オペラ座の夜ACT36 「オペラの楽しみ バロック篇」
PRESENTED by TSUTOMU SHIMOGUCHI
更新日10.05.12
■オペラ座の夜 ACT36「オペラの楽しみ バロック篇」
初夏を感じる昨今、世界のオペラハウスはシーズン最後の追い込みをかける季節がやってきた。オペラの殿堂、ウィーン国立歌劇場は支配人のイアン・ホレンダーと我が日本を代表する指揮者、小澤征爾氏が音楽監督から勇退となる。残念ながら小澤氏は治療のため指揮台に立つ予定はない。それでも6月にかけて注目の上演が次々と繰り広げられる。我が日本、東京・新国立劇場でも「影のない女」が上演される。故・若杉氏が指揮する予定だった新制作。氏の活躍を思い出しながら楽しみたい。
さて今回はずばり
「オペラの楽しみ」と題して書かせていただく。
■まず取上げるのは「バロック篇」。16世紀末、イタリアから始まり欧州全土に広がった美術・文化。「いびつ」という意味を含んだこのバロック。これを考えると「バロック音楽」が非日常的なものであることが想像できる。
硬い話をおいておく。バロックでもオペラはもちろんある。ヘンデルやパーセル、ヴィヴァルディなどが代表的な作曲家だ。(残念ながらバロックを代表する作曲家、バッハはオペラを書いてはいない)このバロック・オペラのアリアといえば歌手が超絶技巧で声をころころまわして歌ったりする。よく世間でオペラとイメージしたときに物まねされる歌い方に一番近いと筆者は思う。とにかく歌うフレーズに装飾音を付けきらびやかに聞かせる、というのがバロック・オペラの特徴といえる。
実は私、この展開が非常に苦手だった。というのもバロック・オペラのアリア、そのほとんどが同じ歌詞の繰り返し。つまりまったく物語が進まず時間だけがたっていくのだ。オペラのアリアは人の感情と高らかに歌い上げるケースが多いので時間が長くもあり短くもある。それは個人の心の中の叫びだから。まあそれはともかくポップスで言うところの歌詞は1番、2番、3番と変化していく。しかしバロック・オペラのアリアのほとんどは基本的に歌詞は1番も2,3番も同じ。
では何が違うのか。それが先ほど述べた装飾音だ。
■アリアは歌手の技量をとにかく見せる場面だ。歌詞などどうでもいい(言いすぎですね)。2番、3番と進むにつれて歌手としての技量を見せるため難易度の高い歌唱に挑戦していく。ロックコンサートでいうところのギターソロの感覚と似ているかもしれない。そのミュージシャンから繰り広げられるテクニックを思う存分楽しむ、というが正しい鑑賞の仕方。これに気づくために自分はとにかく時間がかかった。よってバロック・オペラを楽しめるようになったのもここ最近。
では気軽にバロック・オペラを楽しむ方法は。
いい映画があります。
それが「カストラート」。虚勢歌手のことで声変わりする前に男性の大事な部分を削除してホルモン分泌を人工的に変更。これにより大人の男性ながら高い声が出るという歌手だ。これを描いた映画でいかにバロック・オペラの反映の彼らの力が必要だったかわかる。当時、大スターとして女性にも大人気になるが男性としては機能しないという葛藤が見事に描かれている。若いうちに去勢しないとカストラートにはなれない。物心つく前。つまり親が子供の将来、貧困からの脱出などのためにしてしまうケースも存在したときく。
現代ではもちろん人道的にもカストラートは消滅した。
では現代のバロック・オペラ上演のためにはどうするか。代わりを務めるのが多いのがメゾ・ソプラノだ。いわゆるズボン役といわれるが女性が男性役を演じるのだ。以前は女性の音域まで声をもつ男性が歌っていたと考えるとなんとも皮肉なめぐり合わせともいえないだろうか。
■P R O F I L E ___________________________________________
▼下口 努(しもぐち つとむ)
1966年東京生まれ。映像プロデューサー、音楽愛好家。FM横浜、J-WAVEなどラジオ・ディレクターを経てCS放送の音楽専門チャンネルに転職。テレビ・ディレクター/プロデューサーとして夏のフェスティバルやアンプラグドなど数多くの音楽番組を手がける。現在は様々なエンターテインメント専門チャンネルを運営するCS局でプロデューサーとして活躍している。共著に「ワーグナーの力」(青弓社)がある。
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ACT02 「税金はどこへ行く?!」
ACT01 「オペラは敷居が高い?!」
||| 作品紹介「カストラート」(DVD) |||
■『カストラート』(原題:Farinelli Il Castrato)は、実在したバロック時代のカストラート歌手「ファリネッリ」の生涯を描いた伝記映画。1994年製作(イタリア、ベルギー、フランス合作)、日本での公開は1995年6月。
監督:ジェラール・コルビオ
製作:ヴェラ・ベルモン
脚本:アンドレ・コルビオ、ジェラール・コルビオ
音楽:クリストフ・ルセ
出演者:
ファリネッリ(カルロ・ブロスキ) - ステファノ・ディオニジ
リカルド ブロスキ- エンリコ・ロー・ヴェルソ
アレクサンドラ - エルザ・ジルベルスタイン
マーガレット・ハンター - カロリーヌ・セリエ
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル - ジェローン・クラッベ
※映画の解説、あらすじなどはこちらを!カストラート(1994) - goo 映画
||| RELATED★LINKS |||
▼新国立劇場Website▼
http://www.nntt.jac.go.jp/
▼ミラノ・スカラ座公式サイト
http://www.teatroallascala.org/
▼ROYAL OPERA HOUSE Official Website
http://www.roh.org.uk/
▼バイエルン国立歌劇場公式サイト
http://www.bayerische.staatsoper.de/
▼Glyndebourne Website
http://www.glyndebourne.com/
▼Bayreuther Festspiele(公式サイト)
http://www.festspiele-bayreuth.de/
▼Salzburg Festival Website
http://www.salzburgerfestspiele.at/
▼オペラキャストWebsite
http://blog.livedoor.jp/sakag510/
▼San Francisco Opera Website
http://sfopera.com/
▼財団法人日本オペラ振興会Website
http://www.jof.or.jp/
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