「パフォーマンスの壺」
第29 回「ミュージシャンも客商売。」
PRESENTED by HIROO SATO
更新日10.02.08 コメント:0件 トラックバック:0件
ミュージシャンとはどんな職業でしょうか?
「楽器を弾いたり、歌ったりする仕事でしょ?」
はい、たしかにそうなのですが、実は聴いてくれる人がいなければ成立しない職業であります。ハンバーガーだって車だって買ってくれる人が誰もいないのならば、これはそもそも職業にしようとは誰も考えません。そう考えるとミュージシャンも客商売と言えるのではないでしょうか?
この客商売という発想は何も
プロミュージシャンだけに当てはまることではありません。
たとえば世の中に多数いるアルバイトの人は「私はアルバイトだから」と適当な接客をしているでしょうか?ハンバーガーショップの店員も素敵な笑顔でお客さんをもてなしていますし、ファミリーレストランでも「いらっしゃいませー」と明るく対応をしていますよね。もしもハンバーガーショップの店員が偉そうな接客でもしようものならば、お客さんは怒って当然。お店としてもそんなことをされたら大変です。下手をすれば信用問題にもなりかねません。
さて、これをバンドに置き換えてみるとわかりやすいのです。
■多くのバンドは客商売でありながら、自分たちの見え方ばかり気にしていて、案外お客さんのことを考えていないのが実情ではないでしょうか?もちろん、「いらっしゃいませー。今夜はどんな曲がお好みでしょうか? はい、○○ですね。バンマス、○○リクエスト入りましたー」なんてウエイトレスのような対応をすべきだと言っているわけではありません。でも、あなたの音楽をわざわざライブハウスまで来て聴いてくれているのですから、通りがかって立ち寄っただけのハンバーガーショップの店員よりも、気持ち的にはもっとありがたみを感じてもいいのかもしれませんよね。この発想を持っていない人が多いのはそもそも「バンドとはこういうものだ」という変な凝り固まった考え方をしていて疑おうともしないからかもしれません。
「俺たちはロックだからこれでいいんだ!」と、
思っているならもしかしたら考え直すべきかもしれません。
たとえば、あなたが営業マンの仕事をしているとします。普通の営業マンは商品を売りますが、なかなか思うようには売れません。しかし、トップセールスマンはなぜか飛ぶように売ってしまいます。これはどうしてなのでしょう?普通の営業マンはいくら身なりを整えようと、商品の知識を習得しようとトップセールスマンにはかないません。普通のセールスマンは商品の魅力を語りますが、トップセールスマンはお客さんの心理まで操ります。いわゆるセールステクニックを熟知した上での営業です。ところが、普通のセールスマンは「どうしたら売れるのだろう」と悩んでいる状態で営業をしています。ゆえに売れるかどうかはうまく買ってくれるお客さんに出会うかどうか。これで売り上げが大きく左右してしまうのです。
実はバンドも一緒です。
■「俺たちの音楽をわかってくれる人を探し続けてライブをしているけれど、なかなかいないんだよね」。そうです。これ、普通のバンドなわけです。音楽をわかってくれる人を探すのではなく、どうしたらお客さんが喜んでくれるのか?実はこれが重要です。これをわかっているバンドは常にライブが盛り上がりますし、その方法を知らないバンドは盛り上がるかどうかはその日次第ということになってしまいます。つまりトップセールスマンと同じように「お客さんのニーズを知っていたり、あるいはニーズを開拓し、提案する」。この意識を持つことがライブを常に成功させる秘訣と言えましょう。
では、お客さんはライブに何を求めているのでしょうか?
もしもその人が大好きなアーチストのライブに行くのであれば、ある意味でステージに登場しただけでもう喜びます。しかし、そんなアーチストになっている人はごくわずか。多くの場合は好きだけども出てきただけでは大喜びまではしない、もしくは誘われたからライブに行くというパターンでしょう。それにお客さんの中にはあなたのバンドを知らないで来ている、または他のバンドを見に来て偶然あなたのバンドも聴いているという人も混ざっているかもしれません。まずはこうしたお客さんたちのことを考えてライブをしなくてはなりません。「そんなこと言ったってお客さんは様々で、好きな音楽も違うでしょ?」そういう人もいるかもしれませんね。
ではお答えしましょう。
お客さんは何を求めているかというと、実はあなたのバンドには過度な期待をしていません。好きなバンドを見に行く場合、いつもと同じようなステージでも納得してしまいますし、まして、知らないバンドがステージにいたらとりあえず「どんなバンドかな」と1曲目を聴いてみるという具合。ですので、過度な期待を持って聴いているわけではないのです。それならば、ライブをする上でプレッシャーはかなり少ないと思いませんか?しかしながら、つまらないライブをしてしまえば、完全にそれまで。
もうあなたのバンドは友達でない限りは今後わざわざ足を運んでまで聴きに行く対象のバンドにはならないのです。でも言ってみればこれがいわゆる普通のバンドです。先ほどの普通のセールスマンと同じで、わざわざお客さんが「絶対このセールスマンから買いたい」と思わないのと一緒。
ではどうしたらいいのか?答えは明確。
期待を上回ればいいだけです。そしてその期待と言っても前述したようにお客さんは過剰な期待を持って来ているわけではないので、その意味ではそれを上回るのは意外に難しくはないわけです。簡単な話が、お笑いでもそうですが、まずはつかみができれば後はこれまで書いてきたテクニックを繰り出していけばいい。それだけで期待を上回ることができるのです。見知らぬ人を巻き込んでの手拍子やダンス、総立ち、こういうことはパフォーマンスの壺さえ心得ていれば、さほど困難ではありません。高価な商品を売るよりもお客さんを楽しませるほうがどんなに楽かってことです。ならばライブ界のトップセールスマンになることも実は可能ということに。
どうしたらお客さんが喜んでくれるのか?
客商売であれば、考えてしかるべきことを普通のバンドは一切考えていなかった。これこそが、バンドが考えていかねばならないことなのです。
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■PROFILE 佐藤ヒロオ
1962年9月18日生まれ。ライブハウス、「荻窪ルースター」、「Rooster NorthSide」オーナー。音楽雑誌などの執筆他、著書に『荻窪ルースター物語』(ポット出版)がある。
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▼「地階から胃薬」
このコーナーはルースター総支配人による不定期更新のコラムです。ルースターの事、総支配人の事、出演者の事、お客様の事をはじめ、ルースターにまつわるいろんな事柄をご紹介しております。お茶でも飲みながらゆっくりとご覧くださいませ。
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▼PART-1
▼PART-2
▼PART-3
||| 「パーフォーマンスの壷」BACK NUMBER ||||||
第01回「ライブステージング術」
第02回「ブルースセッションの楽しみ方」
第03回「うまい拍手の取り方」
第04回「見知らぬお客さんへの配慮を忘れずに」
第05回「してはならない身内ノリ」
第06回「客席との会話が最終的な盛り上がりへ導く」
第07回「ライブ中に困った場合の対処法」
第08回「バンドメンバーをものせてしまうテクニック」
第09回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART1-
第10回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART2-
第11回「ライブ成功の鍵はライブの前の挨拶から」
第12回「ライブ前の知り合いへの挨拶は控えめに」
第13回「お客さんに一緒に振り付けをしてもらうテクニック」
第14回「ライブパフォーマンスはバンド全員でこそ。」
第15回「選曲方法をもう一度考えてみる。」
第16回「自分を下げてお客さんを上げるステージング術」
第17回「おやじバンドの初ステージ!」
第18回「ライブハウスでのリハーサルの仕方。」
第19回「人に見られることを鍛えてみる」
第20回「人の技みて我が技増やせの巻」
第21回「ライブの流れを決めるキーワードの巻」
第22回「ステージと客席の壁はなぜできるのかの巻」
第23回「お客さんが少ない時のライブ方法」
第24回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」
第25回「MCが苦手な人のほうが正しいMCが上手になる?」
第26回「その道のプロに学ぶライブに対する考え方。」
第27回「聴いていないお客さんをライブに集中させるテクニック。」
第28回「すぐできる盛り上げ術あれこれ」
||||| SELECTED★IMAGE |||||
今回は、平均年齢54.5歳!最強のオヤジ・バンド
「Chickenfoot」のPVをお送りしたいと思います。
▼Chickenfoot - "Soap On A Rope" Music Video
■「Classic Rock Roll Of Honour」アワーズ2009で最優秀ニュー・バンドに選ばれた「Chickenfoot」!
LINE UPは、サミー・ヘイガー(Vo & G)、ジョー・サトリアーニ(G)、マイケル・アンソニー(B)、チャド・スミス(Dr)!この4人が織り成すパフォーマンスは「さすが!」の一言に尽きます。そしてこの風変わりなバンド名は文字通り「ニワトリの足」ですが、バンド・ロゴは伝説の音楽イベント「ウッド・ストック」でお馴染み、平和の象徴であるロゴへのオマージュ的要素があって面白い。
メキシコにあるSammy Hagarが経営するクラブ「Cabo Wabo Cantina」でVan Halen時代のメンバーだったMichael Anthony、そしてRed Hot Chili PeppersのドラマーChad Smithと3人でジャムって遊んでいると、どこからともなくいつになったらレコーディングやツアーをするんだい?と言った話題が持ち上がってきます。そしてそんな周囲の問いかけに後押しされるかのように3人はバンドにはなくてはならないギタリストを探すことになった。そこでSammyは、予てから世界一のギタリストと思っていたJoe Satrianiにバンドの話をしたわけですが、Joeもこの申し出を快諾。こうしてSupergroup「Chickenfoot」は誕生しました。
■Led Zeppelin、Beatles、Free、Black Sabbath、Kissなどあの4人が集まったからこそ、唯一無比のクルーヴ感や多くの音楽ファンを魅了する音楽が生まれたのと同じように、このChickenfootもサミー・ヘイガー、ジョー・サトリアーニ、マイケル・アンソニー、チャド・スミスの4人だからこそ到達できたROCKの世界観があります。しかし、このメンツで新しいバンド、しかも平均年齢54.5歳のHard Rock Bandの結成を誰が想像できたでしょうか?
▼尚、「Chickenfoot」に関する詳しい内容はこちらをご覧下さい。
「BUZZ & BEAT!」(28) - Super Group! Chickenfootをチェック!-
▼Chickenfoot Official Website
http://www.chickenfoot.us/
★「Chickenfoot」関連の作品はこちらで!
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1950年代、フェンダー社やギブソン社がソリッドギターを発表するなかで、1953年にジェット・シリーズを発表。54年にはグレッチ社の看板モデルとも言えるチェット・アトキンス・ホロウボディ(現G6120)が発表されます。その後は1960年代にかけて、ロカビリー・ミュージシャンの影響により、グレッチ社は飛躍的に成長しました。
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