いと思うのですが・・・。音と音との間の聴こえないストリームを愉しむのもまたおつなものです。今流行の音楽では決して味わえない部分かもしれません。
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【マーチン アコースティックギタ-】
■Little Martinシリーズのコアウッドカラーバージョンです。通常マーチンギターのスケールは25.4インチが主流ですが、こちらは23インチ(約584mm)スケールのコンパクトさが魅力!(ギターの全長は約864mm!通常の5/6ほどの大きさです。)見かけによらず最適な質量を確保しており、演奏性、サウンド共にしっかりしているところはさすがマーチンですね。Xシリーズの特徴である木目をプリントしたHPL(リサイクル材を利用したハイ・プレッシャー・ラミネイト材)をボディに採用し、マーチンの最新技術を徹底的に盛り込むことで、抜群のコスト・パフォーマンスを実現しています。お洒落なロゴ入りギグバッグが付属して持ち運びもスマート!チューニングは通常通りのレギュラー・チューニングでご使用頂けます。
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※アコースティックギターを中心とする弦楽器のトップブランドとして、170年以上にもわたって優れた楽器を世に送り出してきたマーティン社。初代クリスチャン・フレドリック・マーチン氏がドイツからニューヨークに移住し、楽器店とギター製作を開始したのが1833年のこと。これが今でもマーティンギターのヘッドロゴに入れられている年号なのです。
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