オペラ座の夜ACT35 「オペラファンの不思議」
PRESENTED by TSUTOMU SHIMOGUCHI
更新日10.04.16
||||| オペラ座の夜 ACT35「オペラファンの不思議」 |||||
4月に入り新生活もスタート。まだまだ寒い日と暖かい日がくるくるとやってくる。体調管理には本当に注意していきたい。
■オペラシーズンはというといよいよ2009-2010シーズンも大詰め。各劇場とも目玉プロダクションをぶつけてくる。
さてそんな中、オペラを観にいこうと思ったとき何を基準に選ぶか。
「演出の時代」という言葉さえ古めかしく感じる昨今、この演出というのはチケットを購入する上で重要な要素に違いない。3大テノールが全盛期のころは歌手目当て、カラヤンやバーンスタインが健在だったころは指揮者目当てというのが基本的要素だったはずだが今は演出もその一角をしめているのだ。
この現実を知っている自分としては
不思議に思うことがあるので書いてみたい。
■2月から3月かけて東京・新国立劇場でワーグナーの「ニーベルングの指環」が上演された。このプロダクションは2001年から2004年にかけて上演されたものの再演。初演当時、ポップな舞台で神話を茶化したとか現代的でわかりやすいなど賛否両論となり劇場が熱をもった上演となった。
そのリバイバル上演ということは演出、手の内、アウトラインはわかっているはず。だが観にいった観客はこの演出は最悪、などという言葉が多く聞かれたことに驚いた。もちろん都合で初演を観られなかった人はいると思うが情報があふれているといえる現代、しかも初演を観て嫌いなのにわざわざチケット争奪戦に加わり安くはないチケット代を払いこの上演を否定する人も多い。正直理解に苦しむ。しかもこの作品は人気作品ということで観たくてもチケットがとれず泣く泣くあきらめた人も存在するのに。
簡単に言うとなぜ、嫌いな上演にわざわざ労力と身銭を削って足を運ぶのか理解できないのだ。ロック、ポップスでも好きなバンドもいれば嫌いなバンドもある。だが嫌いなバンドをわざわざチケットを買って足を運ぶことはない。ヘヴィメタル命のファンがラップのコンサートには足を運ばないだろう。
だがオペラファンは違うようだ。ここでしばらく考えてみる。そうか、きっと上から目線で上演を批評したい人たちが存在するということか。こうした輩の多くは作曲家の意図に反してなどまったく裏の取れない話をして自分の意見を正当化しようとする。多くの作曲家は天国へ召されている以上その説明自体無理があるというのに。
■なぜこんなことをつらつらと書かせていただいたかというとオペラを見るときは素直に楽しんでいただきたいから。前提や予定調和を期待しないで自分にうそをつかずに楽しんでいただきたい。まばゆい舞台、鍛え抜かれた歌唱、何十人が演奏するオーケストラ。それらが別々に楽しむことも可能だがそれらが交じり合って初めてオペラは成立する。もちろん要素がたくさんあるから体験しきれない部分もあると思う。しかし自分の思いは誰にも邪魔されない。人の意見に左右されずぶれない自分の意見として「楽しかった」「つまらなかった」と判断すればよろしい。もし「つまらなかった」としたら何がつまらなかったか。好きな部分もあるが嫌いな部分もあるとしたらそこを取り替えてもう一度体感するといい。それだけオペラは多岐にわたる楽しみ方ができるのだから。
みなさまはぜひぜひぶれない自分の
感想を持ってチケット購入につなげていただきたい。
■P R O F I L E ___________________________________________
▼下口 努(しもぐち つとむ)
1966年東京生まれ。映像プロデューサー、音楽愛好家。FM横浜、J-WAVEなどラジオ・ディレクターを経てCS放送の音楽専門チャンネルに転職。テレビ・ディレクター/プロデューサーとして夏のフェスティバルやアンプラグドなど数多くの音楽番組を手がける。現在は様々なエンターテインメント専門チャンネルを運営するCS局でプロデューサーとして活躍している。共著に「ワーグナーの力」(青弓社)がある。
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▼新国立劇場Website▼
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http://www.teatroallascala.org/
▼ROYAL OPERA HOUSE Official Website
http://www.roh.org.uk/
▼バイエルン国立歌劇場公式サイト
http://www.bayerische.staatsoper.de/
▼Glyndebourne Website
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http://www.festspiele-bayreuth.de/
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▼San Francisco Opera Website
http://sfopera.com/
▼財団法人日本オペラ振興会Website
http://www.jof.or.jp/
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▼あるオランダ人の「昭和ジャパン」論
~不確かな平成から見た確かな昭和~
※「昭和人」ブリンクマンが贈る、日本人には気づけないユニークな昭和論。近年、日本に蔓延する「昭和ノスタルジー」の本質を分析すると同時に、「曇りのない平成のプリズム」を通して昭和という時代を評価する。
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※プロダクトから空間、イベントにいたるまで才能を発揮し「茶の湯」を完成させた千利休がもたらしたデザイン性、その光と影、功と罪を徹底的に解明する。カバー裏に、茶聖70年の生涯をスゴロクで再現。
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