「パフォーマンスの壺」
第33 回「予想と違うMCで意表を突き、和ませる術」
PRESENTED by HIROO SATO

更新日10.06.08


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roostericon33.jpg私は荻窪でルースターというライブハウスを営んでおります。ライブハウスでは通常、前説をしているお店はありませんが、実は当店では私自らがライブ直前に前説を行っております。ライブハウスで前説があるなんてみなさんはびっくりされるかもしれません。でも、コンサートに行くとよく開演前にアナウンスが入ったりしていますよね。あれをステージ上でマイクを持って行っているのです。
普通、ライブ前にアナウンスがあるとすれば、録音の禁止や写真撮影の禁止などといった注意事項が中心ですが、ああいう説明はどこか堅苦しいもの。私の場合はあの堅苦しさを逆手にとる方法で楽しい前説にしているのですが、実はそこにライブにおいてのMC術のおいしい部分を多く織り込むようにしています。

今回はそんな
  「予想と違うMCで意表を突き、和ませる術」を
         お届けしましょう。

■さて、前述のような堅苦しくて当然と思われるアナウンスであればあるほど意表を突くことが簡単に行えます。実際に私が行っている前説を通してそれを解説してみましょう。まずは私の前説はどのようなものなのかを書いてみます。

crickets33.jpg「今夜は最高級ジャズクラブ、ルースターへお越しいただきましてありがとうございます。私、全国にありますルースターグループの、あ、全国に2店舗ありますルースターグループの総支配人、アントニオ・ロマーリオです。気軽に佐藤さんと呼んでください。さて、今夜はスタンダードジャズでお楽しみいただきます。出演は山田太郎グループ。メンバー紹介は山田太郎さんにしていただくとしまして、私からは当店のシステムを紹介しましょう。ライブは前半1時間、そして休憩が入って後半は水着ショーとなっております。よろしければみなさまもご参加ください。携帯電話は地下ですがつながります。万が一携帯が鳴りましたらバンドさんがボリュームを下げますので遠慮なくお話し下さい。写真撮影は今、受付中です。それではそろそろ、お時間ですね。あ、ちょっと時間が過ぎておりますので本日は2曲目からの演奏となります。それでは盛大な拍手でお迎えください。山田太郎グループー!」

ずいぶん省略しましたが、こういう感じの前説をしております。

■では簡単に解説してみますと、最初の部分でまずはお店の名前を出し、自己紹介をする。これはこの連載で書いてきた「ライブの最初にする挨拶は大事である」という部分。しかし、そのままでは普通なのでそれすら意表を突くという滑り出しであります。中盤の「前半1時間、後半は」と言われたところでお客さんの思考回路は「後半も1時間なんだろうな」ととっさに思っています。ここを「後半は水着ショーです」と言うことでがくっと来る。でも「本当に水着ショーなんかやるわけないでしょ」とはすぐに気が付くので「冗談を言って笑わせようとしているんだな」と笑ってしまうのです。

1549662.jpgさらに注意事項のくだりも「携帯電話の電源は切ってください」と言うかと思いきや、「バンドさんがボリュームを下げるので」と言われ、またしても意表を突かれる。携帯電話が通じるということはお客さんには完全に伝えることはできていながら、お客さんに上から目線で注意しているという図式にはなっていないのです。写真撮影も普通は「だめですよ」と言われますが、それよりも「今のうちにどうぞ」と言うことで「あはは、前説の写真撮ったってしょうがないだろ」と笑いの方向に持って行きながらも写真撮影はいけませんということは伝わっているのです。しかも「時間がオーバーしているので2曲目からになります」というのはもちろん冗談。「前説があったので時間がオーバーしているんじゃないか」ということまでが笑いにつながり、こう言ったことによって「前説なんかいいから早く演奏を始めろ」という空気はなくなり、逆にお客さんは注意事項でありながらも前説そのものが面白かったと感じてくれるのです。

...で、重要なのが
「それでは盛大な拍手をどうぞ。山田太郎グループー!」
とバンドを呼び込む場面です。

mj+jb.jpgこれによってバンドはまだ1曲も演奏していないのに拍手で登場できるのです。拍手が無くバンドが出てくるのと大きな拍手で出てくるのではその空気はものすごく違います。これによってお客さんは緊張もほぐれ、「さあライブを楽しもう」という空気になれましたし、バンド側としても会場があったまっているので演奏しやすくなっています。これはお客さんだけでなく、実はバンドの緊張をもほぐしており、お互いにやりやすい空気感が前説によってできたということになるのです。

さて、もしも前説でお客さんの反応が薄かった場合はどうするか?その場合は、バンドを呼び込む前にひとことこう付け加えます。「今夜は笑いひとつ取れずに始まってしまします」。これによって会場の空気は一変。必ず笑いが起こります。これは以前書いた、自分を下げてお客さんを上の立場に一瞬にして置き換えるという技です。

ewf1.jpg■さて、この意表を突くというのは無論、前説だからできるということではありません。ライブ中にだっていくらでもできるのです。普通だったらこう言うというMCはいくらでもあります。それを違った言い回しにするだけで急に普通に伝えるよりも俄然面白いライブになってしまうのです。たとえばコールアンドレスポンス
普通「もっと大きな声でー!」と客席に振るのが普通ですが、これを「もっと小さな声でー!」と言ったらどうなるでしょうか?そうです。客席は意表を突かれて和めるのです。実際みんなが小声になったらそれだけで面白いですもの。しかも、そのバンドは客席をコントロールする面白い技を持っているすごく余裕があるバンドのように見えてくるではありませんか。つまり、客席をコントロールするには普通のステージングよりも、もう一歩上のステージングをすることでさらに簡単になるのです。

     ぜひあなたのMCをもういちど見直してみてください。
        「こう言った方が面白いぞ」というMCが
           きっと山のように見つかるはずですから。

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mrsato.jpg■PROFILE 佐藤ヒロオ 

1962年9月18日生まれ。ライブハウス、「荻窪ルースター」、「Rooster NorthSide」オーナー。音楽雑誌などの執筆他、著書に『荻窪ルースター物語』(ポット出版)がある。
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「地階から胃薬」
このコーナーはルースター総支配人による不定期更新のコラムです。ルースターの事、総支配人の事、出演者の事、お客様の事をはじめ、ルースターにまつわるいろんな事柄をご紹介しております。お茶でも飲みながらゆっくりとご覧くださいませ。
        http://www.ogikubo-rooster.com/main/column/index.html

      □■「荻窪ルースター物語」インタビュー by YouTube■□
        

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      ★ここでちょっと注目!ZAKKからのお知らせ★
performance33info.jpg荻窪ルースターノースサイドでは、「毎週月曜日にブルース・セッション」、そして「水曜日はジャズ・セッション」を行っています。
プロのセッション・リーダーがセッション全体をバックアップして頂けるので、適度な緊張感もあってかなりいい感じのステージになっています。月1回でも2ヶ月に1回でも主役になれる時があるっていうのもなかなかオツなモンです。
日常をちょっと抜け出してみると新鮮でリフレッシュできて明日からまた元気に行こうという気分になれるのでは...!?

   ■セッションの詳しい情報はコチラをご覧下さい!
         http://www.ogikubo-rooster.com/north/session.html

||||| ROOSTER NORTHSIDE BLUES SESSION |||||
■毎週(月曜日)、「ルースター・ノースサイド」で行われております「BLUES SESSION」の模様を一部VTRにしましたので、お時間のある方は是非ともご覧下さいませ。セッションに参加された皆さん、楽しそうに演奏しておりました。
▼PART-1

▼PART-2

▼PART-3

||||| 「パーフォーマンスの壷」BACK NUMBER ||||||
第01回「ライブステージング術」
第02回「ブルースセッションの楽しみ方」
第03回「うまい拍手の取り方」
第04回「見知らぬお客さんへの配慮を忘れずに」
第05回「してはならない身内ノリ」
第06回「客席との会話が最終的な盛り上がりへ導く」
第07回「ライブ中に困った場合の対処法」
第08回「バンドメンバーをものせてしまうテクニック」
第09回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART1-
第10回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART2-
第11回「ライブ成功の鍵はライブの前の挨拶から」
第12回「ライブ前の知り合いへの挨拶は控えめに」
第13回「お客さんに一緒に振り付けをしてもらうテクニック」
第14回「ライブパフォーマンスはバンド全員でこそ。」
第15回「選曲方法をもう一度考えてみる。」
第16回「自分を下げてお客さんを上げるステージング術」
第17回「おやじバンドの初ステージ!」
第18回「ライブハウスでのリハーサルの仕方。」
第19回「人に見られることを鍛えてみる」
第20回「人の技みて我が技増やせの巻」
第21回「ライブの流れを決めるキーワードの巻」
第22回「ステージと客席の壁はなぜできるのかの巻」
第23回「お客さんが少ない時のライブ方法」
第24回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」
第25回「MCが苦手な人のほうが正しいMCが上手になる?」
第26回「その道のプロに学ぶライブに対する考え方。」
第27回「聴いていないお客さんをライブに集中させるテクニック。」
第28回「すぐできる盛り上げ術あれこれ」
第29回「ミュージシャンも客商売。」
第30回「頭が真っ白になった場合の対処法」
第31回「ライブ場所選びもお客さんのことを考えて」
第32回「プロのライブ場所によるステージングの違いから学ぶ。」

||||| SELECTED★IMAGE |||||
■今回は...、日本のヘヴィメタル・フェスティバル「LOUD PARK 2010」(10月16,17日、さいたまスーパーアリーナにて)での出演が決まったOzzy Osbourneをお送りしたいと思います。曲は「Bark At The Moon」!クリップは2002年に行われた武道館でのライブ映像です。

▼Ozzy Osbourne - Bark At The Moon ( Live At Budokan )

▼上記映像のURL
http://www.youtube.com/watch?v=cxR8p-u-CBw&feature=related

ozzypro1.jpg■この曲は1983年リリースのアルバム「Bark At The Moon」のタイトル・チューン。ランディ・ローズ亡き後、ニュー・ギタリストとして新たにオジー・バンドに参加したジェイク・E・リー。この曲は彼のギター・センスとスキルが遺憾なく発揮されています。そしてこのアルバムには凄腕のキーボード奏者ドン・エイリーが新たに加わりました。オカルトチックで、「狼男」に変身したオジーが暴れまわるPVも話題になりました。オジーは、先日他界してしまったロニー・ジェイムス・ディオやデイヴィッド・カヴァーデイルのように抜群の歌唱力を持っているヴォーカルではないのですが、唯一無比の独創性と迫力があり聴く者を惹きつける天賦の才を持っています。言わば上手いではなく「旨い」ヴォーカルです。この曲もオジーにしかその独特なグルーヴは表現できないでしょう。

GUSGimage1.jpgHeavy Metalの帝王オジー・オズボーンは1948年12月3日生まれなので今年62歳!しかし、まだまだ元気一杯のご様子。世界各地で精力的にパフォーマンスしているようです(「OZZFEST」も復活。夏に全米6都市で開催)。そしてこの日本でも迫力満点、帝王として貫禄十分のステージを魅せてくれることでしょう。また今回のバック・ミュージシャンはおそらく、2009年夏からオジー・オズボーンのツアーに参加(アルバム「SCREAM」制作にも関わった)したメンバーになると思いますが、中でもザック・ワイルドの後継ギタリストとして認められたGus G(ガス・ジー:メロディックスピードメタルバンド「ファイヤーウインド」)は、ギリシャ人の技巧派ギタリストとして注目されているだけに楽しみです。今年30歳と年齢的にも充実しているので、相当気合のこもったギターを聴かせてくれることでしょう。オジーはギタリスト発掘し育て上げることに長けていますが、「ランディやザックと比較はできないが、高い才能を持っているだけに楽しみだ!」とコメントしているように、Gus Gへの期待度もかなり高いようです。
YouTubeなどのクリップを観る限り、トニー・アイオミ、ランディ・ローズ、ジェイク・E・リー、ザック・ワイルドに勝るとも劣らない腕前のギタリストであることは間違いないところでしょうか...。

||||| Related★Links |||||
▼Ozzy Osbourne Official Website
http://www.ozzy.com/home
★「SCREAM」をはじめ、Ozzy Osbourneの関連作品はこちらで!
icon
▼OZZFEST Official Website
http://www.ozzfest.com/
▼「LOUD PARK 2010」の詳細は下記の公式ウェブサイトで!
http://www.loudpark.com/10/
▼GUS G Official Website
http://www.gus-g.com/

▼「日本一ちっちゃいかもしれないギターコードブック」は、
本のコードブック1冊分に相当する多数の指板図が入っています!

||||| EXTERNAL LINKS |||||
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