「EXTRA !」-YOU-NEXT番外編(15)-
「来日アーティストの話題」
~ジョニー・ウインター初来日であれこれ思ったこと~
PRESENTED by ZAKK
更新日11.05.29
五月晴れもほどほどにもう6月を迎えようとしています。この先、ジメジメした鬱陶しい梅雨が待ち構えているかと思うと、すこしばかり気分が滅入ってしまいます。しかし、梅雨になって雨が降らないといろいろ都合の悪い状況になったりすることもあるので、「梅雨は嫌だなあ~」とばかりも言ってられませんね。さてそんな梅雨空など何処吹く風?今年も海外から多くのアーティストが日本にやって来ております。
この5月にはアヴリル・ラヴィーン、ケイティ・ペリーもやってきましたし、6月はNight Ranger、ウイッシュボーン・アッシュ、8月にはカンサス、さらに5月公演が延期になったTOTOも9月にやって来るなどビッグ・ネイムの来日公演が目白押しです。シブいところでは5月以降、ブルーノート東京でマイク・スターン、ルーファス、マンハッタン・トラスファー、ロン・カーター、ディオンヌ・ワーウイックなどのライブ予定があります。さらに、ビルボードライブ東京(一部大阪)ではメリサ・マンチェスター、ヴァネッサ・ウィリアムス、スリー・ディグリーズ、シェリル・リンなどのライブ・スケジュールが組まれています。これらのアーティストはジャズ、フュージョン系をはじめオールド・ファンにとっては涙モンの存在ですね。全国どこでもと言うわけにはいかず、どうしても限定された会場でのパフォーマンスとなってしまいますが、興味のある方は下記のサイトでチェックしてみてはいかがでしょうか...。
▼ウドー音楽事務所
http://www.udo.co.jp/
▼「ブルーノート東京」TOP PAGE
http://www.bluenote.co.jp/jp/index.html
▼ビルボードライブ・オフィシャル・ウェブサイト
http://www.billboard-live.com/
▼チケットぴあ
http://www.pia.co.jp/
■ところで海外アーティストと言えば...、東日本大震災と巨大津波に被災された方々を支援すべく、世界の超一流アーティスト38組によるチャリティー・コンピレーション・アルバム「SONGS FOR JAPAN」がiTunesにて世界同時発売され、18ヶ国で1位となったのはご存知の通り。被災された方々の支援、復旧・復興のためとチャリティの趣旨に賛同し、日本のためにこれだけたくさんのそうそうたるアーティストの皆さんが立ち上がり、アルバム制作に参加して頂いたことを考えると感無量です。そして「SONGS FOR JAPAN」の国内盤2枚組CDが5月4日に発売されました。すでにお聴きになった方も多いかと思いますが、復興支援のためにと言うことはもちろんのこと、通常では実現不可能なアーティストが集結したコンピレーション・アルバムとなっており、アルバム本来の魅力も十分で一聴する価値はあると思います。
▼「SONGS FOR JAPAN」

※HMV レビュー
2011月3月11日に日本を襲った東日本大震災と巨大津波に被災された方々を支援すべく、レコード会社の枠を越え、世界のトップアーティストが集結。3月25日(金)午後10時にiTunesにて世界同時発売され、18カ国で1位となった洋楽コンピレーション・アルバム『SONGS FOR JAPAN』のCDパッケージ版。
日本をこよなく愛し、またチャリティの趣旨に賛同した海外アーティスト37組によるヒット曲や名曲 計37曲 を収録しており、収録された楽曲はどれも「癒し」や「励まし」をテーマとして持つものばかり。
▼我々一般人の力では大きくインパクトのある支援活動はできませんが、小さなことでもそれなりにできることがあります。これから長い道のりになりますので、コツコツと継続して自分にできる支援活動をやっていくことが大切だと感じます。
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さて次に...、少し時間が経ってしまいましたが、
今年4月に来日した伝説的「BLUES MAN」の話題です。
あの「100万ドルのギタリスト」との異名を持つJohnny Winterが遂に初来日公演を果たしました!まだ日本公演をしていない最後の大物アーティストのひとりでもあり、日本人のブルース・ファンにとってはまさに待ちに待った公演でしたね。
未曾有の大震災の影響でツアーをキャンセルせざるを得ないアーティストが多い中、初老のブルース・マンは日本にやって来ました。1965年に活動を始めてからなんと46年目にして初めて日本のファンの前で熱いブルース魂を魅せてくれたのです。「ZeppTokyo」での3日間(4月13,14,15日)は日本のブルース史上においてまさに記念すべき瞬間となりました。
1990年、一度来日の予定があったものの頓挫してしまいファンは大変がっかりしたものですが、あれから苦節21年目にして夢が叶ったわけです。
来日した「JOHNNY WINTER BAND」のメンバーは以下の通り。
■Johnny Winter(ジョニー・ウインターGuitar&Vocal)
■Paul Nelson(ポール・ネルソン:Guitar)
■Scott Spray(スコット・スプレイ:Bass)
■Vito Liuzzi(ヴィト・リウッツィ:Drums)
ライブの模様などは、多くのジョニー・ウインター・フリークがそれぞれのブログでコメントされていますので敢えてここでご紹介致しませんが、この度のジョニー・ウインター初来日に関連して私が感じたことをテキストにしたいと思います。
■ジョニー・ウインターいわく、「ギターとおれの関係は、少しも変わってない。ブルースを愛しているし、死ぬ日まできっと、ブルースマンなんだろうよ」...。ブルースの巨人マディ・ウォーターズをして「義理の息子」とまで言わしめたジョニー・ウインターのブルースへの切なくも熱いSOULが見て取れるコメントです。
母親はピアノ教師、父親も趣味でバンドを組んではサックスやバンジョーを演奏するなどジョニー・ウインターは元々、音楽性に恵まれた家庭環境で育ちました。5歳頃になってクラリネットを吹き始めますが、歯の噛み合わせが悪くなりクラリネットを断念してウクレレを弾くようになる。しかし、父親からウクレレで有名になった奴は俺の知っている限りでは2人しかいないと聴かされ、父親の奨めもあってギターに転向したとのこと。また、お爺さんがミシシッピー州のリーランドで綿花業を営んでおり、従業員の多くが黒人だったため、影響を受けやすい幼少期にブルースやゴスペルなどリアルな黒人音楽を直接、しかも日常的に聴いていて、早くからブルース・マンになるべく環境が整っていたようです。しかし、もしあの時ウクレレからギターに転向していなかったら「100万ドルのギタリスト」は誕生していなかったかもしれませんね。ジョニー・ウインターとウクレレの構図でハワイアンを演奏する姿はそうとうにシュールな絵柄ではありますが...。
また、ジョニー・ウインターのギター・サウンドも唯一無比。サムピックと人差し指と中指を巧みに使い分けるそのギター・プレイ・スタイルはまさに変幻自在。リフもアドリブのフレーズも速く、意外性に富んでいて、胸がすくような切れ味があります。そして、これまでレスポール、ムスタング、テレキャスター、レイザー、SG、フライングVなどなど、いろんなエレキ・ギターを使ってきましたが、なんと言っても「ファイヤー・バード」を弾いている時のジョニー・ウインターは最高です。あれほどファイヤー・バードが似合うギタリストは他にはいません(もともと使っているアーティストも少ないようですが)。あの弾きにくそうなギターをあそこまで完璧にかっこよく弾き倒してしま爽快さは格別なものがあります。
60歳半ばを過ぎジョニー・ウインターは、身体も弱ってしまい立ってギターを弾くのもままならず、目もあまり見えないと言ったフィジカル面においてネガティヴな話が多いのですが、「スタジオでレコーディングするよりステージに立ちたい」「昨年は100回以上ライブをやった」と本人がコメントしているようにパフォーマンスへの情熱はまだまだポジティヴです。今年も彼のスケジュールを見ると12月までなにかとツアーの予定が詰まっておりました。日本公演でもヨロヨロと足元もおぼつかない様子で椅子に座ってのパフォーマンスとなりましたが、彼のギターが唸り出すや否や熱狂と興奮の坩堝と化し、会場は沸きに湧いたものとなりました。昨今の状態からして、どんなステージになるのか?と心配していたファンもいましたが、そんなことは杞憂に終わったようですね。あの伝説の一大音楽イベント、1969年のWOODSTOCKに出演しいまだにプレイしている数少ないミュージシャンのひとりですし、REALで卓越したブルース・ギタリスト&シンガーだけにこれから先少しでも長く現役を続けてもらいたいと願うばかりです。もちろん、ブルースばかりではなくロックン・ロールのマイスターでもあるLegend的 Iconは演奏の良し悪し云々以前に、そこにいるだけで音楽ファンにとっては非常に大きな存在なのです。ましてやライブを通して同じ空間、時間を共有できる感動は、至上の感動を与えてくれるものだと思うのであります。
▼Johnny Winter - Be Careful With A Fool
※正直、ジョニー・ウインターのライブでのインプロヴァイゼーションは好不調があるのですが、この演奏は文句のつけようのない素晴しいデキだと思います。
最後にジョニー・ウインターをめぐる
あるエピソードをご紹介します。
『メジャー・デビューを果たす7年前、若干17歳の頃の話。ジョニー・ウインターが弟のエドガーと地元ボーモントのクラブで行われていたB.B.キングのライブを観に行った時の話。観客は全て黒人、2人は際立った存在で間違いなく場違いの白人ティーン・エージャー。そんな状況下でジョニーは被っていた野球帽を取り、尊敬しているB.B.キングに向かって「貴方と一緒にプレイしたい!」と言い放った。最初のうちは無視していたB.B.キングも観衆をうまく味方につけたジョニーの熱意にほだされ彼をステージに招き、自分のギターを手渡す。そして演奏が終わりスタンディング・オベーションの中、ジョニーはB.B.キングにギターを返したとのこと。』
まあ、何とも破天荒で怖いもの知らずのジョニー・ウインターらしいエピソードです。当時B.B.キングもまだ若く37歳くらいだったと思います。しかしブルース界においてはすでにスター的存在なわけで、仮にもそのステージに乱入しギターを借りて演奏、さらにブルースを知り尽くしたツワモノ?のような聴衆相手にスタンディング・オベーションの喝采をまぎとってしまった。若干17歳にしてこの度胸の良さ。さらにギターのスキルも相当なものであったことが窺い知れます。このやんちゃで凄いアティチュードこそがジョニー・ウインターの真骨頂であり、何歳になっても変わらぬ「らしさ」なのかもしれません。
それにしてもこのボーモントでのエピソードを読んで、当時その場に居合わせたお客さんはこの若僧が後の「100万ドルのギタリスト」になろうとは夢にも思っていなかったことでしょう。改めて1960年代頃の音楽シーンは熱いものがあったんだなあ~と思ってしまいます。そう言えば、ボン・ジョビのギタリスト、リッチー・サンボラは「俺のほうがギターが旨い。俺に弾かせろ!」とばかり超強気のアプローチでギタリストの座をもぎ取ってしまったとのこと。ありそうでなさそうな話ですが、攻めの姿勢は時として好結果を生むこともあるようで、人間、ここぞと思ったら迷わず行動に移すことも大切かもしれませんね...。
■余談ながら...、ジョニー・ウインターは米・テキサス州出身ですが、テキサスはこれまでかなり個性的なアーティストを輩出してきました。例えば、後に多くのミュージシャン達に影響を与え、ロックン・ロールの革命児とも呼ばれたバディ・ホリーにはじまり、モダン・ブルースの開祖であり、ブルースにエレキ・ギターを持ち込んだ最初のミュージシャンと目されるT-ボーン・ウォーカー、破天荒で即興の達人でテキサス・ブルースの元祖的存在のライトニン・ホプキンス、そしてフレディ・キング、アルバート・コリンズ、スティーヴィー・レイ・ヴォーンなどなど、多くの伝説的ブルースの達人もいます。また現役最強のオヤジ・ロック・トリオのZZ TOP、クルセイダースのリードオフ・マンで繊細なエレピが印象深いジョー・サンプル、イーグルスのドラマーでハスキー・ヴォイスが光るドン・ヘンリー、スライ&ザ・ファミリー・ストーン時代チョッパー・ベースで世間をアッと言わせたラリー・グラハム、美しくメロウな歌声で一時は一世を風靡したクリストファー・クロス、「アメリカン・アイドル」第1回目の優勝者で今やアメリカを代表するポップロックシンガーとなったケリー・クラークソン...などが挙げられますでしょうか。
更に余談の余談ですがルイジアナ州を挟んだ隣のミシシッピー州でも偉大なブルース・マン達がいますね。ジョン・リー・フッカー、マディ・ウォーターズ、マジック・サム、エルモア・ジェームス、ロバート・ジョンソン、オーティス・ラッシュ、B.B.キングなどなど。アメリカは広いですが、こと「ブルースの大御所」となるとテキサス、ミシシッピー州のアーティスト多いと言うことがわかりますね。日本ではブルースと言う音楽ジャンルに関して、演歌の延長線上にある「日本独自のブルース」を作り上げてしまいました。もちろんこのようなブルースは他の国には一切存在しないものです。楽曲の形式もアティチュードもまったく本来のブルースとは別物で、言わば「憂鬱な」「どこか暗い」イメージの言葉である「BLUE:ブルー」から派生した音楽のようなものです。「○○○ブルース」など街や橋などの名前にブルースをつけたタイトルが多いようですが、このような音楽はとうの昔に姿を消してしまいましたね。そう言えば1999年に他界されたブルースの女王・淡谷のり子さんのブルースは幼い頃テレビでよく拝聴したものでした。淡谷のり子さんは元来オペラ歌手(ソプラノ)を目指しており、日本シャンソン界の先駆者とも言われたアーティストで、生計のため流行歌を歌うようになったとのこと。「日本独自のブルース」だけではなく幅広いジャンルでヒット曲を世に送り出してきた方です。
それはともかく、この度ジョニー・ウインターの初来日において伝説のブルース・マン(ロックン・ロール)を生で観る事ができた音楽ファンは本当に限られたいたわけですが、いったい日本にはブルースなる音楽ジャンルに興味を持っている人がどのくらいいるのでしょうか?1970年代に一度大ブルース・ブームが巻き起こり、憂歌団、ウエスト・ロード・ブルース・バンド、BREAK DOWNは日本のブルース・シーンを牽引してきました。またブルース・ハープの妹尾隆一郎をはじめ近藤房之助、SION、上田正樹さんらも日本のブルースを支えてきました。
かつてエリック・クラプトンやローリング・ストーンズがカバーしたように、日本なりの独自のアレンジで本場モンのブルースをカバーしてくれる若いアーティストがたくさん出てきたら、日本の音楽シーンも幅が出てブルースも盛り上がって楽しくなりそうなのになあと思う今日この頃です。
ところで5月28日、音楽ポータル・サイト「BARKS」に~2011年4月にまさかの来日を果たし、ロック・ファンを悶絶させたジョニー・ウィンターの再発アルバムがリリースとなった。~と言った記事が掲載されていました。今回の来日記念として、5月25日に紙ジャケット仕様で最新のDSDリマスタリングを施したコロンビア時代の6タイトルが再リリースされ、これらの全てがオリコン洋楽デイリーチャートに初登場30位以内に同時ランクインしており、6月8日にはブルー・スカイ移籍後の作品6タイトルのリリースも控えているとのこと。ジョニー・ウインターがこういう形で再注目されているとはオールド・ファンにとってもちょっぴり嬉しいニュースでした。
またまた、とりとめもない展開になってしまいましたが、
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました!
■次にもう1曲「Mean Town Blues」を!
今回の初来日ライブでは演奏されませんでしたが、あの1969年~伝説の音楽イベント~「WOODSTOCK」ではこの曲を演奏していましたね。
※YouTubeの投稿クレジットに1983年とありますので、ジョニー・ウインターが40歳くらいの時のライブ・パフォーマンスですかね。この曲はファースト・アルバム「The Progressive Blues Experiment」(1968年)に収録。また、このアルバムはジョニー・ウインターのベスト・アルバムの1枚と指摘するファンも多いようです。
▼Album「Progressive Blues Experiment」

★Johnny Winterのその他の作品はこちらで!
▼The Official Johnny Winter Web Site (英語)
http://www.johnnywinter.net/
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