「パフォーマンスの壺」第34 回
「初対面との人と会った時の会話」を利用した心を開くステージング術
PRESENTED by HIROO SATO

更新日10.07.08


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この連載の最初にメンバー紹介の大切さを書きました。

ところが、普段そういうステージングに慣れてない方々は「ロックのライブにはメンバー紹介もいらなければMCも必要ない」という意見を持たれていることがよくあります。たしかにアマチュアバンドが出演しているライブハウスにおいてはメンバー紹介を聞くことはまれかもしれません。しかし、残念なことにそれらのバンドを見る時、客席で盛り上がっているのはそのバンドが呼んだお客さんだけというケースも少なくありません。見ず知らずのお客さんまでを盛り上げるのは難しいことですので、「そんなの普通でしょ」と思われるかもしれません。でも見知らぬお客さんまでが盛り上がれたら素敵ですよね。

ちょっと視点を変えてみましょう。
逆にあなたは見知らぬバンドを偶然見る際には
どのような意識で見るでしょうか?

cream_alberthallpicksback.jpg■多くの場合、初めて見るバンドの場合、「どんなバンドかな」とまずは1曲聴いてみる、こういう意識で見ているはず。で、次に「なるほど、こういうバンドね。ギターはうまいけど、ドラムがいけてないなあ...」。もしくは「曲の感じがいまいちだな」とかどこか批評をしてしまいがち。おそらくこういう風な感想を持ったりしていくパターンが多いと思います。つまり、見知らぬバンドを見る時に多くの人はうまいとかここがいけてないとか、そういう判断をしがちになるのです。では全員がうまくて曲がよければ見知らぬバンドでもあなたは大盛り上がりするでしょうか?そのバンドのファンは盛り上がっていてもなかなかあなたも一緒になって大盛り上がりするまでには至らないケースが多いかもしれません。でもそのバンドはけっしてファンだけを盛り上がらせようとしてライブをしているわけではないはずなのですが...。

さあ、ここからです。

perf431.jpgせっかくこの連載を読んでいただいている読者の皆様には身内以外のお客さんまでを楽しめる術を身につけていただきたいと思います。実は見知らぬお客さんまでを巻き込んでライブをする際に最も大切なことは演奏力でも曲でもありません。一番大事なのは「空気を作ること」なのです。なぜならば、前述したようにお客さんというのは見知らぬバンドに対して最初から心を開いてくれるものではないからです。

ちょっと例を上げましょう。

■あなたが喫茶店に入ると偶然知り合いを見つけました。その友人のテーブルには4人ほどが集まっているようですが、他の人はあなたの知り合いではありません。ところが、あなたが友人に挨拶すると、「こっちのテーブルに一緒に座らないか?」と言うのです。知らない人だらけのテーブルに座るのもちょっと気が引けましたが、せっかく友人がそう言うので、あなたは座ることにしました。あなたは「お邪魔します」と座るのですが、どうも他の人たちは「この人誰なの?」的な雰囲気。しかも、なかなか友人が紹介をしてくれないものだからあなたは気まずい空気を感じてしまいました。

変なたとえで申し訳ないのですが、
これどうすべきだと思われるでしょうか?

larryandslash1.jpg友人があなたを同じテーブルに座れというのならその友人が全員にあなたを紹介し、そしてそこに座っている方々を一人ずつ紹介する。普通はこうすべきですよね。それがないと本当に気まずいのです。もしも、ここでその友人が名前を紹介しただけでなく、「ほら、俺たち高校時代サッカー部だったじゃん。で、隣のA高校と何度か試合したの覚えてる?」、「あー、覚えてるけど?」、「実は彼、あのチームのキャプテンなんだよね!」。「ま、まじでーーー!」「たしか、山田って名前だったよね! その山田君なの?」という具合に、話次第では同じテーブルに座ったことで話が断然盛り上がってくるわけです。こうなるとあなたも気まずいどころか「え? そうだったんですか?」と一気に話に火が着くのです。

さて、この話とライブではかなり状況は違いますが、
     知っていただきたいのはこの「空気感」です。

前述したように見知らぬお客さんはなかなか知らないバンドには心を開いてはくれません。先ほどの喫茶店の雰囲気のように和やかになるかどうかは話の持って行き方なのです。もちろん、ライブ中にお客さんを紹介するというのはおかしな話ですし、そんなことは誰も望んでいません。そうではなく、知らないバンドがどうやって知らないお客さんの心を開き、和ませるかということです。なにもMCもせず、曲だけを演奏して見知らぬお客さんの心を開かせるのがいかに難しいかはもうおわかりいただけたかと思います。

そこで重要なのがメンバー紹介というわけです。

perf34audi.jpg■先ほどの喫茶店であなたが座った時に紹介されるのと5分後に紹介されるのとではどちらがいいでしょうか?当然ながら、テーブルに座った時に紹介されなければ「なんで紹介してくれないの?」と思いますよね。ですので、まずライブで見知らぬお客さんの心を開き、和ませるためにはこうMCするのがベストです。「みなさん、こんばんは。ここからのお相手は山田太郎バンドです。今夜もはじめましての方が多いのでまずはメンバー紹介をしておきましょう。オンギター、鈴木じろー!」。本当はライブハウスの名前を出し、「みなさん、こんばんは」のところを「今夜はライブハウス○○にお越しいただきありがとうございます」というのがベストですが、アマチュアバンドが出演しているライブハウスでそういう風に切り出すバンドは皆無。そう言うのがベストではありますが、「そこまでするのは変だなあ」と感じる方は省略し、「みなさん、こんばんは」からでかまいません。もしもイベントのタイトル名があるならそのタイトル名を言うのがいいですね。

さて、ライブは喫茶店の例とは違い、
双方が自己紹介をするわけではなく、
ステージ上からの一方的な自己紹介となります。

しかし、この自己紹介が無いと、喫茶店のあなたのようにお客さんは心を開くきっかけがまず無いことになります。で、この後です。喫茶店ではサッカーという共通の話題があったから友人の知り合いともすぐに打ち解けました。ですので、ライブ中のMCもお客さん全員にわかるような話がベストです。一部の人しか知らないであろうと思われる話題は教えるという立場になって話しを進めれば初めてのお客さんもついてこれます。ほとんどのアマチュアバンドがMCの中心にしているのがライブ告知やCDの宣伝ですが、そんな話では心の開きようがありません。喫茶店で紹介もなくずっと同じテーブルに座らされて、「えーと、君、名前知らないけどさ、俺たち週末はここにいるからまた来てくれよ」と彼らが立ち去ったとしたらあなたは告知のようにまた週末にその喫茶店に行きますか?

週末どころかもうその喫茶店にも
行かなくなってしまいそうですよね。

clapton-winwood-poster.jpgこれと同じであなたは見知らぬバンドのライブ告知をライブで聞いても行かないのです。これ、とても重要ですよ。アマチュアバンドのほとんどがライブ中に次のライブの告知をしているのに、見知らぬお客さんはそれを聞き流すのみになっているのです。なぜって、もうわかりますよね。そのバンドがあなたの心を開けなかったからです。喫茶店ですぐに紹介され、しかも高校時代にサッカーの試合をした仲間だったとなれば「またここで会いましょう」という話にもなりますものね。ライブはステージから一方的に演奏やMCを発信しているので、喫茶店のサッカーの話のようなお互いに「そーだったの?」的なことにはなりにくいもの。

■しかし、逆に考えればライブでのお客さんは聞き手に徹してくれます。ライブではお客さんの心に届く話題を提供するだけでいい、つまりライブをする側は相手の話を聞く必要がない。簡単にいえば、初対面の人と会話するという時に比べ、相手の話を聞くという部分は省略できてしまっているわけです。こう考えると楽ですよね。
ではどういう風に心を開くか?初対面の人と会話をする場合、まずどんな話をするのか?
これを想定してライブのMCに組み込んでいく。ライブの最初のステップはこれだけでも十分お客さんの心を開けます。しかも話したくないことは1対1の会話ではないから話さずにすみます。

ぜひ実践してみてください。おそらくライブ後に
あなたに話しかけてくるお客さんは倍増してしまいますよ。

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mrsato.jpg■PROFILE 佐藤ヒロオ 

1962年9月18日生まれ。ライブハウス、「荻窪ルースター」、「Rooster NorthSide」オーナー。音楽雑誌などの執筆他、著書に『荻窪ルースター物語』(ポット出版)がある。
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「地階から胃薬」
このコーナーはルースター総支配人による不定期更新のコラムです。ルースターの事、総支配人の事、出演者の事、お客様の事をはじめ、ルースターにまつわるいろんな事柄をご紹介しております。お茶でも飲みながらゆっくりとご覧くださいませ。
        http://www.ogikubo-rooster.com/main/column/index.html

      □■「荻窪ルースター物語」インタビュー by YouTube■□
        

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performance33info.jpg荻窪ルースターノースサイドでは、「毎週月曜日にブルース・セッション」、そして「水曜日はジャズ・セッション」を行っています。
プロのセッション・リーダーがセッション全体をバックアップして頂けるので、適度な緊張感もあってかなりいい感じのステージになっています。月1回でも2ヶ月に1回でも主役になれる時があるっていうのもなかなかオツなモンです。
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   ■セッションの詳しい情報はコチラをご覧下さい!
         http://www.ogikubo-rooster.com/north/session.html

||||| ROOSTER NORTHSIDE BLUES SESSION |||||
■毎週(月曜日)、「ルースター・ノースサイド」で行われております「BLUES SESSION」の模様を一部VTRにしましたので、お時間のある方は是非ともご覧下さいませ。セッションに参加された皆さん、楽しそうに演奏しておりました。
▼PART-1

▼PART-2

▼PART-3

||||| 「パーフォーマンスの壷」BACK NUMBER ||||||
第01回「ライブステージング術」
第02回「ブルースセッションの楽しみ方」
第03回「うまい拍手の取り方」
第04回「見知らぬお客さんへの配慮を忘れずに」
第05回「してはならない身内ノリ」
第06回「客席との会話が最終的な盛り上がりへ導く」
第07回「ライブ中に困った場合の対処法」
第08回「バンドメンバーをものせてしまうテクニック」
第09回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART1-
第10回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART2-
第11回「ライブ成功の鍵はライブの前の挨拶から」
第12回「ライブ前の知り合いへの挨拶は控えめに」
第13回「お客さんに一緒に振り付けをしてもらうテクニック」
第14回「ライブパフォーマンスはバンド全員でこそ。」
第15回「選曲方法をもう一度考えてみる。」
第16回「自分を下げてお客さんを上げるステージング術」
第17回「おやじバンドの初ステージ!」
第18回「ライブハウスでのリハーサルの仕方。」
第19回「人に見られることを鍛えてみる」
第20回「人の技みて我が技増やせの巻」
第21回「ライブの流れを決めるキーワードの巻」
第22回「ステージと客席の壁はなぜできるのかの巻」
第23回「お客さんが少ない時のライブ方法」
第24回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」
第25回「MCが苦手な人のほうが正しいMCが上手になる?」
第26回「その道のプロに学ぶライブに対する考え方。」
第27回「聴いていないお客さんをライブに集中させるテクニック。」
第28回「すぐできる盛り上げ術あれこれ」
第29回「ミュージシャンも客商売。」
第30回「頭が真っ白になった場合の対処法」
第31回「ライブ場所選びもお客さんのことを考えて」
第32回「プロのライブ場所によるステージングの違いから学ぶ。」
第33回「予想と違うMCで意表を突き、和ませる術」

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■今回は、Larry Carltonの流麗でグレイトかつファビュラスなギター・ソロを聴いて頂きたい!若干23歳でThe Crusadersの正式メンバーとして活躍。以下のクリップはなんとも若いラリーの勇姿ですが、そのライブ・パフォーマンスは文句のつけようがない素晴しい出来映えです。また、Robert "Pops" Popwellのベース・ソロも見所十分。もちろん、ウィルトン・フェルダー(T.Sax)、ジョー・サンプル(Key)、スティックス・フーパー(Dr)のテキサス・トリオが最高なのは言うまでもありません。

▼Crusaders - SPIRAL -(1976年LIVE)

※この「SPIRAL」は1976年にリリースされた「Those Southern Knights(邦題:南から来た十字軍)」に収録。
▼Those Southern Knights(邦題:南から来た十字軍)
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※『スクラッチ』『チェーン・リアクション』と並ぶ中期クルセイダーズの作品。ファンキーな乗りと憶えやすいメロディはすでに確立されていた。

The Crusaders(ザ・クルセイダーズ)は、主に1970年代に大活躍したアメリカのフュージョンバンド。テキサス州のハイスクールで同級生だったウェイン・ヘンダーソン(Tb) ウィルトン・フェルダー(T.Sax) ジョー・サンプル(Key) スティックス・フーパー(Dr) の4人が結成したジャズ・クルセイダーズ(1961年にアルバム「フリーダム・サウンド」でメジャーデビュー)が前身であり、1971年にバンド名をザ・クルセイダーズに変更。

larry1.jpgラリー・カールトンが在籍(1971~1976年)していた頃のクルセイダーズはよりフュージョン色も強く、メロディアスでファンキーかつキャッチーな楽曲も多かった。これまでギター・ソロをあまりフューチャーすることがなかったクルセイダーズでしたが、ラリー・カールトンには全幅の信頼をおいていたため、彼にはソロの機会が多く与えられたようです。もちろん、それに十分すぎるほど応えることができたのは言うまでもありません。さらに超売れっ子セッション・ギタリストとしてジャズ、ロック、R&B、ブルースなどどんなタイプのギター・プレイも完璧に楽々弾きこなせたラリー・カールトンは若くして桁外れのスキルがありました。そして希代の名アンプ「Dumble」(ダンブル)から繰り出される極上のギター・サウンドも唯一無比。

perf344.jpg「Room335」を例に出すまでもなく、いくつもグラミー賞を受賞するなどソロになってからますます活躍して現在に至っています。今年の6月には、B'zのギタリスト松本孝弘との共作アルバム「TAKE YOUR PICK」をリリースし、ツアーやクリニックも精力的に行っておりました。凶弾に倒れ、一時は再起不能の危機に直面しましたが、それを克服し見事カムバックしたラリー・カールトンも今年で62歳!しかし、彼のギターは全く衰えを知らず冴えに冴えわたっています。

▼Larry Carlton Official Website
http://www.larrycarlton.com/
★Larry Carltonの関連作品はこちらで!
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||||| CRUSADERS RELATED★WORKS ||||||
★SCRATCH(So Far Awayは圧巻!)
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★Chain Reaction (ポップ寄りのサウンド)
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★Free As The Wind(このグルーヴ感は他にはない)
★STREET LIFE(Randy Crawfordのヴォーカルが光る!)
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HMVジャパン

▼「日本一ちっちゃいかもしれないギターコードブック」は、
本のコードブック1冊分に相当する多数の指板図が入っています!

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