「パフォーマンスの壺」
第50回「盛り上がらないコピーバンドと盛り上がるコピーバンド。」
PRESENTED by HIROO SATO

更新日11.11.23


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コピーバンドをやっておられる方は多いでしょう。
ではコピーバンドをやる理由とは何でしょうか?

実はすでにこの理由の段階でライブが盛り上がるか盛り上がらないかの差があると言っても過言ではありません。まず、よくありがちなコピーバンドの結成理由を書きましょう。たとえば比較的マイナーなABCバンドという昔の洋楽のバンドがいたとします。で、そのバンドを好きな人が集まって、もしくはリーダーが大好きで、ABCバンドのコピーバンドを結成するというものです。練習するうちに「じゃあライブをしよう」ということになりますよね。で、どこかのライブハウスでも借りてライブをするとします。

さて、そのライブを見に来るのは誰でしょうか?

そうです。コピーバンドのメンバーの知り合いということになりますよね。ではライブを聴きに来た知り合いたちはABCバンドのファンだったのでしょうか?その中の数人は「ABCバンドをやるなら行こうかな」という人もいるのかもしれませんが、ほとんどは付き合いで来られていることでしょう。そうなると、このコピーバンドはABCバンドに興味を持っていない人に対してライブを聴かせることになります。

ところがです。

band2.jpgほとんどのコピーバンドはその本物のバンドをいかにコピーして演奏するかに力を注いでいて、お客さんをいかに楽しませるかについては二の次、いや、まったく考えていないのです。ですので、ライブはさほど盛り上がりません。たとえば、かつてABCバンドはほとんどパフォーマンス無しでライブをしていたとします。すると当然ながらコピーバンドはそこまでそっくりなライブをします。ABCバンドを知らない方々にとっては曲調次第では盛り上がるポイントがないわけです。ですので客観的に見れば「自己満足のためのライブ」に見えてくるので、付き合いでもライブに行くということを次第に面倒になってくるかもしれません。

では話を戻しますと、コピーバンドをやる理由が
こういうものと発想が逆だった場合はどうでしょうか?

どういうことかと言いますと、みんなが知っていて、やったら盛り上がるぞという曲しかやらないコピーバンドです。わかりやすい例を書きますと懐かしの歌謡曲コピーバンドです。ほとんどの皆さんはライブに知り合いを呼ぶわけです。そしてその中心は同世代でしょう。たとえばバンドメンバーが50代中心だったら70年代の歌謡曲。40代中心だったら80年代の歌謡曲を演奏するのです。

その理由はこうです。

pinkladyufo1.jpgお客さんが同世代ならその方々が音楽に初めて興味を持った頃、つまり中学生や高校生の頃に流行っていた歌謡曲です。これを生で演奏されるとどうなるでしょう?「歌謡曲なんてつまらん!」なんて言う人はおらず、客席までが大合唱&振付&掛け声オンパレードという状況になるのです。たとえば曲名を言っただけでも「わー」って盛り上がりますし、ピンクレディなんてやったらお客席も一緒に振付している人が出てきます。
saijouhideki1.JPGさらに「君が望むならー」って歌ったら「ひできー!」って掛け声がかかります。まるで見て来たかのようなことを書くと思われるかもしれませんが、私は実はずっと見てきていますし、自分でもよくしますのでこれは真実です。こうした曲が面白いのは聴いている側だけではありません。演奏してみるとベースラインがソウルだったり、ギターのバッキングがファンキ-だったり、そして意外に難しかったりします。ですのでやってみると「そーだったんだね」って当時は思いもしなかった発見が多数あります。なにしろ歌謡曲のアレンジは割と当時の洋楽だったりしているからです。つまりは演奏するほうも面白いのです。

さて、前述のABCバンドのコピーバンドと、後者の歌謡曲バンドを比較してみましょう。はたしてどちらのライブがお客さんが楽しんでくれるでしょうか?これは明確です。

ABCバンドのファンだけが集まってのライブでしたらABCバンドのコピーバンドは喜ばれるでしょう。そうでない場合は、双方のバンドのエンターテイメントレベルが同じであるとしたならば、歌謡曲バンドのほうが盛り上がるはずです。これはバンド結成時からもう決まっていたことでした。なぜならば自分たちがそのバンドが好きで楽しむためのコピーバンドとお客さんが楽しめる選曲をして演奏するためのコピーバンドという違いがあるからです。バンドの目的が自分たちの満足か、お客さんの満足かというところで違うわけです。

stage1.JPG■というわけで今回は例を明確にして比較してみたわけですが、基本的に考えるべきは何をコピーするのかということではありません。せっかくお客さんがお金と時間を使って楽しみにしてやってくるわけですが、そのお客さんに自己満足ライブを見せるのか、それとも楽しんでいただくのかという違いを理解していることが大切でなのであります。
もちろん、バンド結成の動機が自己満足でもちろん悪いわけではありません。コピーバンドを結成するほど好きなわけですから、それはむしろ素晴らしいことですし、世にはそういうバンドだらけです。そうではなくて、お客さんが楽しめるライブをしたいと考えている方へのひとつの提案なのです。

ライブはお客さんがいないと成り立ちません。

そのお客さんが楽しかったと言ってくれないのでしたら、そうしたお客さんに何度もライブを見せるのはどうだろうか...。もしもそうであれば、どうしたら良いのか?これを考えて活動して行くのです。もしもABCバンドのコピーを続けるなら、どうしたらお客さんに喜んでもらえるのか?これを考えます。そして最終的にはお客さんにもABCバンドのファンになってもらえたら嬉しいですよね。でも押し売りではいけません。まずはABCバンドを好きになってもらう以前に、そのコピーバンドがまずは喜んでもらえるまでもっていく必要があるのです。

guitar1.JPGそのために考えるべきこと、
   これは確実にステージング術です。

ABCバンドは興味ないけれど、以前よりライブが面白くなってきたと言われるのでももちろん良いと思います。必要なのはどんな曲をコピーしようがお客さんを楽しませるステージング力です。誰も知らないオリジナル曲もしかりです。ライブをするならバンドの練習だけでなくステージングまでしっかり学ぶことをぜひおすすめします。

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mrsato.jpg■PROFILE 佐藤ヒロオ 

1962年9月18日生まれ。ライブハウス、「荻窪ルースター」、「Rooster NorthSide」オーナー。音楽雑誌などの執筆他、著書に『荻窪ルースター物語』(ポット出版)がある。
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「地階から胃薬」
このコーナーはルースター総支配人による不定期更新のコラムです。
ルースターの事、総支配人の事、出演者の事、お客様の事をはじめ、ルースターにまつわるいろんな事柄をご紹介しております。お茶でも飲みながらゆっくりとご覧くださいませ。
        http://www.ogikubo-rooster.com/main/column/index.html

       □■「荻窪ルースター物語」インタビュー by YouTube■□
        

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         http://www.ogikubo-rooster.com/north/session.html

||||| ROOSTER NORTHSIDE BLUES SESSION |||||
■毎週(月曜日)、「ルースター・ノースサイド」で行われております「BLUES SESSION」の模様を一部VTRにしましたので、お時間のある方は是非ともご覧下さいませ。セッションに参加された皆さん、楽しそうに演奏しておりました。
▼PART-1

▼PART-2

▼PART-3

||||| 「パーフォーマンスの壷」BACK NUMBER ||||||
第01回「ライブステージング術」
第02回「ブルースセッションの楽しみ方」
第03回「うまい拍手の取り方」
第04回「見知らぬお客さんへの配慮を忘れずに」
第05回「してはならない身内ノリ」
第06回「客席との会話が最終的な盛り上がりへ導く」
第07回「ライブ中に困った場合の対処法」
第08回「バンドメンバーをものせてしまうテクニック」
第09回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART1-
第10回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」-PART2-
第11回「ライブ成功の鍵はライブの前の挨拶から」
第12回「ライブ前の知り合いへの挨拶は控えめに」
第13回「お客さんに一緒に振り付けをしてもらうテクニック」
第14回「ライブパフォーマンスはバンド全員でこそ。」
第15回「選曲方法をもう一度考えてみる。」
第16回「自分を下げてお客さんを上げるステージング術」
第17回「おやじバンドの初ステージ!」
第18回「ライブハウスでのリハーサルの仕方。」
第19回「人に見られることを鍛えてみる」
第20回「人の技みて我が技増やせの巻」
第21回「ライブの流れを決めるキーワードの巻」
第22回「ステージと客席の壁はなぜできるのかの巻」
第23回「お客さんが少ない時のライブ方法」
第24回「言ってはいけない言ってしまいがちなMC」
第25回「MCが苦手な人のほうが正しいMCが上手になる?」
第26回「その道のプロに学ぶライブに対する考え方。」
第27回「聴いていないお客さんをライブに集中させるテクニック。」
第28回「すぐできる盛り上げ術あれこれ」
第29回「ミュージシャンも客商売。」
第30回「頭が真っ白になった場合の対処法」
第31回「ライブ場所選びもお客さんのことを考えて」
第32回「プロのライブ場所によるステージングの違いから学ぶ。」
第33回「予想と違うMCで意表を突き、和ませる術」
第34回「初対面との人と会った時の会話」を利用した心を開くステージング術
第35回「バスガイドさんに学ぶライブの運び方」
第36回「ライブ後にありがちなシーンの切り抜け方」
第37回「バンドにも不可欠なコンセプト」
第38回「客席と目を合わせることの重要性」
第39回「お客が引いてしまう原因と常識を知る」
第40回「ライブ告知に潜む落とし穴。」
第41回「パーティにはやりたい曲よりも盛り上がる曲を。」
第42回「行きたくなるライブ告知の仕方」
第43回「自分たちがメインではない場合のライブ方法」
第44回「エンターテイメントは計算ずくで」
第45回「ライブハウス以外で演奏する場合の心得」
第46回「お客さんはライブに何を求めているのか?」
第47回「お客さん全員がついてこれるライブの仕方。」
第48回「常連しかいないお店からライブ方法を学ぶ」
第49回「ライブを盛り上げるステージング術、実践編」

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editzakk.jpg前掲の「パフォーマンスの壺」~その50~ではコピーバンドに関する虎の巻をいろいろご紹介して頂きました。そこで今回は究極のコピーバンドの話題をお送りしたいと思います。コピーバンドは言わば和製英語で、海外では「カバーバンド」または「カバーズバンド」「トリビュートバンド」と呼ぶようですが、皆さんも若い頃、バンドをやった経験のある人は憧れのバンドのコピーをしたことがあると思います。私もディープ・パープル、サンタナ、ブラック・サバス、フリー、グランド・ファンク・レイルロードなどいろいろやりました。中でも特にLed Zeppelinは超憧れのバンドでしたので、自分たちの力量も顧みず数々の難曲に挑戦したものです。演奏している我々は悦に入っておりましたので気分が良かったのですが、実際は凄まじく酷いパフォーマンスだったと思います。ともあれまあ、これも楽しい想い出ですけど...。

||||| TODAY'S SELECTED★IMAGE |||||
800px-Lez_Zeppelin.jpg

さて、本日のSELECTED★IMAGEは...、
そんなLed Zeppelinのコピーバンド(ZEPへのオマージュ的アティチュードからして明らかにトリビュートバンド)としてあまりにも有名な?
「Lez Zeppelin(レズ・ツェッペリン)」をご紹介します。
バンド名からしてガチンコ勝負という感じです...。以前にもこのYOU-NEXTで少し採り上げたことがありますが、このバンドはメンバー4人すべてが女性。ですので楽器パートは別として、ヴォーカルはさすがにロバート・プラントのように!と言うわけにはいきませんが、全体のグルーヴ感はなんともLed Zeppelinらしく、サウンド、パフォーマンスも良く研究されていて個人的には結構気に入っております。

そんなLez Zeppelinのパフォーマンスを!ZEPの曲中でもなかなか雰囲気が出しづらく、コピーしてもどこかダサくなってしまいがちな超有名ナンバー!
▼Lez Zeppelin - Whole Lotta Love - live Cologne 2007 - by b-light.tv

※間奏部分では電子楽器の「テルミン」まで使っているので驚きです。

||||| About LEZ ZEPPELIN |||||
ここで簡単にレズ・ツェッペリンのアウトラインをご紹介しておきます。
結成時のオリジナル・メンバーから2008年以降にギタリストを除いてメンバーが代わっており、現在のメンバーは以下の通り。
Steph Paynes ステフ・ペインズ(g)
Leesa Squyresリーサ・ハリントン・スクアーズ(ds)
Shannon Conley シャノン・コンリー(vo)
Megan Thomas ミーガン・トーマス(b, key)

LEZ-ZEPPELIN.jpg2004年にギタリストのSteph Paynesが中心となってニューヨークで結成されました。彼女達の大胆不敵で圧倒的なパフォーマンス、ZEPトリビュートへの飽くなき情熱は観る者、聴く者に対し期待以上のインプレッションを与えたのでした。そして程なくしてその評判はプレスや業界関係者にまで広まりました。たかがコピーバンドとして高をくくることなかれ!Lez Zeppelinは各方面から高く評価され、様々なアスペクトで世界に知れ渡ることとなりました。CBSなどアメリカ全土で数多くのテレビ出演の依頼も来るようになったのです。2007年、アメリカ、ヨーロッパツアーの後ファースト・アルバム「Lez Zeppelin」をリリースします。このアルバムのプロデューサーは、「Led Zeppelin II」「Physical Grafitti」など本家本元ZEPのいくつかのアルバムでレコーディング・エンジニアの経験があるEddie Kramer!そしてリリース後はその反響の大きさ故に多くのロック・フェスティヴァルに招かれるようになります。インドのムンバイでもチャリティー・イベントに参加しました。2008年も主にアメリカでツアーを続け、その間、アルバムのプロモーションで初来日も果たし、熱狂的なZEPファンのオヤジ達を大いに楽しませてくれました。

stephpanes1.jpgそしてツアー終了後、セカンドアルバムの制作に入り、昨年2010年9月8日「LezZeppelin I」がリリースされました。そして、このアルバムを聴くとレズ・ツェッペリンが単なるカバーバンドではなく、究極のトリビュートバンドであることが窺い知れます。以下、日本でライセンス契約しているサウンド・ウォー・レコーズ(エイベックス・エンタテインメント株式会社インターナショナル・セクションの一部門)の発売当時のニュース・リリースを読んで頂けると安易なコピーバンドでなく、ディテールまで徹底的に拘ったスーパー・アディクトなバンドであることがよく分かります。

レッド・ツェッペリンの女性版トリビュート・バンドのセカンド・アルバム!
前作を遥かに凌ぐスケールで放つ、最高のトリビュート・アルバム!!

今作はレッド・ツェッペリンの1stアルバム『LED ZEPPELIN Ⅰ』を曲順までそのままに再現。そして驚くべきは使用する機材を、ゼップが1stアルバムを収録した時の機材と、種類、制作年代までをも全く同じヴィンテージ機材を使用している。1959年製ギブソン・レスポール・スタンダードや1959年製ギブソン・レスポール・カスタムを始め、ギター1本で家が一軒建ってしまうほどのヴィンテージ機材から繰り出される音質は、当時アナログでレコーディングされた音質に限りなく近いサウンドに仕上がっている。
 プロデュースは、これまでジミー•ペイジやジョー•ペリー等の作品に携わったペリー•マーゴレフ(彼が世界屈指のヴィンテージ機材コレクターであった為、今回の企画が実現した)と、ミック•ジャガーやグラハム•パーカー等の作品に携わったウィリアム•ウィットマンが担当。そのウィットマンとジミー・ペイジとの個人的な友人関係から、何とペイジ本人も何度かレコーディングに立ち会う程、このバンドの事を認めている。更には収録スタジオにもこだわりを見せており、'70年代の最高のスタジオにあった名アナログ機器を揃えたニューヨークの"Pie Studios"で収録している。  バンドとしての一番の変化は、2008年にリーダーのステフ(Gt)以外のメンバーを全て一新した事である。様々な形で厳選された新メンバーは、どのパートもレヴェルが高くなっており、特にヴォーカルの歌唱力には驚かされる事に違い無いであろう。メンバー、プロデューサー、機材とここまでクオリティーの高いトリビュート・アルバムがこれまで存在したのだろうかというくらい素晴らしい作品に仕上がった。本家ジミー・ペイジも認める女性版レッド・ツェッペリンを是非とも堪能してみてほしい。(Quoted from SOUND WAR RELEASE)

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HMVジャパン

lezZeppelinLive.jpg■百聞は一聴にしかず!とにかく一度機会がありましたら是非とも聴いてみて頂きたい!これほどまで完璧にコピーできるものなのか?と驚くばかりです。それでいて単なる無機質なコピーに終わらず、どこか新鮮な印象があって心地よいタイムスリップ感を体験できる、そんな魅力も秘めているからこれまた不思議なんですね。ジミー・ペイジが何度かレコーディングに立ち会ったとありますが、あの完璧主義のペイジがOKサインを出しただけのことはあります。ここまで細部にわたり徹底した拘りを持ってコピーするバンドはそう滅多にありませんし、賛否両輪いろいろあるでしょうが、レズ・ツェッペリンを聴いて初めて本家本元のLED ZEPPELINを知った!なんて若い音楽ファンがいるかもしれないと考えると、オヤジとしてはちょっと複雑は気分ですが、それはそれで良いのかと思ったりする今日この頃です。

||||| REFERENCE★WEBSITE |||||
▼Lez Zeppelin Website
http://lezzeppelin.com/
▼SOUND WAR Official Website
http://soundwar.net/

||||| BOOK★WORM FOR GUITARIST |||||

||||| EXTERNAL★LINKS |||||
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