オペラ座の夜ACT33 「鬼も大笑い①」
PRESENTED by TSUTOMU SHIMOGUCHI
更新日10.02.09
先日、「新年明けましておめでとうございます。」と、書かせていただきましたが今回は今年の秋から来年の初夏までのお話をさせていただこうと思う。というのは東京・新国立劇場の2010-2011シーズンの予定が発表されたからだ。
ちなみにこの時期に発表されるのは世界中を見渡してもかなり早い方だ。ドイツでは3月くらいから4月。遅い場合は5月。アメリカでは4月くらいか。イタリアは更に遅く5月くらいから夏休み直前。いやいや秋までずれ込むのもよくあること。
さてこのシーズンからオペラ芸術監督が
尾高忠明氏へとバトンが渡される。
彼はキーワードとして「より広く、より深く、そして楽しい」と上げている。事業仕分けという言葉が飛び交う昨今、やはりチケット代収入だけでは成り立たないジャンルなので「より広く」というのはスポンサーサイドからも要求されるのは当たり前。「より深く」はオペラ・ファンも様々。そうした人達らの心の響く公演の質にこだわる。「そして楽しい」は最も大切。芸術なんて不確か、及び人によって全く解釈の違う言葉でよく逃げる人達が多い中、この言葉を選んだ尾高氏に期待せずにはいられない。所詮オペラは娯楽。まず楽しくなくては始まらない。キーワードはこうした意味で自分はとらえている。そんな考えで選ばれた演目を紹介しながら自分なりの楽しみ方を探ってみる。
■2010年10月「アラベッラ」
まずシーズン登場。尾高氏の名刺代わりの作品は「アラベッラ」。ウィーンを舞台に貴族階級の生活が垣間見られるラブ・コメディ。私も初めて観たとき次女が男として育てられるとか、片思いの男性を傷つけないためにお姉さんの代わりにベットを共にするなどかなり突拍子もない物語に驚いたがシュトラウスのキラキラしたオーケストレーションに胸を締め付けられる思いだった。今回の見所は何と言っても衣装をデザインするのが森英恵氏というところ。まさに「より広く」という言葉にピッタリだ。
■2010年10月「フィガロの結婚」
「アラベッラ」と同じ時期に上演されるのが「フィガロの結婚」。2003年に初演された舞台の再演。舞台をシンプルにしたことにより現代に通じる人間の普遍的な問題を浮かび上がらせることに成功した名プロダクション。2007年にフィガロでこのプロダクションに登場したロレンツォ・レガッツォがアルマヴィーヴァ伯爵で再登場。前回と比べるのも楽しいかもしれない。
■2010年11月「アンドレア・シェニエ」
上演頻度の少ない名作「アンドレア・シェニエ」が再登場。2005年に初演されたこのプロダクションは後にスペイン・リセウ劇場にも貸し出された。歌手の顔ぶれに期待せずにいられない。タイトルロールにミハイル・アガフォノフ。また新国立劇場で人気の高いノルマ・ファンティーニ。スカラ座やボローニャの引越公演でお馴染みのアルベルト・ガザーレ。
■2010年12月~2011年1月「トリスタンとイゾルデ」
2010-2011シーズンで最も注目しているのが「トリスタンとイゾルデ」。ニューヨーク・MET、ミラノ・スカラ座など世界のオペラハウスで活躍する大野和士氏が12年ぶりに新国立劇場に登場。演出は斬新舞台を作りながらも「楽しませる」ということを忘れないデイヴィッド・マクヴィカー。振り付けのアンドリュー・ジョージと共に静のイメージの強いこの作品にどんな"動き"をつけるか注目。歌手も強力だ。世界中でワーグナーのテノール役を歌うステファン・グールド。タンホイザー、ジークフリートで成功を収めた彼が難役トリスタンにここ日本ではじめて挑戦する。イゾルデには2009年のバイロイト音楽祭でも同役で成功を収めたイレーネ・テオリン。これはチケット争奪戦が予想される。安心するためにセット券で先に手をうつというのもありだ。
来月は後半の5演目の見所を考えていく予定。
お付き合いよろしくお願いします。
■P R O F I L E ___________________________________________
▼下口 努(しもぐち つとむ)
1966年東京生まれ。映像プロデューサー、音楽愛好家。FM横浜、J-WAVEなどラジオ・ディレクターを経てCS放送の音楽専門チャンネルに転職。テレビ・ディレクター/プロデューサーとして夏のフェスティバルやアンプラグドなど数多くの音楽番組を手がける。現在は様々なエンターテインメント専門チャンネルを運営するCS局でプロデューサーとして活躍している。共著に「ワーグナーの力」(青弓社)がある。
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ACT29 「歌劇場はラグジュアリー??②」
ACT28 「歌劇場はラグジュアリー??①」
ACT27 「ネットで歌劇」
ACT26 「日本の歌劇団」
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▼新国立劇場Website▼
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http://www.teatroallascala.org/
▼ROYAL OPERA HOUSE Official Website
http://www.roh.org.uk/
▼バイエルン国立歌劇場公式サイト
http://www.bayerische.staatsoper.de/
▼Glyndebourne Website
http://www.glyndebourne.com/
▼Bayreuther Festspiele(公式サイト)
http://www.festspiele-bayreuth.de/
▼Salzburg Festival Website
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▼オペラキャストWebsite
http://blog.livedoor.jp/sakag510/
▼San Francisco Opera Website
http://sfopera.com/
▼財団法人日本オペラ振興会Website
http://www.jof.or.jp/
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▼「図解世界史」~歴史がおもしろいシリーズ!
※2005年発行「もう一度学びたい世界の歴史」を、普及版として再編集し書籍化。連綿と続く世界の歴史の転換点や事件の前後関係など、様々な視点からの情報を整理し、ビジュアルに解説。おもしろい雑学も満載。
▼「夢の棲み家」~おもしろ建築ものがたり~
※今、世界で注目される日本の若手建築家たちが造った家と、趣向をこらした世界中のおもしろ物件を収録。ブリキの家、湖上の家、田園の棲み家など、国内外の傑作を通して、未来の家づくりが見えてくる。
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